記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《18.混 迷》

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マリーサに会わせると言う約束を取り付け、とりあえずサニエルは詰所を後にし、自室へ戻った。
当初マリーサに対する興味を退屈しのぎの気まぐれだと疑う事の無かったサニエルは、その後己の感情に翻弄されていった。

最初マリーサに会った時、物珍しく興味が湧き近付いたのは事実だ。
未成年と分かり直ぐに関係をもてないと分かってからも不思議とつい足が向いた。こんな事は初めてだった。
だから奴が介入して城に上がったのだと思った瞬間、また奴に邪魔されたのだと思うと収まりがつかなくなった。
だが、実際に調べてみれば城に上がった経緯に奴の手管は全く感じられなかった。
不思議と何処かホッしたのだ。

何故自分は安心しているのか?
落ち着きを取り戻し、冷静に考えてみたがさっぱり分らなかった。
今まで性欲のはけ口としてしか感じた事の無い女への感情以外のモヤモヤに困惑し、考えれば考える程得られない心の渇きに苛立ちを覚えた。
自分にとっての女は都合の良いものだ。それ以外の感情を持った所で煩わしいだけだと切り捨てる事にした。
考えるのは止そうと思った時、マリーサの置かれた現状に気付いた。

(これはある意味とてもラッキーな事ではないのか?)

マリーサは自分に対し好意的な態度だ。
上手く取り入ればアーリアの侍女だ。諦めかけていたあのアーリアを手に入れる為に使えるかもしれないとひらめいた。
そう思うとその為にはどうしたら良いのか?
想像するだけで楽しくなった。
そう考えるとマリーサに対する気持ちが何だったのか等と言う事までいちいち悩む必要も無い様に思えて来て、単純にアーリアを手に入れる為にマリーサに近付くのだと自分を自然と納得させられた。
現実にマリーサに会う事も、アーリアに取り入る為だと思うと今まで以上にとても気持ちが楽だった。
その為には、とにかくマリーサに気に入られようと今まで女にして否定的だった態度は極力しないように心掛けた。
計画は殊の外順調なように思えていた。

所がマリーサの突然の拒絶的な態度。
突如、順調だった計画に今までに無かった感情が溢れ出し抑えきれない苛立ちが己を苦しめた。
自分の感情にまるでコントロールがまるで効かない。あれ程上手く行っていた筈なのに・・・・。
女を抱けば収まる筈の己の肉体も、どの女を抱いても収まる事の無い欲求。
これは言葉などでは説明がつかなかった。

(アーリアも欲しいが、マリーサも切り捨てられない!)

一度そう思えば溢れ出す欲望は留まる事無く溢れ出す。

計画を遂行する為に母を訪ねた。 
母が人を介し度々セイラルの命を狙っていた事も知っていた。
自分が奴や従者に咎められたと愚痴れば、必ずその夜何処かに出かけていた。
幾度となくセイラルに毒が盛られている等と言う噂もあったが、その噂が立つと母はその言葉にいつも含み笑いを浮かべでいた。
何処かに密偵を忍ばせているのではないかと言う噂もある位だ。
母に頼めばきっと何とかしてくれるに違いないと期待していた。

「母上、お話がございます」

「やっと真面に話しが出来るようになった様ね。無様すぎて呆れ返ったわ」

謹慎が解け、最初に父王に形ばかりの反省的言葉を述べるとその足でマリーサの所に向かった為、母に会うのは数日ぶりだった。
母に今自分が置かれている現状と、希望を告げた。
母に任せていれば自分は何もする必要は無い。
告げれば全て母が良いように考慮し、行動に移してくれる。
いつものようにそう信じて疑わなかった。

「やはりあの者は我が家にとって厄介者だわ!」

話は聞くなり思った通り自分の言葉に同調し、あの兄を憤慨してくれた。
母はいつも自分の求める答えを導き出してくれる。
次にどの様な嬉しい言葉を発してくれるのか、期待の眼差しで見つめていた。

「あの女の侍女にうつつを抜かしていると聞いて随分腹立たしく思っていたけれど、様子を聞いているとあながち使えなくも無さそうねぇ」

『えっ!?』

想像もしていなかった意外な言葉に我が耳を疑った。

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