パウリンの娘

パウリンの娘《第9章1》

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フリードルが地下室でローレライ、ルシオン、ランドン、サビエルと今日の計画を話している所に血統馬を持つ屋敷の調査を頼んでいた配下のミゲルが帰って来た。

「では・・・・ドレアスが見つかったのですか!?」

ローレライは声を震わせ、瞳は心なしか潤んでいた。

「いえ・・・・まだはっきりした事は・・・・。しかしまだ離乳期には程遠い青鹿毛で額に三日月の白斑馬が居るのです。しかも母馬と言うのは血統馬との事ですが白斑ではありません。父馬は白斑馬ですが栗毛です。双仔との事ですがもぅ一頭の仔馬とは大きさも外観も全く違います。白斑馬ではありませんし毛色も全く違います。どう見ても双仔には・・・・」

「きっとドレアスだわ!」

「しかし、・・・・まさかザンゾール公の屋敷とは・・・・」

裏から調べる事は出来るが、正式な証拠でも見つけ出さなければ仔馬を取り戻すことは不可能だろう。
フリードルの表情は硬い。

「やはり、ここはゼロ様にお願いするしか無いのでは!?」

「出来ればそれは避けたいが、最終的には頼まざるを得なくなるだろうな・・・・」

「どう言う事!?」

「ザンゾール公は先王の弟君にあたるんだ」

ローレライの顔色はみるみるうちに変わって行く。
何故そんな方がアドレアを!?
何の為に・・・・。

「それで何でゼロになるんだ!?」

「その事は私の口からは・・・・言えない」

ルシオンの問いにフリードルはそう答えるしかなかった。

暫くすると宿の方とは違う入口からゼロとシドが入ってきた。
その姿を見つけるとローレライは目に涙を浮かべてゼロの方に駆けて行く。

「ゼロ!!」

ゼロに抱きつくと、ローレライは泣き出した。

「・・・・どうした!?」

無表情を装いつつも普段より柔らかな眼差しでローレライの頭をクシャクシャと撫ぜた後、ポンポンと叩くと自分から引き離し両肩を抱いて上を向かせる。

「何があった!? 話してみろ」

ローレライを覗き込み、優しく尋ねる。
その姿は今まで見て来たものとは全く異なり、二人の醸し出す空気に誰もが感嘆した。
これは妹の反応じゃないだろ!? とシドは呆気に取られた。

「ドレアスを助けて! お願い・・・・ゼロしか頼めない事みたいなの・・・・」

涙ながらにローレライが訴える。

「どう言う事だ!?」

ゼロの表情が一瞬にして憮然としたものに変わって行った。


フリードルはミゲルからの報告をゼロとシドに話すと主の返答を待った。

「直ぐには動けないにしても、私が行かねばならんだろうな。先ずは裏付けが必要だ。ザンゾール公の屋敷の周囲に人を増やせ。マークが必要なのはおそらく息子のライサンドの方だ。詳細が分かり次第随時報告しろ」

「招致致しました」

そう告げるとフリードルとシドは黒衣の男たちを集めて何やら話し始めた。

「必ず仔馬は連れ戻してやる。とにかく今日は市だ。先ずは仔山羊を調べてみて、それからだ」

今日の競売で仔山羊を出してくれていれば好機になるが、そう簡単にはいかないか・・・・。
とにかく競売リストは揃っている。 
普通登録番号しか公開されないが、そこは皆が調べて売主の名前と所在地が明記されていた。
後はローレライが分かるかだ。

リストを手にして皆で回覧する。
ランドンの許へも回って来て、それを見ていた時、彼がその手を止めた。

「今回競売にかけられる仔山羊は4件と言う事ですが、この36番のザグソン・ブリムナード、彼の所在地はルマシードではありません。ザンゾール公の領地の者です」

ランドンがさらりと言った。

「お前・・・・何故そんな事を!?」

知ってるのか? と尋ねたかった。

「はい。私の生まれ育った町ですから」

ルシオンはランドンの過去を初めて垣間見た。

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~ Comment ~

NoTitle 

確実に縮んでます~~~v-238
どうしたって妹じゃないですよぉ
早く気付きましょうね~~~v-237(笑)

はのん様 

ねぇ、もぅこのゼロの感覚どうにかして!!(笑)
でも、それがゼロなのよねぇ^^;
書きながら早く気付け!!とか、まだか!?って自分で突っ込みたくなる時があります(笑)

NoTitle 

…女王学の一つに涙を流すことにあります。
「守ってあげたい!!」と臣下に思わせるのが女王とのことです。
あのゼロをそう思わせる魅力はすごいものだと思います。
まあ、この場合は深く考えない方がいいですね。
どうも私は邪推があるので読者としてはダメな部類ですね。

LandM様 

女王学と言うのはあまり考えた事は無かったのですが、そういうのがあるのですね。
色々勉強になります^^
書く時に何時も考えるのは、やはりキャラの性格からの行動です。
頭に浮かんだセリフがこのキャラに合っているのか最終的に考えながら見直し纏めます。
それだけで流れが思う方向に進んでいればあまり深くは考えていません。(これで良いのか分かりませんが^^;)

いつも有り難うございます^^

NoTitle 

読めました。ありがとうございます!!(^^)

ポール・ブリッツソ様 

無事お読み頂けたようで良かったです^^
ご報告頂き、有り難うございました^^
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