記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《20.経 緯》

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側妃様は報告するなり苛立ちを隠せない様子だった。

「何をしているの!! 1年も傍に居て何故一服盛る事も叶わないのよ!!」

「いえ・・・・言われた通りやってはいるのです。ですが、どうやら毒にかなりの知識がおありの様で・・・・」

「ここであの者を敬語で呼ぶのはお止めなさい! 聞いているだけで腹が立つわ!!」

「申し訳ございません・・・・」

セイラル王子付第三従者ブロンソは、定時報告に訪れた席で主から叱咤され続けた。

本来叱られる義理は無いと思う。
飲ませよと言われ渡された毒はきっちり王子の食事や飲み物に今までも言われたように混ぜて来た。
だが、それに王子、そしてマジミールは気付いてしまうのだ。
気付かせる様な物を混ぜよと言う方にも無理があると思う。
だが、そのような事は決して口には出来なかった。


父が財を使い果たし、やがて没落貴族のレッテルを張られた時に、誰からも煙たがられる中、唯ひとり手を差し伸べてくれたのはこの側妃様だった。
借金も返してくれ、その後何とか領地の管理だけは最低限出来るだけの資金も調えてくれた。
代わりに自分の手足となり働けと言われたが、それこそ自分にとって望む所だった。
誠心誠意お仕えするつもりで付いて行ったが、城に着き、告げられた言葉は想像だにしていないとんでもない内容だった。
そのような事は無理だと告げれば、詐欺罪で一族諸共絞首刑にすると脅された。

「そう心配しなくてもお膳立ては全てこちらでやってあげるわ。貴方は無様な格好をして街で落ちぶれていれば良いだけ。近い内にセイラルが茶葉の仕入れに街へ赴くから貴方はその時に合わせてその落ちぶれ貴族の格好をしてあの者の前で殴られなさい。きっと拾って貰えるわ。セイラルは人一倍正義感が強いから助け出し、きっと後の面倒も見てくれるでしょう。城に入り1年であの者の口添えでもぅ何人も下男を迎えていると聞くわ。出来るだけあの者に気に居られる様に務めなさい。とりあえず城に上げて貰えれば、何とかなるから後は私の言う通りにするのよ。その先はお任せなさい」

詳しい計画内容を聞き、とんでもない所に来てしまったと思いながらも、おそらくもぅ逃れる事は出来ないのだと判断した。
側妃様の側には腕の立つ者が傍に控えていた。
自分に権勢をかけるつもりだろうか・・・・。

ふふふん。と鼻先から抜け落ちる妖艶な微笑に、落ちぶれたままの方が人間として幸せだったのではないかとさえ思えた。

半信半疑で言う通りの格好をして街をしばらくうろつき、時間を見計らいセイラル王子の故意にしていると言う茶葉屋の前をうろついていた。
すると街でサニエル王子に遭遇しいきなり憤慨され殴られた。

『ああ、これが側妃様の言っていた事か』

理解し、抵抗する事もせずに殴られ続けているとボロボロになりかけている所をセイラル王子と従者マジミールに救われた。
城に連れて行かれ、治療を受けているとそこに話を聞きつけてやってきた側妃様が現れた。

「申し訳無かったわね。息子が手荒な真似をしたとか・・・・。少ないけれど、これで勘弁してくれないかしら・・・・」

小袋に入った金を掴まされた。

「いえ・・・・。これは頂けません・・・・。治療もして頂いておりますし、頂く訳には参りません」

「あら、でも、その身なり・・・・、お金に困っているのではないの?」

ボロボロの貴族の衣装に身を包み、見るからにみすぼらしい姿は誰が見ても落ちぶれ貴族の風貌だ。

「だからと言ってこのような大金を頂く訳には参りません・・・・。じきに、知り合いの屋敷でても雇って貰えると思いますし、お気遣いは無用です。お心遣い感謝いたします」

「じきになんて一番当てにならない言葉ねぇ。何とかならないものかしら・・・・」

チラリと側妃がセイラル王子に目線を向けた。
従者マジミールと顔を見合わせると王子は大きく頷いた。

「お嫌でなければセイラル様がもぅ一人従者を雇っても良いとおっしゃっております。雑用が主になると思いますがそれで宜しければ・・・・。如何なさいますか?」

「えっ!?」
「まぁ!!」

ブロンソと側妃の声が重なった。
側妃としてはしてやったり! ブロンソとしては大変な事になったと度肝をぬかれた思いだった。

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~ Comment ~

この章だけじゃないけどね。 

楽しく読ませて頂いています。勝手に読んでいてこの様な事を言うのも何なんですが、兎に角変換間違いと言葉の使われ方が間違っている箇所が多いです。誤字直しましたのコメントがあっても直ってないし。読んでいても気になって気になって…。勝手な事ばかり言って申し訳ありません。

むーさん様 

今日は。お読み頂き、有り難うございます。
申し訳ありません。今は誤字訂正コメントを入れていないので多分大分前に書いた作品かと思うのですが、おそらく誤字訂正後も間違いがあったという事だと思います^^;
以前はUP前、今はUP後1度は最低一応見直しているんですが、先入観があるのか直ぐには気付けない事もあるので、今度から教えて頂ければと思います。(気付いた時はその都度訂正してますがUPから時間が経過したものは中々見直せないのが現状で)
過去の作品は、たまにコメントが入った部分とその前後だけ現在見直しをかけている状況で気づいた時は訂正しています。
もし読まれていて今後気になる部分がありましたら教えて頂ければ幸いです。
時間があればすべて見直しを何れかけたいとは思いつつ現在中々時間がとれない状況です。(申し訳ありませんm(__)m)
「記憶の~」は今連載中の作品の後にスピンオフ作品連載予定がありますので、その前に一度読み直し全面修正予定です。
又、特に1作目の「パウリンの娘」誤字も多い気がしています^^;(コメントが入りたまに読み返すと見つける率が高いので^^;)こちらは何れ作品自体を改稿予定です。
言葉の使い方は、納得できる部分は訂正したり、出来ない部分はどうしてその表現を使っているのかなどもムーン様の方では質問があり説明している部分もありますので、そちらもお教え頂ければ幸いです。
ただ、こういう事は表だってあまりする話ではないと思いますので、出来ましたら次回からは鍵コメで頂ければ幸いです。
お教え頂き有り難うございました。
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