記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《34.詮 索》

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タジルスでないならば、自ら危険を冒し出向く必要は無い。
とりあえず退王の主治医を向かわせる様に書状を第二従者ロドリコに託した。
後は皮膚から取り入れた麻薬が何か分らぬ限り細かい対処は施せないだろうからその追求に尽力を尽くすしかなかった。
依存性の低い麻酔薬として使われる程度のものであれば放置しておいてもその内回復するが、もし、それ以外のものであったならば初期の処置の不味さがまだ若いマリーサの今後の人生に大きな負担を掛ける事にもなってしまう。

「おちつけファンネ。おそらくマリーサの体内にある薬物はタジルスではない」

「・・・・本当ですか?」

「ああ。タジルスならば少量の服用でも、既に会話が成り立つ状況では無い筈だ。だのに取り込んでから既に6時間以上も経過して真面に話しが出来る事事態通常有り得ない。取り入れたものが何かは分らないが、もし麻薬であっても恐らく医療用として使用される程度の依存性の少ない物だろう。断言はできないがおそらくな」

「私もそう思います」

「ああ、良かった・・・・」

「とりあえず、応急処置を教える。退王様の主治医も直ぐに向かうとは思うが、その前にお前はマリーサの許へ行き世話をしてやってくれ。アーリアには親戚の不幸で暫く暇を取ると言っておく。元々はターニア一人だったのだ。足の経過も良好のようだし暫くは彼女に頑張って貰うとしよう。どうだ? もぅ動けるか?」

「だ、大丈夫です。這ってでも参ります! 今マリーサの為に私に出来る事があれば何だってします!!」

「流石ファンネだ」

とりあえずファンネはマリーサから受け取った小瓶をセイラルに渡し、概要だけ急ぎ説明をした。
セイラルが知り得る今出来る応急処置は一つしか無かったが、今はそれで様子を見る他無い。
少しでも麻薬濃度を薄め、副作用が軽く済ませる事が先決だった。
それには水よりも経口補水液の方が良い。
ファンネに何度も十分飲ませ排出させ、それに並行し温かくして汗を発散させる事も効果的である事を伝えた。
今は少しでも体内に取り入れている薬を早く排出する事が先決だった。
ファンネはセイラルの言葉を注意深く聞き入れるとマリーサへの許へと急ぎ向かった。


正式な薬品名や依存性については、側妃に問い正す必要があるが、問うた所でシラを切り続ける事は明白だった。
何より先程ファンネより告げられたマリーサが受け取ったと言う薬品も気に掛かる。
それに加え、マリーサに側妃が告げたと言う禁断症状が現れた際の薬の受け渡し人となる相手の存在も気に掛かる所だ。

「奴は知っていると思うか? この事を」

「さぁ、どうでしょうか? こちらの様子を探っているのは確かですが、今はあまり重要視されていないように感じられますが・・・・」

「そうだな。ここまで悉く失敗すれば見放すか。少しは飲んだ振りでもして倒れておけばよかったな。そうすればマリーサがこのような危害を加えられる事もおそらく無かった・・・・」

「しかし、そうなれば大々的な捜査の手が加わり、側妃様の思う壷。適当な者を犯人にでっち上げ真犯人を捉える事はままならなくなります。そうさせない為に、今退王様を始めとする数々の者達が動いて下さっているのではありませんか」

「そうだ。真の犯人を炙り出すまで我々の計画を知られてはならない」

「アーリア様を安全にお迎えする為にも」

「しかし、その為に、まさかこの様な事になるとはな・・・・」

マリーサにばかり頼ってばかりはいられないと覚悟した。

「まさかこうも早くに側妃様が事をお急ぎになるとは思ってもおりませんでしたが、これはおそらく側妃様の方でも何か計画倒れでも起きたのでしょうか?」

「起きたとすれば、やはりサニエルの件か・・・・」

サニエルの変化が、側妃を早急に事を運ぶべく駆り立てたのだとすれば、今後の変化は簡単には予想できない。
とにかく今はマリーサの回復を待って、詳細を確かめる必要があった。

「この際、奴に詳しい話を聞こと思っているが、お前は如何思う?」

「そうですね。今後の為を思えば、もう少し駒として泳がせておきたかったのですが、マリーサの事を思えば致し方ないでしょう。背に腹は代えられません」

「そうだな。奴なら何か知っているかもしれん。今後の計画も含めてな」

セイラルはマジミールの同意を求めると、従者姿の出で立ちで詰所に赴き渦中の従者を呼びつけた。

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