記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《37.追 求》

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第二従者ロドリコは、直ぐに素性を調べ侍医補佐のレナン・ポカソを捕らえた。
その口から、側妃の爪に仕込んだ薬品の名が明らかになると、直ぐにセイラル王子へと伝令を放った。
想像道理マリーサに使用された薬はそうタジルス程強いものでは無かった。
とは言え麻薬としては比較的弱いものではあるが、強い鎮痛を温和させる麻酔効果のある薬と他の薬品の混合物で、少し原型の薬品に比べ始末が悪かった。
微量接種でも2~3年は体内に残存する可能性もあるらしく、マリーサは今後今表向きに現れている症状が数週間で治まったとしてもこれからも引き続き注意が必要となる。
中でも生殖機能に著しく影響が伴われるらしく、年齢で言うと一般女性の婚期とされる16歳~18歳の時期に暗い影を落とした。

「大丈夫です。私はこの仕事に生きがいを見出すつもりですから。そもそも結婚に夢見る娘ならこう言う仕事に就こうとは思わないでしょう。ですから私の婚期など気になさらないで下さい」

回復の兆しが見え、あのいまいましい事件から3日後、姿を見せたマリーサは健気にもそう告げた。
これは側妃からの書状を受け入れ、良しとした我らの判断ミスだ。

捕らえられたレナン・ポカソには見張りを付け、既に頼まれていると言う薬品の製造だけを手掛けさせると、手渡した後は新たな依頼が入る前に各依頼主へ宛てた手紙を1通ずつ認めさせ身を隠させた。
奴がこちらの手に落ちた事実を知らせない為に・・・・。

既にレナン・ポカソが今まで依頼を受け製造した闇の薬の数々のリストは証拠品として押収し手元にある。
そこには今までの調べでセイラルの命を奪おうとしていた側妃以外の人物の名と思しき者依頼主の名が幾人か書き記されてあった。
今まで証拠を上げることが出来ず、捉えられずに居た者達だが、このリストのお蔭で危険薬物所隠匿罪でとりあえず送検は可能だろう。
少しずつ道が開けて来た。
そこから切り崩せば更に側妃とつながりのある者の炙り出す事も恐らく可能となる。
となれば、セイラルもそろそろ行動に移すべき時だ。

侍医補佐のレナン・ポカソの口からは、マリーサが預けられた薬についても聞き出していた。
マリーサが持ち帰った液体は、即効性は無いが無味無臭の類の毒素の高い液体だった。
原液のものは我等でも判別は可能だったが、今回それに数種類のに及ぶ他の薬品を混合させて新たなものを作り出しており、ともすれば使われ方によっては判別が難しかったかもしれない。
今回のマリーサの功績はかなり大きい。
彼女の為に出来る事ならば、何か恩を報いてやりたいと純粋にそう思った。

効能は、最初は倦怠感から始まりやがて脈が乱れる。常用を続ければやがて徐々に起き上がる事もままならなくなり身体が衰弱し、薬の無くなる目安の10日~2週間程でやがて死に至ると言うものだ。
側妃は再び今計画されてあるサニエルの誕生祝の席の前に自分の命を絶つ気だったに違いない。
自分が亡くなればサニエルが王子から臣に下る必要も無くなる。
きっとそれが狙いだろう。

だが、サニエルはその事を知っているのか?
マリーサはこの件に関し、サニエルの預かり知らぬ事なのではないかと言っている。
庇いだてするつもりは無いと言ってはいたが、側妃に連れて行かれようとしている自分を必死に庇いだてしてくれたのだと言うサニエルの行動が幾分考慮されているのではないかとも思えて来るのだが・・・・。

側妃とサニエルの関係がマリーサを介し、もし険悪なものになっているのだとすれば、ともすればサニエルをこちらに引き寄せられないかと考えている自分が何処かに居て少し驚いた。
だが、それにはサニエル自身が王太子としての地位を望んでいない事が条件だ。
今までもそうだがサニエルの口から一度も王太子と言う言葉をそう言えば耳にしたことは無い。
自分の知らないサニエルが奴の本当の姿であったならば、いつか自分の協力者となり共に歩めないものかとセイラルは少しだけ期待した。
勿論アーリアへの執着が既に失われている事が第一条件なのだが。

母は違えど自分にとっては身内と呼べるべき者だ。
病が原因かもしれぬと思えば無視もできない。

「奴とはこの様になる前に・・・・、ジナスに居る時にでも一度謁見を申し入れて会っておけば良かったな。さすれば我らの関係も少しは違っていたかもしれないな」

「セイラル様・・・・」

その後の調べでサニエルが12歳の頃までに関わっていた女官や従者は悉くその後解雇されたり、中には罪を問われ死を賜ったものもあると言う事が明らかになった。
何かを期に移動や、事によっては解雇と言う事は場合によってはある事だが、これ程の移動は通常考えられない。
それに死を賜るほどの罪を問われると言うのは如何言う事か?
サニエルが高熱で倒れた件で、その後の対応に不備がありを危険を曝してしまったのか?
これは調べる必要があるとセイラルは既に解雇されている者を中心にその真意を探るべく人を向けた。

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