記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《38.決 明》

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ブロンソはこちらの密偵として良くやってくれている。
その後側妃に呼ばれ、マリーサの行動を見張る様に指示をを受け、そしてある粉末の薬を受け取ったと言う。
その薬はそのままレナン・ポカソの元に秘密裏に届けられ、その品は以前奴が仕入れたマランダと言う正真正銘の強い効果の規制麻薬である事が確認されている。
最初の内はこの上ない高揚感に幸せな気分を味わえるが常用を続ければ何れ精神に異常を来し、狂い、やがて自ら命を落とす者も多いと言う危険なものだった。

「この麻薬を使う時点で、側妃はマリーサを捨て駒の一つにしか考えて居ない事が窺い知れますね」

「自分さえよければ良いと言うのか! 何という身勝手な!!」

勿論その薬は没収だが、実際は側妃より受け取った薬をブロンソは二日毎にマリーサへ届けていると言う事になっている。
側妃からすれば、これでマリーサは薬の常用者だ。薬を餌にどうとでもできる餌食となった訳だ。
この事をサニエルは知っているのか?
マリーサの話では側妃から自分を庇おうと行動を起こしてくれたと聞く。
その事が本心から来るものならば、母の行いであったとしても絶対に許しがたい事実であろう。

レナン・ポカソには薬の常用者の症状を聞きつけ、さもその症状が出ているかのような文面を織り交ぜながらマリーサに成り代わりファンネに側妃宛ての手紙を認めさせた。
マリーサは気分的には落ち着いたとはいえ薬の禁断症状による全身の震えがまだ止まらない為、手紙をは書かせられなかった。
マリーサは手紙の上では順調にセイラル王子に薬を盛っていると言う事になっている。
事実は勿論異なるが。

マリーサの持ち帰った小瓶はブロンソが側妃より受け取ったマリーサへの薬と共に証拠品として既に押収され、しかるべき所で保管されている。
レナン・ポカソには、その薬を作った経緯を書面に書かせ血判を押させた。
事前処置となるが、これは事が側妃の知れる事となり口封じにより暗殺される事を恐れての決断であった。

セイラルに盛る様に託けられた薬の飲用による症状もその後レナン・ポカソに詳しく聞き、その指示の元、侍医の診察を受ける直前に飲用する事により疑似的症状を生み出す薬品を更に作らせた。
勿論彼の作ったものを即座に信用する程馬鹿では無い。
薬は先にポカソ本人に一度服用させ、その効果と回復時間を確認した後マジミールに投与すると言う安全措置を施している。
何があってもマジミールの身を危険に曝す訳には行かなかった。
この事により、レナン・ポカソはいわば身を持って自ら作った薬の実験体をさせられているのだが、彼にはこれを拒否する権利は与えられていない。
拒否した時点でその身に何が待っているかはおそらく自身が一番良く理解しているだろう。

自分の身が掛かっているのだ。
ポカソも必死で薬の調合を行っているようだった。

最初に作らせたのは初期症状として見られる不整脈を疑わせる作用の薬だった。
マリーサが薬を盛り始めた事になってから3日目、マジミール扮するセイラル王子は執務室でレナン・ポカソに作らせた薬を飲用し、胸の動悸と倦怠感を訴えると侍医の診察を受けた。

「僅かですが脈に乱れがございます。過労でも起きることはございますので暫く安静を取られた方が良いかと・・・・。挙式を控えた大事なお体です。無理をなさればアーリア様もご心配なさるでしょう。数日は政務を控えられ、安らかにお過ごしください」

侍医はそう告げると、処方した薬を置いて政務室を後にした。

マジミール扮するセイラルはその後3日の休暇を貰い、自室で安静に過ごしていたが、その後不整脈の症状は一向に回復する事は無かった。

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