記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《39.猛 進》

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あれからマリーサはどうしているのだろうか?
サニエルはずっとマリーサの事が気がかりだった。
話が終われば直ぐに戻すと言っていたにもかかわらず、あの後部屋へ戻って来たのは母だけだった。
マリーサと話が弾み、とても仲良くなったと色々話してくれたが、どう考えてもそれは不自然だった。
マリーサはとても礼儀の正しい娘だ。
もし、来られないなら来られないであの後謝りの手紙の一つ位は寄こす筈だ。
それがその手紙も届かず、来たのは午後になりあの母の報告だけだった。
それにあの状況でマリーサが母に対し好感を持てるとは到底思えず、とにかくサニエルはマリーサと直接会って何があったのか確認したいとずっと思っていた。
手紙を書いたが数日経っても返事は無い。
ならば抜け出すしかないかと、母の目を盗んでどうやって部屋から抜け出すかと思案していた時だった。
マリーサから待ちに待った1通の手紙が届いたのだ。
頬が緩むのを押さえ切れずにそのまま急いで手紙を開いた。
だが、書き記された文字を見て、一瞬にして手が強張り、瞳が凍り付いた。

(何なんだ・・・・?、この文字は一体・・・・)

そこには以前貰ったあの綺麗な筆跡の手紙とは似ても似つかない小刻みに震えるような文字が綴られていた。

内容は母に告げられた事とほぼ同じで仲良くなったと書かれてはあったが、この状況から見ても、それはとてもと信じられるものでは無かった。

(やはり、母との間に何かあったのではないのか?)
(いや、現に今、きっとマリーサの身に何か起こっているに違いない!)

咄嗟に確信めいたものを感じたサニエルは、今まで母の言いつけを守り、部屋にずっと留まっていた事を酷く後悔した。

震える手で手紙を握りしめると、何か決意した様な強い眼差しで大きく息を吐き出した。

「・・・・セグウェイ、今から起こる事は全てお前のせいではないから・・・・。今度こそお前を母の勝手に等させないから・・・・。絶対に何とかして見せるから、今は許せ!」

告げるが早いか、サニエルは自室から咄嗟に飛び出した!

「サニエル様!!」

護衛の者も今だかつて無い程勢いよく開かれた扉から突然飛び出したサニエル王子の姿に、驚きの余り一瞬出足が遅れた。
従者の後ろから慌てて跡を追ってはみたが、結局途中で見失い途方に暮れた。
正に、猪突猛進の如くあっという間に姿を消してしまった王子に唯々唖然とするばかりだった。

サニエルはとにかく無我夢中で廊下を走り去り、マリーサの居る東殿にある侍女の詰所まで赴いた。

「マリーサ!!」

言葉と共にノックもせずに侍女の詰所の扉を開け放ったサニエルの姿に、侍女たちからは悲鳴にも似た奇声が上がる。

「ノックもせずに殿方が何をしておいてですか!! 例え王子としてもこれは許されるものではありません!!」

キッパリ言葉を言い放ち、皆の前に立ち、デンと構えるのはアーリアの第2侍女にしてセイラル王子の乳母ファンネだ。

「頼む! マリーサに会わせてくれ!! マリーサに何があった? まさか、母が何かしたのか!?」

告げたその手には、マリーサから届けられた手紙がしっかりと握られており、ファンネはその手紙を見ると大きくため息をついた。

「マリーサが心配ですか?」

「心配に決まっているだろ!!」

躊躇いも無く告げた言葉にファンネはニッコリ微笑んだ。

「ならば、お話がございます。どうぞこちらへ」

まるでこの事態を予測していたかのような余裕に満ちた深い眼差しだった。

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~ Comment ~

NoTitle 

こんにちは~^^
かなり空いてしまいました(><)

弟王子が可愛いじゃないですか(^m^)
おりこうさんなイイコになりそう~
そのまま兄王子とも仲良くなってマリーサちゃんと
ラブラブなって~(希望! 笑)
後は早く主人公ちゃん達のラブラブが見たいです~(^m^)

ちょっと忙しくて期間あいてしまって申し訳ないです(><)
ちょこちょこのぞいてはいたのですが^^;
続き楽しみにしてます~♪

はのん様 

はのんさん今日は^^
いえいえ、いつもお忙しい中有り難うございます^^

何かサニエルもこの兄にしてこの弟有で、本当の姿は一途だったり・・・・。
希望についてはまだお答えできませんが、そう大きく悪いようにはならないと思います(^m^)
ただ、下手するとこれだけで12月までかかっちゃいそうで^^;
何とか12月10日過ぎから予定道理パウリンの番外編始めたいんだけど、いい具合に終われるかが心配。
ラスト間近で中断してパウリン入れるのもなぁ。。。。
何とか頑張ろう♪

ホントにお忙しいのにいつも有り難うございます^^
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