記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《44.祖 父》

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執事に付き添われ、退王が現れた。
サニエルは直ぐに椅子の横へ立ち、深々と頭をさげた。

「突然申し訳ございません。祖父君にこのようなお願いをする資格も無いのは分かっていますが、今までの行いを深く反省し、非礼の数々をお詫びいたしますので、この度の件、何卒受け入れて頂きたく・・・・」

「話はこのベルナルドより聞いた。母から逃げて来たとはどう言う事か?」

「今の私に自由は無いのです。部屋から1歩出る事もままなりません。母に監視され・・・・。先程思う事があり、東殿に赴きました。セイラル王子の従者より今起こっているアーリア様の侍女の件について聞きたくば今夜夜半過ぎにこちらへ来るようにと言われました。指定された時間にはまだ随分間がありますが、ここ以外それまで留まれる場所を思いつきませんでした。どうか時間まで暫く居させて頂けませんか?」

「確かにあ奴とは約束をしたが・・・・、お主もと言うのは今初めて聞いた。あ奴が良いと言ったのであれば私としては何の異論も無いが、まさかお主を誘うとはな・・・・」

「私も何故急にこの様な事を言い出したのかさっぱり・・・・。ですが、来るしか無いと思いました」

「あ奴は何と?」

「母と決別する覚悟があるならば、供を連れずに一人で夜半過ぎにこちらへ来いと。そこで祖父君を交え、マリーサの・・・・、侍女の身に起こった事を話すと・・・・」

「・・・・そうか、そう言ったか・・・・。マリーサには可哀想な事をした・・・・」

「祖父君は何か御存じなのですね? あの従者は一体何を知っているのです!? 祖父君もあの者を随分と目をかけておいでの様ですが、私には何故あのような者に目をかけるのか全く理解出来ません!」

「今直ぐにあ奴を理解する事はお前には叶わぬだろうな。だが、私はあの者を信頼に足る者だと思っている。お前に直ぐに判れとは言わないが私はお前にはあの者を手本として欲しいとさえ思う」

「あの従者をですか?」

「そうだ」

従者を手本にしろとはまた何を異な事を言っているのか?と思ったが、その言葉は飲み込んだ。
何か意図があるのだろうか?

そこに執事が一通の手紙を持って入って来た。

「旦那様、セイラル様より至急のお手紙にございます」

「ああ、すまん。おそらくお前の言っていた件についてかもしれぬな」

退王はその場で手紙を開くと読み始めた。

手紙には何が書かれてあるのか?
おそらく、先程の件に付いてあの従者が主に報告をし、その事についての事なのだろう。

「・・・・成る程な。そう言う事か・・・・。ならば拒否する理由は見つからない。・・・・と、言うよりも、私も覚悟を決めねばならんのか・・・・」

祖父君は手紙を読み終えると自答するようにそう呟いた。

「・・・・祖父君!?」

手紙には何が書かれてあったのか?
何か他にあるのか?
マリーサの事以外にも何かあるような口ぶりに感じられ、思わず問うてみたくなったが、祖父君のあまりにも重い表情にとても聞き出せなかった。

「分かった。サニエル、とりあえず話し合いが終わるまではお前をここに預かろう。側妃の手の者が来ても知らぬと言う事にしておく」

「有難うございます」

「だが、その後の約束はまだ出来ぬぞ。今は母と決別するつもりでいるようだが、その場の勢いでの行動は冷静さを欠く。真面な判断は出来ぬだろう」

「それはありません! 私は本当にマリーサが心配で・・・・」

「部屋を抜け出した理由はそうかもしれんが、その時は本当の意味で母と決別する気は無かったであろう?」

「・・・・それは!!・・・・」

確かにマリーサの事が心配で発作的に部屋を飛び出した。
ずっと母の言いなりになるのは御免だと言う気持ち抱いていたが、中々自ら行動を起こせなかった。
マリーサの事は確かにきっかけに過ぎなかった。

「今夜、全ての話を聞いた後に、また改めてお前の判断を聞こう。全てはそれからだ」

「はい・・・・」

祖父君が何をそう慎重に事を構えているのか、それは分らないが、母とマリーサ、その二つを天秤にかけた時、今自分の中で今確実に重いのは違いなくマリーサだった。

サニエルはその事を心に踏まえ、夜半時を待った。

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~ Comment ~

NoTitle 

いよいよ真相が明らかに(^^)

側妃さんと、うちの「紅蓮の街」のヴァリアーナさんと、どっちが人の道を踏み外しているかなあ(笑)

ポール・ブリッツ様 

もうここまで読まれたんですか
いよいよ真相が明かされて行きますねぇ^^

あははっ。どっちでしょうか(笑)
こう言う人の道を踏み外すキャラって必要ですよね。良い味出してくれるし♪

いつも有り難うございます。
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