記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《46.真 実》

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従者姿のセイラルが席に付いた事を確認するとサニエルは最早一秒たりとも待てないととでも言う様に話し始めた。

「これで今日のメンバーは全て揃われたと言う事ですね」

「うむ。これで全員じゃ」

ゆるりと構える退王を急きたてる様に少々早口になりながらサニエルは言葉を進めた。

「ならば早速ですが、マリーサの件について詳細に教えて下さいませんか? 私の部屋から連れ去った後、母とマリーサの間に何があったのか!」

「イキナリか・・・・」

セイラルは苦笑いを漏らした。

「いきなりでは無い! ずっと気になり晩餐も殆ど喉に通らず・・・・、私はマリーサの事が心配で!!」

サニエルの口から当然の事の様に吐き出された言葉に今回マイスター男爵と言う偽名を使って参加したマリーサの父オニール・ボブスレード男爵は目を見開いた。

「その侍女がそんなに大事ですか?」

「大切です!」

何の迷いも無く告げられた言葉に、ボブスレード男爵は一瞬複雑な表情をしたが、直ぐに苦笑いを浮かべた。

「教えて差し上げては如何です?」

マリーサの父である男爵の目にもサニエルの真剣さがどうやら伝わったようだった。
セイラルは大きく息を吐き出すと、言葉を口にし始めた。

「これはマリーサから直接聞いた話だ。もし間違いがあればそう言って下さい」

「・・・・分かった」

「先日、マリーサがサニエル様の許に見舞いに訪れた際、側妃様がやって来られたとか」

「ああ、母がノックもせずに行き成り入って来て、マリーサに話しがあると言った。私は拒否したが、マリーサが話を受けても良いと言うので、了承した。話の後でマリーサは私の部屋に再び訪れる事になっていたが、マリーサは戻っては来なかった・・・・」

「来なかったと言うのは正確ではありません。行けなかったのです」

「やはり、何かあったんだな!?」

「マリーサは手首に傷を負っておりました。側妃様の爪で傷つけられたとか」

「ああ、それは、私の部屋で起こった事だ。マリーサを連れて行く為の理由づくりに母がマリーサの手首に傷をつけた。治療をすると言う名目を作って母が私室へ連れて行ったんだ」

従者姿のセイラルは祖父である退王と男爵に目を向ける。
二人の頷く姿を確認すると一言告げた。

「サニエル王子、お願いがあります。証人になって頂けませんか?」

「・・・・証人とは?」

「その、側妃様の爪には麻薬が仕込まれておりました。現場を目撃されたのは王子だけですから」

「!!」

サニエルは蒼白となって声も出ない・・・・。
祖父に目を向ければ、祖父もゆっくり頷いた。

「マリーサにはかなり酷い毒物であると告げていたようです。その後の詳しい経緯は現段階でお教えする事は出来ませんが、王子の感じられていたマリーサの震えは麻薬による後遺的症状です」

「・・・・では、もぅ・・・・元には?」

「幸いこちらの調べでマリーサに仕込まれた麻薬はそう強いものでは無いと言う事が判明致しました。おそらく震えも、もぅ2~3週間で治まると思います」

「・・・・そうか・・・・良かった」

言葉を詰まらせながら口にしていたサニエルが一瞬瞳を閉じて大きく息を吐き出した。
余程緊張していたのだろう。

「ただ、この手の薬は軽いものでも無害に近い程度に落ち着くまでには更に2~3年を要します」

「・・・・と、言うのは?」

「主に表に現れるものとしては生殖系に害を及ぼします。この期間に妊娠でもすれば子に何らかの害を及ぼす可能性もあると言う事です。マリーサはまだ婚姻については全く考えて居ない様で、この事を表向きにはそう重くは受け止めていないようですが、後に結婚し子を儲けようとした時、こう言う事実が過去にあったと言う事は本人にとってかなりの重荷になると思います」

「・・・・全て私のせいだ・・・・。母がマリーサに見舞いに来させようと言った時、私はそれを何の迷いも無く二つ返事で了承してしまった・・・・」

項垂れ、自分を責め、今にも泣き出しそうなサニエルに男爵は声をかけた。

「あの側妃様なら、それは関係ないと思います。遅かれ早かれきっと同じ運命を辿っていたと思います」

「私もそう思います」

従者マジミールとしてセイラルも、そして傍に居る退王も頷き、それは同意見だった。

暫く俯き、顔を上げる事の出来なかったサニエルを皆は無言で暫く見守った。

「・・・・許せない・・・・」

一言だけそう告げ、やがて顔を上げたサニエルは祖父である退王に何かを求める様に縋る目で見つめ続けた。

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