記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《50.決 意》

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気が付くとベッドの中に横たわっていた。
側にはあのセイラルの従者がいる。一体何があったのか?

「お気づきになられましたか? お加減は如何ですか?」

「いや。何ともない・・・・。私はどうして・・・・?」

何が起きたのか、直ぐには理解出来なかった。

「会議室で子供の頃の出来事をお話し中に酷い頭痛で倒れられこちらに。直ぐに退王様の主治医に診て頂きました。倒れられた時の状況と今までお聞きしている情報を纏め主治医の状況的判断では、子供の頃の記憶を無理に思い出そうとすると頭痛が酷くなるのでは?と言う見解に至りました。退王様の主治医の現段階での診断では何かのショックによる記憶障害では無いかと申しておりましたが、お心当たりは?」

ああ、そうだった。
あの騎士の死の真相を聞いている時に、無理に過去の事を思い出そうとして、また、あの頭痛が押し寄せて来たのだ。
咄嗟の事とは言え、注意が足りなかった。
無理に思い出そうとするなと、侍医より忠告されていたのに・・・・。

「ああ、知っている・・・・」

「そうでしたか。くれぐれも無理だけは無されないで下さい。退王様もご心配されてつい先程までここに留まっておいででしたが、無理は禁物と主治医殿に促されて私と交代し自室でお休みになりました」

「そうか。祖父君には心配をかけ悪いことをしたな。お前は大丈夫なのか?」

主人を放置して腹違いの弟の世話をする等、本来ならば有り得ない事だ。

「はい。私は先程まで一度城に戻らせて頂きました。主人にも了解を頂き、後の事は第二従者以下に任せて参りましたので後数時間でしたら問題はありません」

「セイラルが・・・・、兄が許したのか? 腹心の従者なのにな・・・・」

少し心苦しかった。
それなのにこの者は更に驚く事を言い出した。

「実は戻ったついでに少し調べさせて頂きました。セグウェイ殿と直接連絡が取れれば良かったのですが、側妃様に言われ今城下を捜索中との事でとても無理でした。ですがまだ何かをされていると言う訳では無い様ですのでご安心下さい」

「・・・・セグウェイと連絡を取ろうとしてくれたのか?」

「あのような話を聞き、とても他人事とは思えず少々出過ぎた真似をしてしまいましたがお許しください。私とセイラル様は乳兄弟として育った訳ではありませんが、それでも他者には測れない絆の様な信頼関係を持てていると私は自負しております。それが乳兄弟であり信頼を寄せておられる従者となればどれ程サニエル様にとって大切な存在であるか・・・・。とても他人事とは思えませんでしたので、つい手をだしてしまいました。余計なことでしたら申し訳ございません」

「そのような事は思っていない! それ所か有難いと思っている・・・・」

すると兄の従者はにっこり微笑んだ。

「そうですか? では、おせっかいついでにもう一つ。身を隠している間に正式に退王様の許に留まる旨、王様に進言されては如何でしょうか。退王様もサニエル様が望まれるならば手助けをして下さるおつもりのようですので」

「父上に?」

「今サニエル様は側妃様の許にいらっしゃる訳ではありませんので、もし、本当に側妃様と決別するおつもりがあるのでしたら、そう進言なさればこちらで預かる旨掛け合って下さるそうです。それが正式なものになればセグウェイ殿もまだ解雇されている訳ではありませんので側妃様の判断に関係なくこちらに引き取る事が可能となります」

「本当か!?」

「はい。ですが、今はとにかく側妃様のお考え一つでその進退がどのように動くかまだ不安要素のある状態ですので、こちらでも早急に引き続きセグウェイ殿の事は探らせて頂こうと思っております。既に御覚悟が決まっている様でしたら連絡が取れ次第セグウェイ殿には最低限の荷物を纏めて頂きこちらに移って頂く手筈を整えさせて頂きますが、急にこのような提案をい致しましてもお考えは纏まらないと思いますので、御判断がつき次第ご連絡頂ければと思います」

この者に対する今までの自分の考えを改めなければならないと思った。

「・・・・今まで済まない・・・・。私はお前の事を今まで色々思い違いをしていたようだ・・・・」

「サニエル様?」

「ずっと母の言葉を鵜呑みにしてきたが、だとすればセイラル・・・・いや、兄上も同じような考えなのか?」

「勿論です。私の行動は全てセイラル殿下の御意志です。私はそれに賛同し、お助けしているだけに過ぎません」

柔らかな笑顔で微笑む従者が何処か眩しかった。

「頼む・・・・。セグウェイを我が許に・・・・。母とは決別する!」

「・・・・宜しいのですか? そのように簡単に決断されて」

「ああ、何の問題も無い。全て心は決まった!」

「分りました。ではその様に手配させて頂きます」

兄の従者はそう告げるといち早く行動に移したいからと再び部屋を退出した。

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