記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第3章-《2.火 急》

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表向き、セイラル王子は今も病気療養中と言う事になっている。
実際死について知っている者は現在、王子の親族と呼べるべき者達と婚約者であるアーリア、そしてその下に従事る者だけだ。
その中でも死の真相と裏の事情全てを知っているの者は城内でも数少ない。
故に死を知らされた者の多くは本当にセイラル王子が逝去したと言う事実を受け、落胆する者、歓喜する者、人それぞれ様々だ。

セイラルの腹違いの弟にして第2王子サニエルはその後祖父である退王の後ろ盾もあり、庇護の許正式に公家を開くべく教育に励んでいた。
側妃に有無を言わさぬ様に、息子である王にのみ退王は話を流しその場で正式に息子が臣に下る事を認めさせた。
サニエルが一番気にしていた、従者セグウェイの進退もセイラルの第三従者ブロンソの接触によりあの後直ぐに城を抜け出し既に退王邸の住人となっていた。
やっと全てがつつがなく進み始め、全てはこれからだと思った矢先、城より火急の使者が訪れた。

“セイラル王子危篤の知らせ!”

全く予想だにしていなかった事態に、サニエルは呆然と立ち尽くした。
直ぐに城に向かうべく行動を起こしていた祖父に遅れる事数分。

「・・・・わ、私も参ります。行かせて下さい! セイラル王子・・・・いえ、兄とは政務室で諍いを起こしたのが最後で、まだ和解も出来ていないまま・・・・。このままでは私は・・・・」

思い詰めたように言葉を発した。

「お前は来なくていい。今城に戻るのは不味いだろう。戻った途端ナジリルの手の者に何をされるか分かったものでは無い。ここに居れば良い」

「ですが、このまま兄にもしもの事があれば、私は絶対に後悔します。せめて兄に謝罪だけでも・・・・」

「その意は私が受け取り話しておく。お前の人生はこれからだ。先ずはこれからの自分の事だけを考えよ」

「しかし・・・・」

(もし兄に何かあれば、今後自分の事だけを考える訳には・・・・)

サニエルは側妃の意とは異なり、王位を継承する立場に全く意義を見出していなかった。
だが、現王の息子は兄と側妃腹の自分のみ。祖父君には弟もいるが隣国に婿入りし小国ではあるが一国の王となっている。
王子は3人いるが、その者をと言う話にはおそらくならないだろう。
どう考えても自分が己の意思で勝手をする事は許されない状況となるのだ。
今のサニエルには公家を開いた後、将来的に資金繰りが上手く行けば野鳥や数の少なくなっている野草の保護活動を行いたいと言う目的があった。
王位継承が転がって来るかもしれない事態など全くの想定外であり視野に等入れてはいなかったのだ。
だが・・・・。

「お前の気持ちは理解出来る。・・・・今はまだきちんと話せないが、これから何が起きようともお前の今後に負担を掛けさせる事だけにはならぬから安心せよ。お前はお前の信じる道を今後歩めば良い」

祖父は軽く微笑むとそう告げた。

何を言っているのだろう?
ここに来てからずっと思っていた事だが、何か祖父君は自分に対し奥歯に物が詰まった様な物言いを時々する。
兄の従者からも全ては明かせないとは言われていたが何かとてつもない計画が現在進んでいるのではないだろう事を推測させる言葉があった。
それが何かは分らないが、祖父はこれから起こるべきことを何か予測して・・・・、いや、知っているのではないのか?
漠然とその様に感じていた。


数時間後戻って来た祖父からは兄の死を伝えられた。
だが、情劇に打ち震える中で告げられたのは、何処か物言いが不自然としか言いようのない言葉だった。

「お前の知るセイラル・グレシェード・ボナン・ガブリエラント王子が絶命した。暫くこの事は伏せられる。アーリア殿との挙式は当人の希望で予定道理進められる。その場にて全てを公表する段取りとなっておる。お前もそのつもりでいてくれ」

淡々と告げられるその言葉に、違和感を覚えた。
あれほど目をかけていた跡継ぎの優秀な王子が死んだと言うのに、落胆する様子も無く何故平素のままで居られるのか。
普通ならば有り得ない事では無いのか。
これがかつて王だった者の威厳とでも言うのだろうか。
だが、自分の過去の出来事にすらあれ程取り乱し、心配してくれた祖父君だと言うのに、何故世継ぎの王子の死に対してこの反応なのか?
これは如何言う事なのだろうか・・・・。
何処か事務的とも取れる物言いに違和感を覚えた。

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