パウリンの娘

パウリンの娘《第9章5》

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122番の仔山羊はその場で金をチラつかせながら即金で倍額払うから譲ってくれと申し出た所、買主の反応は手のひらを返したようにガラリと変わり、早々に仔山羊を引き渡してくれた。

「マルガリータ!!」

ローレライは満面の笑みを浮かべて仔山羊を抱きしめ頬ずりをした。

「良かったなレライ。ゼロ、感謝する。金は後でランドンに払わせるから」

ルシオンも頭を下げて礼を言う。

「それは良い。私が勝手にやった事だ」

「それは良くないわ。原因はこちらが持ち込んだ事なのに・・・・」

「まぁ良いって。ゼロがああ言うんだから」

“あいつ、金持ってるし”こっそりシドが付け加えてそう言ってくれたけれど、何だか申し訳ない。
ローレライは最近ゼロに甘えてばかりだと感じていた。

「気にするな。金はザグソンとか言う奴に返して貰う」

「ああ、そう言う事なら」

ゼロがそう告げるとルシオンは納得した。


聞き込みで、金は通常競売成立翌日から3日以内に開催側詰所に売人が取りに行く事になっている事が分かった。
宿に戻ったルシオンとローレライはランドンの部屋へ報告に訪れた。

「そうですか、仔山羊は見つかったのですね。良かった。では、ザグソンを先ずは捕らえなければ」

「そうなんだけど、誰も人相も知らないし・・・・」

「私が・・・・と言いたい所ですが、昔の記憶ですから実際会ってみなければ何とも言えませんけどね」

そう告げるとランドンは苦笑いした。

「そんな事ないわ。ここにいる誰よりもきっと役に立てる筈だわ。私ゼロにお願いしてくる!」

そう言い部屋の扉を開けた途端、誰かにぶつかった。

「ごめんなさい」

潰された鼻を押さえ、さすりながらそう告げた。

「乱暴だな」

そこには薄ら笑いを浮かべローレライを見つめる者の姿があった。

「ゼロ!!」

ローレライの頬が見る見るうちに真っ赤に染まって行く。

「ランドンに話があって来た。少し良いか?」

一歩踏み出し尋ねると、ランドンは“はい”と言って踵を正した。

「この様な真似をしておいて頼める道理も無いのだが・・・・、今日の話は聞いたか?」

「はい。伺いました」

「明日から3日の間にザグソンが市に競売で得た金を受け取りに来る。その面通しをお前にやって貰いたい」

自分にとっては願ってもない事だが、そんな事が現時点で許されるのだろうか?
まだ自分は疑いが晴れていない身だ。

「私で良いのですか? それに6年前の記憶ですからお役に立てるかどうかは・・・・」

「構わん。情報は探れても、誰一人として顔を知らんからな。この状況で文句は言わせん」

「良かったなランドン」

ルシオンが喜びを露わにする。

「ぬか喜びするな。見張りはつける」

「まじかよぉ~」

「当然の事です。分かりました。お役にたてるか分りませんが、微力ながら協力させて頂きます」

そう言うと、ランドンは深々と頭を下げた。

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