記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第3章-《7.疑 心》

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まさか・・・・と思った。
自分がセイラル王子の死について、アーリアに疑われる事になろうとは・・・・。
全くの想定外だった。

「何故そのように思われるのですか? 私は貴女の目から見て、主に対し不義を働く者の様に見えるのですか?」

「そんな事は無いわ! マジミール様がセイラル殿下をとても大切に想われている事も分かっているわ! でも、可笑しいじゃない。婚儀が間近になって急な病に倒れて亡くなってしまうなんて・・・・。あんなにお元気だったのに・・・・」

「だから、私が何かしたとでも?」

「・・・・あの時言ったわ。・・・・式までに何とかするって・・・・。それは、こう言う事・・・・、だったの?」

計画的には最良だと思って事を進めていたのだが、確かに今の状況はアーリアと自分にとってとても都合が良すぎる話だった。
いや、そうなる状況に敢てを持って行ったのだが、その事がまさかこういう形で裏目に出ようとは夢にも思っていなかった。

「・・・・それはッ・・・・」

続く言葉が瞬時に出て来なかった。
確かに話し的にはそう言う事だ。だから式までに何とかすると言ってしまったのだが、このままだと確実にアーリアに不信感を抱かせてしまったままの状況となってしまう。
ある意味真実だが、今の状況を肯定する事は絶対に出来ない。
ならばどうすれば良いのか?
いっそ計画の全てをアーリアに話せてしまえたら・・・・。
いや、嫌駄目だ!
一瞬心に過ったが、弱い自分を追い出した。

全てを告白した所で、とてもアーリアにセイラル王子の死の悲しみを本当の事のように演じ続ける真似が出来るとは思えない。
アーリアは思った事が直ぐに顔に出る方だ。
真実身が無くなれば、それは不信感を煽る結果にもなり得る。
最後の最後になって奴らに不信感を抱かせる事にでもなれば真実を暴けないまま相手に逃げられる事も考えられるのだ。
もぅ、悠長に事を構えている訳には行かなかった。

側妃がセイラル王子の死に快くした所で気が削がれ浮足立つのを待ち、隙を見て本性を暴くと言う事が一番の狙い目だった。
今事をしくじり側妃に連なる周囲の者に、何人たりともセイラル王子の死について疑念を抱かせる訳には行かないのだ。
だが、このような不信感を露わにしたアーリアが今後関わる事により、それすらも更に危ぶまれる結果となってしまうかもしれない。
それだけはどうしても避けたかった。
ならば如何するべきなのか?
考えあぐねていると、再び後ろの扉が開かれ、そこからファンネが入って来た。

「まぁ、アーリア様! 一体どうなされて!!」

とても険悪な空気を読んだのか、ファンネは二人の間に割り込んだ。

「ファンネ・・・・殿・・・・」
「ファンネ・・・・」

二人同時に主寝室の扉から現れたファンネに声を掛けた。

「何事ですか? 今後の葬儀の事についても色々と話し合わなければならないこの忙しい時にお二人で逢引ですか?」

「違います!!」

睨みつけるような眼差しで気丈に振る舞おうとするアーリアの姿に心が痛んだ。
アーリアからこのような眼差しを向けられる日が来ようとは・・・・。

「そうだったらとても嬉しい内容だったのですか・・・・」

アーリアは全面否定に対し、自分は少し困った様に・・・・、でも事実逢引とは程遠い状況で困り果て、おどけて見せた。

「随分と大きな声も出ていたようですね。あちらの部屋まで荒げるお声が聞こえて参りました。この様な時に慎みの無い行いをするとは思えませんが、一体どうなさったのですか?」

「だって・・・・」

アーリアが何か告げようと言葉を発しかけたが、途中で言葉を詰まらせた。

「ファンネ殿、助けて下さい・・・・。アーリア様は王子の死に疑念を抱かれているご様子で、それに私が関わっているのではないかと疑っておられるのです」

「違うわ! 私マジミール様を疑って何て・・・・。少し都合が良すぎる話だと思っただけで・・・・」

「それを疑うと言うのです!」

少し表情が強張ってキツイ顔になっているのは自分でも分かった。
すると、アーリアが少し涙目になり、瞳をウルウルさせているではないか!
ああ、こんなつもりでは無かったのに・・・・。

縋る思いでファンネを見つめれば、少し引き吊りながらも苦笑いを浮かべていた。

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