記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第3章-《8.爆 弾》

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ファンネは二人の姿を交互に二度ほど見つめ、肩を項垂れるとため息を一つ零した。
アーリアは終始うつむき顔で今にも泣き出しそうな状況である。
従者姿のセイラルは真剣な眼差しで不安そうに自分を見つめている。
その眼差しに、王子が自分に何か期待を求めている事は十分に理解出来た。 

「何を言い出すかと思えば・・・・」

呆れてものが言えなかった。
またも自分の蒔いた種を自分で治めることも出来ないだなんて・・・・。
王子としてはこれ以上ないと言う程優秀に育ったと言うのに、恋に関しては全くの初心者だ。
同じ者に二度も恋心を抱いていると言うのに、これでは先が思いやられると思った。
すると、何やらアーリアが語り始めた。

「・・・・マジミール様は式までには二人の事を何とかするとおっしゃって下さったのです・・・・。その結果このような状況になり・・・・、ですが、どう考えても私たちには都合が良すぎるとしか思えなくて・・・・」

アーリアは俯いたまま顔を上げることも出来ずに、涙を堪えながらもかなり悩んでいる様子だ。
このまま全てを明かせないまま説得する事は状況的にも困難だと流石のファンネも思った。
だが、ここになって気付いたのだ。
今後の二人にとって何が一番大切なのかを・・・・。

ファンネは無言で従者姿のセイラルに何かを問う様に見上げた。
だが、セイラルは首を縦に振ってはくれなかった。

「ならばマジミール、貴方はここまで疑われた状況で如何なさるおつもりなのですか?」

少し喝を入れる様に強い口調で言葉を放った。

「如何するも何も、私には全く身に覚えのない状況で・・・・、疑われる事事態心外です」

どうやらやはり何も話す気は無いらしい。
いや、話す以前にこのような状況になってしまっている事事態に疑念を抱かなくてはならないのだ。
ならば、どうするのか?
今まで数々の場を切り抜けて来ているファンネだが、この状況でアーリアが王子を信じ切れていないと言う事にとても不安を覚えているのだ。
互いに心から愛し合っている二人だ。出来る事ならばこのまま添い遂げさせてやりたい・・・・。だが、このままでは・・・・。
何とかせねばと思い、答えを見出す手掛かりが欲しくて今度はアーリアに言葉を振ってみた。

「マジミールはこう申しておりますが、その事に対してアーリア様はどうお思いですか?」

「・・・・分りません・・・・」

「わからない?」

これはまた異なことを・・・・。

「マジミール様は嘘をつくような方では無いと思っています・・・・。ですが、あまりにも状況が・・・・」

「信じられないと?」

「・・・・信じたいとは思うのですが・・・・」

「でも、信じられないのですね?」

「・・・・はい・・・・」

「アーリア!!」

「そうですか・・・・」

一言ため息交じりにファンネはそう呟くと暫く無言で黙り込んだ。
とても周囲の空気は重々しく、ここに居るだけでため息ばかりをつきたくなる雰囲気だ。
この状況についてファンネは色々と思いを巡らせた。
王子の今後について、アーリア様が妃となった時の状況について・・・・。
少し冷静になって考えてみれば答えは自ずと導き出された。
どうすれば穏便解決し二人の仲を取り持つことができるのか等と考えるからそもそも答えが導き出されなかったのだ。
発想の転換が必要だったのだ!
次の瞬間満面な笑みを称え微笑むとファンネはとんでもない言葉を口にした。

「では、もぅお止めなさい」

「「えっ!?」」

言われた言葉の意味が通じなかったのか、アーリアは瞳を何度もパチクリさせ、王子も首を傾げている。

「ですから、この際もぅマジミールと一緒になる事をお止めになったら宜しいのです!」

「「ええっ!!!?」」

二人は呆気に取られたように同時にファンネを食い入るように見つめた後、互いの姿に視線を向けるとギュッとその手を絡めるように握り合った。

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まだ最初の方しか読んていませんが、誤字脱字が結構気になります。

もぅ→もう
下さりませ→下さいませ

#483のコメント様 

コメント有り難うございます。
ご指摘頂きましたものは文体表記として敢て使っているものです。

『もぅ→もう』
については、「もぅ」と、言う表現は「ぅ」の表現を抜けるように(例えば呆れ返る時等の表現に)したい時に特に「もぅ」等を意図があって使用してます。

『下さりませ→下さいませ』
については、どちらの言葉も間違いでは無いと理解しています。
言語が「下さい」の場合、「下さりませ」は尊敬語で、「下さいませ」は丁寧語と理解しています。

場合によっては誤字の時もあるかもしれませんが、設定上の世界観に対する自分なりの拘りがあり、敢て使用している部分もありますのでその点をご理解頂き、引き続きお読み頂ければ幸いです。
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