記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第3章-《25.様 相》

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自室へ戻りそろそろマジミールの許へと赴こうと思っていると第三従者ブロンソがサニエルの従者セグウェイを介して手紙を預かって来た。
中には一言『守備上々』とだけ書かれてあった。

サニエルには連絡は一言だけを添え、名も明記せぬ様にと伝えてあった。
もし、何かあり、誰かに見つかりでもすれば後々大きな問題に膨れ上がる恐れもある。
とりあえずサニエルへの返事は保留にし、その状況を踏まえた上でマジミールの許を訪ねる事にした。

地下へ続く階段はかなり長い。
おそらくマジミール程にもなれば、その足音で既に誰が来たのかは推察できるだろう。
安置所へ入るとマジミールは棺にはおらず、傍にある一室のお控え場に場所を移したままの状態で、ティーポットに湯を注いでいた。

「何だ。随分快適そうではないか」

「はい。王妃様のお蔭である程度の生活は確保出来そうです。丁度湯も沸きましたしお茶に致しませんか? このクッキーは街でも評判の店の物らしいです。王子の部屋でも中々このような物を口にする事はありませんでしたのに、何やら不思議な感覚です」

「ああ、ブロッケンのクッキーだな。母上はあそこの物に目が無いのだ。しかし、この様な所にまで持ち込むとはな。結構楽しんでいるのだな母上も。で、その服はどうやって持ち込んだのだ? 私には出来ない芸当だ。下着の替えは私も忍ばせては来たのだが・・・・」

マジミールの衣服は棺に入れた時と異なっていた。
流石に下着以外の着替えはかさばるし用意は出来ないとマジミールにも告げてはいたのだが、一体どの様にして持ち込んだのか?

「簡単な備品と軽食は侍女が最初に持ち込んでくれたようです。その後侍女を下がらせた後暫くすると棺が開けられました。こちらへ案内され、中へ入ると私の着替えが用意されており流石にびっくり致しまして聞きましたら・・・・」

どうやら母はドレスの下のペチコートの中に袋を縫い付けていたらしい。
その中に侍女に内緒で衣類を詰め込み持ち込んだと言うのだ。

「・・・・凄いな・・・・。流石にそれは私も思いつかなかった・・・・。女ならではの奇策だな」

「はい」

「で、母とは少し話を詰められたか?」

「はい。式当日側妃様を部屋に押し込める件で協力者を探してほしいとの事でしたが、それにつきましては何やら王妃様に御心当たりがお有りの様で・・・・」

「母上に?」

「はい」

「で、その母上の心当たりと言うのは?」

「・・・・それが・・・・、ジリル様にお願いしては如何かと・・・・」

「・・・・何だって!?」

一瞬我が耳を疑った。

「無謀すぎる提案だと私も当初は思っておりました」

「それはそうだろう。ジリルにとって側妃は母だ。幾ら母上と懇意にしていると言っても、その様な事を頼むと言うのは酷だろう・・・・」

「いえ、それがそうとも言い切れない節がある様なのです。王妃様は何か確信めいたものを持っておられ『あの子ならば出来る』と言い切っておられ・・・・」

「ほぅ、その根拠は?」

「・・・・どうやら、王妃様はジリル様が・・・・レイチェルではないかと思っておられるようなのです」

「何だと!?」

レイチェルと言うのは前世におけるこのマジミールの双子の妹で、かつて自分を城から逃がす為に命を落としたと言う自分にとっても恩義のある者の名だ。
おぼろげでしか記憶にはないが、マジミールが言うのだからその点においては間違いないだろう。

「しかし、どうして母上がその事を? いや、元より母上はどうしてレイチェルの事を知っているのだ?」

自分にとっては今や、その事の方が気になる事柄になっていた。

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