記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第3章-《26.想 起》

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母の一族に前世における記憶を持つ者が多いと言う事は知っていたが、今まで母からそれらしい話を聞いた事は一度も無かった。
それ故母は無関係だと漠然と思っていたのだが・・・・。

「漠然とした思いの様なのですが、初めてジリル様と言葉を交わされた時、何処か懐かしさを覚えサロンに招いたのだそうです。その後、交流を深められて行く内に、ある時息子の婚約者にとかつて自分が望んだ娘がいた事を思い出されたのだそうです」

「そのような事が・・・・」

と言う事は、母も同じ時代に前世において存在していた事になる。
何と言う奇遇なのだろう。

「最初は思い出し唯々懐かしんでいらしたようなのですが、やがてその娘の姿がいつの間にかジリル様の姿と重なるようになり、疑問を持たれたのだとか」

「では何か? 我等とも過去において何か関わりがあったと言う事か?」

「はい。どうやらその様なのです・・・・」

過去に強い想いを残した者が現世において転生する事が多いと言う。
確かに戦いに敗れ、我等ザイルにはその様な無念を抱えて死んでいった者が多く居たであろう。
だが、これ程多くの者が私の周りに集まると言うのは想定外の出来事だった。

「そうなのか!?」

「確かに、幼少期よりレイチェルはラルフグレード様の婚約者候補に推挙されておりましたから、そう言うことであれば確かにそうなのかと・・・・」

「いや、何だって!? 今何と言った? そんな話、私は初めて聞いたぞ!」

「あれ? 言っておりませんでしたか?」

「聞いていない!」

「実は、そうなんですよ」

「そうなんですよってお前・・・・。まぁ、良い。しかし、その母上が息子の婚約者にと考えていた娘と私の婚約者候補の娘が同じであったと言う話は奇遇だな」

「・・・・何を言っているんですか? 奇遇も何もそんな偶然が重なる訳無いじゃないですか」

「・・・・では、・・・・まさか・・・・」

そんな事があるのだろうか?

「そのまさかです。王妃様の申し上げる事を要約し、私の知る限りのかつてのザイルの状況とその他もろもろを踏まえて考えた結果、今の所王妃様がおそらく過去においてもセイラル様の母上であらせられた事に間違いは無いかと・・・・」

「・・・・何だって!?・・・・」

正に今更な話だ。
それに自分で産んだ息子ではなくて、何故ジリルで思い出すんだ?
それだけ当時母上は、そのレイチェルを気に入っていたと言う事か?
確かに『やっぱり息子は駄目ね。相談も無く勝手に相手を決めちゃうんだもの。女の子だったらきっと色々相談してくれて楽しかったでしょうね。男の子なんてそう言う所はつまらないわねぇ』なんて言っていた。
隣国の王太子に嫁いだ以上、跡継ぎの男子を産むのは王太子妃として嫁いできた母にとっては必須条件だ。
だが、それを抜きにして、母はきっと娘が欲しかったのだ。
それ故自分は跡継ぎを産むと言う大切な使命を果たしたと言うのに、父の側妃への執着はおそらく裏切りとも思える行為に思えたに違いなかった。
求めていた娘が実質的にはもはや望めぬと分かった時、今思えば母はどれ程無念であったか。
何処かに、きっと諦めきれない思いがずっとあったのだ。

母にリアの存在を明かした時、もし娘が生まれていたら大きくなったら恋愛話を聞いてあげて色々とアドバイスしてあげたりするのが夢の一つだったと言う話を聞いた。
それ故か、今はアーリアに是が非でも早い内に娘を産んでもらい、孫とそう言う話をするのが夢なのだと言っている。
何処か少女じみた所が今も残る母ではあるが、そう言う点から言って結婚しても嫁姑問題はおそらく勃発しないだろうと漠然と思っている。
今もかなりアーリアを気に入ってくれている様だし、それはそれで良かったとは思うのだが、息子としては自分では無くジリルで過去を思い出す辺り、少し心穏やかでない所もあった。だが・・・・。

(まぁ、その方が母上らしいと言えばらしいか・・・・)

何処かでそれを認めている自分が居たのも事実だった。

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ポール・ブリッツ様 

返信遅くなりました。纏めて失礼致します。
色々とご配慮頂き有り難うございます。
そうですね。それも捉え方としては一理ありますね。私も結構悩んだ点ではあったのですが、最終的に結構絡めたいキャラだったのでこういう事になっちゃいました^^;

それと目次の件感謝です!!
全然気づいてませんでした><;
有り難うございました。助かりました。

いえいえ、お心は理解できますので。
いつもコメント有り難うございます。

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