記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第3章-《31.告 白2》

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王は混乱していた。
亡くなったと思っていた王子が実は替え玉であったとは・・・・。
と、言う事は・・・・。

「しかし、目の色も髪の色も・・・・、面差しもあった・・・・」

「私の親戚筋の者ですから幾らか似ている所はあります」

「私をずっと謀っていたのか? 王であるこの私を裏切って・・・・」

王妃の裏切りに落胆した。まさか私を謀っていたとは・・・・。

「当時、この話を受け入れたのは王であった頃の私だ。お前は側妃を寵愛し当時言ってはならぬ言葉を口にした。そのような者に大切な跡取り王子の秘密を明かす訳が無いであろう?」

「何を言って・・・・。言ってはならぬ言葉?」

何だ? 私は何と言ったのだ!? それ程許されぬような言葉を発しただろうか?
全く覚えが無かった。

「覚えていないのか? 生死をさ迷うセイラルを見舞った後、お前は私にこう告げたのだ。『サニエルが生まれた後で良かった』と・・・・」

「・・・・あっ・・・・」

思い出した・・・・。
侍医からもぅ助からぬかもしれないと告げられ、落胆した私はその現実を受け入れることが出来なくて、生まれたばかりのサニエルに縋ろうとしてしまった。
自分には、まだこの子が残されていると・・・・。

「あなた・・・・、それは本当なのですか?・・・・」

「いや、そうではない・・・・。確かに言ったかもしれないが・・・・他意はない。セイラルがどうでも良いと思った訳では無い。跡継ぎが居なければ王家は成り立たぬゆえ思わず口にしただけの事で・・・・」

跡継ぎの王子が居なければ国は滞る。それを気にするのは当時王太子であった自分にとっては当然の事では無いのか?

「・・・・まさか、それをナジリルにも告げたのではありませんよね・・・・」

「・・・・それは・・・・」

「申したのか!!」

父の鋭い声音に身がビクンッと慄いた。

「・・・・はい。しかし、それは・・・・」

父は額に手を当て当惑しているようだった。
無言のまま徐に頭を左右に小さく振った。

「ナジリルばかりを責められぬな・・・・。お前の心ない一言が、今回の事件の発端かもしれぬのに・・・・」

「それは如何言う・・・・?」

「今回のセイラル王子の死は、お前の寵愛する側妃ナジリルに尻尾を出させる為の物だった。こちらに戻って来てからも、セイラルは何度も毒を盛られておる」

「・・・・ど・・・・毒を!?」

まさか! と思った。

「・・・・知らぬのか!?」

「知りませぬ! それに私は予てよりセイラルの王太子としての能力を高く認めておりました! セイラル程優れた王太子は居ないと思っております。サニエルと比べるまでも無く、私等より政務もそつ無くこなし・・・・では、あのセイラルは・・・・?」

替え玉にあのように政務を預け、頼りにしていた私は何と言う間抜けな王なのか・・・・。
頭を抱えたくなった。

「安心せい。部屋での政務は全て本物のセイラルが熟しておった。何の問題も無い」

常に替え玉の側におり、代わりに政務を熟せる者と言えば一人しか居なかった。

「・・・・では、あの従者が? セイラルの従者が本物のセイラルなのですか?」

「それ位の洞察力はまだ残っているのだな」

「では、セイラルは・・・・生きているのですね・・・・」

王の瞳は心なしか潤んでいた。

「ああ、生きておる。本物のセイラルも、従者マジミールもな」

退王はここでセイラル王子の死の真相とからくりを息子である王に初めて明かした。
侍医補佐として連れて来たレナン・ポカソにも側妃の依頼した毒薬やその他諸々の資料と共に提出させて。

それに王は狼狽する。
寵愛する側妃が、まさか自ら手を染めると言うその様な手段に出てまで王太子を殺そうとしているとは夢にも思っていなかったのだ。
側妃に問い正し、真相を聞きたいと思った。
だが、もはやそれは許されない・・・・。

「ナジリルとは連絡は取れぬぞ。我等は式までここで待機する。ここに既に証拠は揃っておる。全て写しだがな。もしもの事を考え原本は信頼出来る者に預け別所に保管しておる。今ここには証人もおる。これを手にお前がどの様な采配を取るのか見守る事にしよう。だが、今一度側妃を不問に処しセイラルを謀る事あらば分かっておろうな。今の地位は無きものと思え! 既にセイラルの周囲に身を置く人間も揃えておる。その者等はお前の周囲に居るような縁戚や金に物を言わせて雇った者等ではないぞ。私と共にこの2年真相を暴くべく奔走し、その中で信頼を得て共に在りたいと自ら望んで参じた者達だ。中には私の側近として働いて来た者も居る。お前に勝ち目はないぞ」

セイラルが生きていてくれた・・・・。
その事は純粋に嬉しい。
だが・・・・。

苦渋の選択を強いられて、素直に息子の生還を喜べない王がここに居た。

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