記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第3章-《37.正 体》

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抱きしめる優しい腕に包まれて、涙は更に溢れ出した。

「・・・・まっ・・・・マジミール・・・・ひっく・・・・さま・・・・。酷い・・・・。ずっと待っていたのに・・・・」

「あぁ、済まないアーリア。もう少し早くに来て、この場で貴女を待っているつもりだったのに、色々両親への報告が長引いてしまって・・・・。こんなに泣いてはせっかくの花嫁が台無しだな。ファンネ早く整え直してやってくれ」

「・・・・セイラル様・・・・、何もこの様に突然な現れ方をしなくても・・・・。アーリア様が混乱されているではありませんか!」

「すまん。でも、もう時間が無い。急ぎ頼む」

「本当に勝手なんですから! アーリア様を泣かせるのはこれが最後にして下さいよ!!」

「済まないファンネ。これからは、このように泣かせる事だけは絶対にしないから・・・・」

「まぁ、こんなに崩れてしまって・・・・。マジミール、ターニアに化粧箱を持って来させて」

「はっ、はい。只今!」

ファンネはあのマジミールと名乗ったセイラル様をマジミールと呼び捨てし、この私のマジミール様を・・・・今・・・・何と言った・・・・?

「・・・・セイラル・・・・さま?」

しゃくり上げて泣いていたアーリアはゆっくりと小首を傾げながら顔を上げると、身を支える愛しのマジミールの姿を凝視した。
驚きのあまり涙はピタリと止まってしまった。

「はい。この御方こそがアーリア様の本当の婚約者で、この国の第一王子セイラル・グレシェード・ボナン・ガブリエラント殿下でいらっしゃいます」

ファンネの言葉に身震いした。

「・・・・う・・・・そ・・・・」

思っても居なかった事実にアーリアはとても直ぐには信じられなかった。

「なんだ・・・・、そのウソと言うのは・・・・」

「だって・・・・。ほん・・・・とうに・・・・!?」

「本当だ」

アーリアは驚きの余り瞳を何度もパチクリと瞬きし、その場で固まった。
幾ら聞いても直ぐにはとても信じがたいこの事実。

「・・・・では、どうして本当の事をずっと告げて下さらなかったのですか? 私、ずっと悩んでいたのに・・・・」

セイラル王子の婚約者でありながら、従者であるマジミールに恋心を抱いてしまい、どれ程悩んでいたかをこの方は知っていた筈なのに・・・・。

「実は・・・・、ずっと命を狙われていた・・・・。詳しい事情はまた後でゆっくりと話すが、敵を誘い出す為に素性を隠し偽る必要があった」

「・・・・おっ、お命を!?・・・・」

まさかの思いがけない言葉にアーリアは背筋の凍る音を聞いたような気がした。
再び不安が押し寄せ、止まっていた涙が瞳から溢れ出して来た。

「で、でも、それはもう大丈夫だ。全て先程解決した!」

アーリアの瞳から溢れ出る涙に、慌ててセイラルは言葉を付け加えた。

「・・・・もう泣かせないって、おっしゃったばかりですのに・・・・」

呆れたようにファンネが鋭く突っ込めば「これ位は勘弁してくれ」とギュッとアーリアを抱きしめその目元にそっと口づけた。

「もう絶対に・・・・、何があっても貴女を離しはしないから・・・・。覚悟しておいてくださいね」

愛おし気に自分を見つめる眼差しは、間違いなく愛しのマジミール様のもので、髪の色は違うけれど、この深くて淡いブルーの瞳にはこの髪の方がとても映えると思った。

「・・・・は・・・・いっ・・・・!!」

溢れる涙を拭いながらやっと言葉を紡ぎ出せば、優しく微笑む満面の笑顔。

「ああ、愛しているよ、アーリア・・・・」

「私もです。殿下・・・・」

周囲が気になり名前では呼べなかったが、ずっと夢にまで見ていた王子様の愛の言葉に更なる涙が溢れ出し、アーリアは結局暫く化粧を整える事も出来ぬ程の歓喜の涙に暮れた。

その暖かな腕の中に包まれながら、アーリアはしばし幸せに酔いしれた。

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~ Comment ~

NoTitle 

しかしこの後でひと波乱ありそうな……側妃さんそう簡単にやられるタマでもなさそうだし。

ポール・ブリッツ様 

あっ、その話もカットしちゃったんですよ^^;
以前別サイト方で質問来て側妃様のその後を少しお話しました。
とりあえず彼女の事は最後に少し触れたかな?既に覚えてない^^;
でも、そのお話は短編でやはりいつかss書きたいかなと思ってますので、側妃様のその後についてはそちらを何れ見て頂けると・・・・。
ご想像道理私の頭の中でも彼女は囚われても大人しくしてないです^^;
いつもコメント有り難うございます。
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