記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第3章-《41.嘗 て》

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誰なの? この方は?

知らないけれど・・・・、いえ、何処かで会った気がする・・・・。
一体何処で!?

「・・・・あの・・・・貴方は?」

「やっと、見つけ出したぞ・・・・。リアーナ・・・・」

「えっ!?」

・・・・リアーナ・・・・ですって?

「覚えていませんか? ジャンですよ。ショックだな、貴女とはかなり親密な関係だったのに・・・・」

「・・・・親密な!?」

聞き覚えはある名だった。
でも、ラル以外に親密な関係の者なんて自分には全く思い当たらない。
分らない・・・・。けれど知っている気がしてならない。
一体何処で・・・・?

「思い出せない!?」

「・・・・申し訳ありません。知っている様な気もするのですが、御免なさい・・・・。思い出せません」

「貴女の婚約者だった男ですよ。忘れられているなんてホントにショックだなぁ」

!! ・・・・思い出した・・・・。
そうだ。父と結託して私を無理矢理我が物にしようと・・・・。そして私は・・・・あの子を・・・・。

「・・・・まさか・・・・あの・・・・、ジャンなの? でも、・・・・貴方までこんな所に居るだなんて・・・・」

何という因果か!
全身が小刻みに震え出し、止まらない・・・・。

「まんまと王子を騙して王太子妃に納まるとは、良い御身分だな!」

鼻でせせら笑って、いかにも嫌味な感じだ。全くあの頃と印象は変わっていない。

「なっ、何を言っているの!?」

「父親も分らぬ子を身籠っていたアバズレが! 王子がお前の本性を知ったらどうなると思う? あの後俺は散々だった。お前のお蔭で伯爵家を手に入れる事もままならず、今度は大した身分も持たぬ身で苦労させられる。親戚を頼り、何とかこの場の警備に入り込めはしたが、お前に一泡吹かせてやらなきゃ気が済まないんだよ! あのお方の為にもなぁ!!」

アーリアに食い下がり、その胸ぐらを掴み押し倒すと、その上に男は覆いかぶさった。
全身が恐怖で凍り付き、全く動けない・・・・。

「やッ! やめてッ!! だっ、だれかッ・・・・ラル・・・・助けてッ!!」

あの時の恐怖が頭の中に蘇った。
どれだけ泣き叫んでも無駄で、どれだけ呼んでもラルが来る事は無かった・・・・。
今回も駄目なのか!?
絶望の中で、それでも口だけは何とか動かす事が出来た為、アーリアはセイラルを懸命に呼び続けた。

「こんな所に誰もこねぇよ!!」

告げる言葉の先からアーリアのドレスの中に手を忍ばせ、もがくアーリアの足を押さえ付けるとそのまま顔を近づけて来た。
無理やり唇を奪われる!
っと思い覚悟し、必死で唇を噛みしめた正にその時。

「そこまでだ!! 現行犯だ!!」

辺りを何人もの憲兵が取り囲み、その後ろに騎士姿のマジミールと王太子セイラルが立っていた。

「アーリアッ!!」

「らっ、ラル・・・・」

セイラルは駆け寄るとアーリアを強く抱きしめた。
その表情は苦痛に満ちたものだった。

「すっ、すまない・・・・。君にまた、辛い思いをさせて・・・・。でも、これが本当に最後だから・・・・」

抱しめる手がかすかに震えているのが分かった。

実は二人の愛が深まったあの秘密の告白の後、セイラルは前世でアーリアの婚約者だったと言うあの男の事がどうしても気に掛かったようだった。
色々と調べる内に彼が現在王宮に勤める警護の者の一人で実家は廃れてはいるが一応男爵の家柄らしいと言う事が分かった。
だが、三男として生まれた彼には継承する爵位も無く、方々のパーティ等に率先して参加しては婿養子になれる家を探している様だと言う報告が上がって来た。
その最たる人材として彼が目を付けたのが、母方の遠い親戚筋であるマーシャル侯爵家だと言う事を知った時、セイラルは全ての事を理解した。
あのアーリアの事件があった時に城内の警護をしていた者の中に、その者の名が無いかと調べてみればビンゴだった。

「君に前世での弓の名手の婚約者の話を聞いて、あの者の事を思い出した」

「以前から御存知の者だったのですか?」

「いや。君を探している時に偶然出会ったのだ。それで、君の話からすればもし過去の記憶を持ち、君の存在を知ればきっとじっと等しておれなくなるのではないかと懸念し、裏を探らせていた」

すると、とんでもない情報が入って来たのだ。
あの、マーシャル侯爵令嬢と既に懇意だと言うではないか!
これは、絶対何かあると思った。

「過去の経緯もあるからね・・・・。何としても永遠に君からあの者を遠ざけたくて、ずっと張らせていた。私の命だけならいざ知らず、君とその中に宿る命まで奪われたんだ・・・・。絶対に許せなかった!!」

「・・・・私、全く何も知らなくて・・・・。ラルは私の為に、私の知らない所で色々と動いて下さっていたのに・・・・、本当にごめんなさい・・・・」

「君が謝る必要は無い! 君は知らなくて良い事だったんだ。でも、今日のこの会場で、警護の者の中に彼を見つけたんだ。彼の様子を自ら探りたくて実は君から離れた。母にああまで言われて流石に少しは腹も立てていたから頭を冷やすつもりもあったけれどね」

「では、わざと私が襲われるのを見ていたと言うの!?」

「それは違うよ! ・・・・ただ、君にヤキモチを焼いて欲しいと言う想いを全く抱かなかったのかと聞かれれば無かったとは言わない・・・・。けれど私がどんな思いでずっとマジミールの傍に居る君を見ていたのか君にも分かって欲しい。私とて、とても辛かったんだ。だから君から離れた私を君が気にかけてくれているような素振りが伺えて正直嬉しかった。ちょっとした優越感に思わず浸ってしまったら少しだけ気が散漫になってしまったみたいで奴を見失ってしまい、探していたら更に君の姿まで見えなくなったからかなり焦ったよ」

「・・・・ごめんなさい・・・・そんな事とは知らないものだから、私一人で勝手にヤキモチ焼いちゃって自分からあの場所を離れてしまったの・・・・。軽率でした」

「いや、謝るのは私の方だよ。何があっても君から離れるべきでは無かったんだ・・・・。御免、リア・・・・」

マーシャル侯爵とその周辺の事はあのジャンの周囲の調べと共に今後少しずつ解き明かされて行く事だろう。
そうすればアーリアに対し敵意剥き出しだったあのマーシャル侯爵令嬢ラザニアの態度もきっと変わるに違いない。

結局、この夜の晩餐祝宴会ではセイラルもアーリアを抱き上げて移動するような仰々しい事はしなかったが、ずっと二人は寄り添い仲睦まじい姿があったのだと言う。

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