記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第3章-《42.仕 度》

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挙式当日の祝いの宴が全て終了したのは日が翌日に変わろうとする深夜だった。
アーリアの部屋の前で少しだけしばしの別れ。

「・・・・離れたくないな・・・・。私もアーリアの部屋で一緒に湯に入ろうか・・・・」

「馬鹿ッ!!」

「イテッ」

セイラルは顔面を両手で遮られ、アーリアは恥ずかしそうにそのまま部屋へと入って行った。

「ああ、何て可愛いんだ・・・・」

「セイラル様、あまりふざけが過ぎますとアーリア様に嫌われますよ!」

「ファンネ!!」

アーリアの帰りを戸口辺りで今か今かと待ち構えていたファンネに咎められた。

「さぁ、そこに何時までも突っ立ってられては迷惑です。女の仕度は大変なんですから。アーリア様に早く訪れて欲しいのならば邪魔だけは決してしないで下さいよ!」

「・・・・何でもお見通しなんだな。お前は・・・・」

セイラルは頭を掻いて少し照れくさそうな表情を覗かせた。

「勿論です。セイラル様と何年の付き合いになると思っておられるんですか?」

「ファンネには敵わない・・・・」

実はセイラルは自分の仕度を急ぎ済ませたら、直ぐにでもアーリアの部屋まで押しかけようと思っていた。
だが、それをファンネに見透かされ、来るなと言われてしまったのだ。
少し口惜しいが、後少しの辛抱だ。既にアーリアは私の手中にある。
もう、誰からも取られる心配も無ければ、障害も邪魔立てする者も何も無い。

「まぁ、良いか。とりあえず私も仕度をしなければな」

セイラルはとりあえず自室へと入って行った。


一方アーリアはと言えば、直ぐに着ているものを全て脱がされ、今日はターニアとファンネの二人がかりで、綺麗に湯殿で磨かれていた。

「まだ、出ては駄目?」

「駄目ですよ。ぬるめの湯で長く入ると副交感神経を和らげよりリラックスできるのです。その方が早く御子も授かりやすいですから、アーリア様は熱いお湯がお好みですが、今夜からはぬるめのお湯に長めに入って頂きますからそのおつもりでいらして下さい」

「なっ、何を急に言い出すかと思えば・・・・ふぁ、ファンネも気が早いわよ・・・・」

ぬるめのお湯にまだ5分しか浸かっていないと言うのに、アーリアの全身は既に真っ赤になっていた。

「早くないですよ。正式にご結婚されたのですから、こう言う事は早いに越したことはありません」

「そうですよ。アーリア様、セイラル様は、側妃は娶られないと既におっしゃって下さっているのですから頑張って下さいませんと・・・・」

「・・・・がっ、頑張るって・・・・そんな・・・・」

口を開けば初夜の事を匂わせる話ばかりで恥ずかしくなってしまう。
自然と半身浴ではなく肩より深く浸かってしまう・・・・。
顔を上げれば更なる言葉を投げかけられそうで、どうしても自然と俯き加減になってしまっていた。

「アーリア様長く俯いたままで居ますと血が頭に上ってしまいますよ。もっとゆったりしてリラックスされて下さい」

(・・・・・誰のせいで顔を上げられないと思っているのよぉッ)

「えっ、ええ・・・・」

アーリアはもう金輪際二人で一緒に湯の世話をして貰いたくないと思ってしまった。

それは勿論、自分も早くセイラル様との間に御子が授かれば良いとは思っている。
前世での悲しい出来事があるからかもしれないが、もし授かればあの時の子に再び会えるかもしれないとすら漠然と考えてしまう自分が居るのだ。
勿論二つとして同じ命は無いと言う事は分かっているけれど、前世で叶えられなかった夢を今こうして現実の物とした自分たち二人の許にならば、あの時の御子がまた来てくれる事も夢では無いのではないかと思わずにはいられない・・・・。いや、来てくれると信じたいのだ。
本当にあの時、ラルを失った自分を勇気づけてくれたのはあの子だったから・・・・。
出来る事ならば、今度こそ幸せにしてあげたいと願わずには居られなかった。
けれどやはり、こればかりは授かりもので、そう簡単に上手く行くものでは無いとも思っている。
母だって自分を授かったのは結婚してから3年目の事だった。

「あっ、でも、そんなに気負いしなくても良いですからねアーリア様。それは早いに越したことはありませんが、こう言うものは授かりものですから・・・・」

取って付けたように言われても、今更だ・・・・。
セイラル様が王太子である以上、周囲の期待が大き事は頷けるし分かっているけれど・・・・。
だけど・・・・。

(プレッシャーあまりかけないでよぉ―――っ!!)

色々悶々と考えていると、何だかかなり身体が火照って来て・・・・。

(あれ?何だかクラクラする・・・・ような?・・・・)

ぶくぶくぶくぶくぶく・・・・・。

「あっ、アーリア様!?」

「まぁ、アーリア様っ!!」

のぼせてしまい、結局湯場で撃沈した・・・・。

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