「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

2013年Xmas特別企画/幸福の在処5~パウリンの娘番外編~

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王の形相に誰もが慌てて退いて行く。
歩く速度はまるで小走りでもしているようでかなり足早だった。

「シザーレ!! フリードルとブレインを呼べ!!」

アイスラントは執務室へと向かう途中で、居てもたっても居られぬと言う状況に陥っていた。
扉を開けぬ内から叫び声を荒げた。

何てアイツは馬鹿なんだ!!

自分を信じきれない妻に腹が立った。
手紙にあった某子爵未亡人と言うのはおそらくあのサーベラだ!
息子も居ると聞いてはいたが、それはアイスラントが19の歳の時に生まれた子で、自分が父親と言う事は有り得ない。確実に姉が嫁いだ後に出来た子供だ。
それもその息子の父親は上の姉の夫であるあの、オイゲン伯だと聞いている。
出産で帰宅した折、姉が侍女に裏切られたと騒いでいた。
とんだお門違いだ!
そのような茶番に何故自分は今になってつき合わされなければならないのか!?
とんだ濡れ衣だった。

呼びつけた二人に事の詳細を伝え、憲兵総監のブレインに直ちに調査をさせ、王妃の行方を捜させた。
フリードルには自分と一緒に数名の憲兵と共に手紙の主である重鎮の一人マグナーヴェル伯爵邸に赴く事を任じた。


マグナーヴェル伯爵邸では大騒ぎだ。
王が通常自ら屋敷に訪れる等有り得ない。
これは間違いなく先日の件であろうと伯爵は予測した。
今回の件は伯爵にとっても一つの賭けだった。
マグナーヴェル伯爵家は代々国の重鎮として連なる由緒正しき家系だった。
それが2年前、前王側に一時期とはいえ付いた事により、罪には問われないまでも重鎮としては名ばかりの地位で殆ど発言権等与えられていない。席に着いているだけの詮議における数合わせに等しい存在だった。
王の周りでは多くの新しく登用され人材が育っており、その者達がやがて一定の年齢に達すれば、おそらくこの重鎮の列に就く事になるだろう。もはや我が伯爵家に未来は無かった。
今の地位も自分の代か、良くても息子の代で終わる事は確実で家の為に今回このような賭けに出たのだ。
王は怒っているか、笑っているのか?
邸の外に出て、王の傍らに宰相と王宮騎士統帥本部長と数名の憲兵、そして王の険しい表情を見て、伯爵は全てを悟った。
この地位が終わりを告げるのだと・・・・。


王は重々しく口を開いた。

「私の居ぬ間に王妃にこの様な書状を送り付け、某未亡人と共に接触した事について、何か反論があれば聞こうか?」

「ございません。確かに5日程前にナサニアの別邸でお会いさせて頂きました」

「勝手に王妃との場を作り、密会すると言う事が私に対し何を意味するのか分かっているのだろうな?」

「そっ、そそそそれは!!」

まさか王は自分と王妃の仲を疑っておられるのか!?

「滅相もございません! 私は王の庶子を野放し出来ず、是非城に迎えてはと言ったまでの事で・・・・、それにもうお一人お生まれになるのでしたら側妃に迎えるのも当然だと思った次第の事でして、そのような不義を疑われるとは全く持って遺憾でございます」

伯爵はとにかくこの場を取り繕おうと必死だった。会談と密会では意味は大きく違って来る。

「・・・・お前、今何と言った!?」

アイスラントは我が耳を疑った。かつての庶子疑惑だけでは無く、ローレライは現在の自分の不貞までも疑っていると言うのか!?

「既にグローリア子爵未亡人は4か月の身重にございます。さすれば側妃に迎えるのも当然の事と存じ上げますれば・・・・」

「フリードル! この者を捕らえよ!! 王妃との密会のみならず、我に対する侮辱な発言があった! 見過ごせぬ!!」

もう帰って来ないかもしれない・・・・。
ローレライを不貞疑惑で傷つけたのはこれが初めてでは無い。
しかも今度は前回とは比べものにならない程の卑劣な内容だった。
あの女を野放しにしておくべきでは無かったのだ。
何処まで卑劣な女なのだと心底憎悪した。

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~ Comment ~

NoTitle 

いや、これはローレライさんのほうが悪いよ(笑)

兄上ともども、宮廷生活に向いてない人だなあ(^^;)

国王陛下、いつもいつもたいへんだなあ。ご同情いたします(^^;)

ポール・ブリッツ様 

ローレライ逃げに入っちゃいました^^;
彼女の場合やはり聞いてデンと構えられないだろうと・・・・。
でも、彼女なりに葛藤しております(笑)
まぁ、宮廷生活に簡単に馴染むような者ならば、多分アイスラントは好きになってないでしょうけどね。

王もこう言う娘を好きになってしまったのだから苦労するのは仕方ないですね^^;
でも、周囲にぼやいたりもしてますが(苦笑)
いつも、有り難うございます。
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