「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

2013年Xmas特別企画/幸福の在処6~パウリンの娘番外編~

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ローレライは第二侍女サンドラの案内でサンドラの姉であるマファニアの屋敷の世話になっていた。

「お加減は如何でしょうか?」

「今日はだいぶ良いみたい・・・・」

「それは宜しゅうございました」

「では、スープだけでもお持ち致しますね」

「有難う、サンドラ」

「本当にサンドラが居なかたらどうなっていた事か・・・・。でも、王妃様、本当にこれで宜しかったのですか?」

第一侍女のメイテルは今のこの状況が最善だとは思っていない。
主人はショックのあまり衝動的に身を隠す選択をしたようだが、それが王の・・・・ひいては国の為になるのだと必死に思い込もうとしている節があると感じ取っていた。
依然、頑なな姿勢を崩してはいないが、自分はあのナサニアの別邸での事がとても全て事実だとは思えなかったのだ。
過去の事は変えられないかもしれないが、少なくともあの未亡人のお腹の中の御子がとてもあの王妃を溺愛する実直な王とはどう考えても結びつかなかったのだ。
シザーレ殿の話では、そろそろ側妃を迎えては如何かと言う重鎮等の話を悉く足蹴にしていると言う。
『世の男は浮気者』その言葉を風潮する者が居る事を否定はしないが、例外もあると思っている。特に我が王などはその最たる存在であると認識していたのだ。

「良いのよ。イシュラルの屋敷に帰れば連れ戻されるのは目に見えているもの・・・・。マフィニア様はとても優しい方で、落ち着くまでここに居ても良いと言って下さっているし、私も直ぐには働けないけれど、この子が無事に生まれてくれたら・・・・何処かに働き口を見つけようと思うの。ただ、幼子を抱えた世間知らずの私を受け入れてくれる所があるかが問題なのだけれど・・・・」

問題はそこでは無いと思う・・・・。
まかりなりにも一国の王妃に一般労働をさせられる筈も無く、おそらくそれは絶対に無理な事だった。
その前に見つけ出され、連れ戻される事は確実だ。
サンドラの姉には王妃の事は妃の御友人で最近夫を亡くした領家の未亡人と言う話になっている。

この屋敷に入って3日が経過した頃、依然王妃の気分は一向に回復する事が無く、更に酷くなっていた。
気分が優れないと言うのは当然としても、度重なる貧血に似た症状と、微熱が続いていた事からもしかして・・・・と思い至った。
その事実を唯一の経験者であるのサンドラの姉君であるマフィニア様に相談すると、急ぎ医師を手配してくれた。
そして告げられたのだ。今回の懐妊を。
本当ならば歓喜を持って迎えられる国の重大吉事。
だが、王妃は何があろうと城に戻りたくないと言う強固な姿勢を崩しておらず、このまま暫くここに身を隠す事となってしまったのだ。
戻るにしても戻らざるにしても、今身を動かし再び馬車に揺られる事はお腹の御子にとっても良く無い事だ。
知らなかった事とは言え、王妃は既に長時間馬車に揺られ、お腹の御子を危険な目に合わせた事をとても後悔していた。
よくよく考えてみれば少しは異変があったのだ。
普段きっちり来る筈の月のものが遅れていたし、ずっとわずかだが胸やけもすると言っていた。
しかし、それはあの手紙が来た事が関連して精神的な事から起きている症状だと信じて疑わなかった。
王妃とは実家の邸からの長い付き合いになるが、以前から大きな行事や思い煩うと似たような症状になる事は今までにも多々あった事からすっかり見逃してしまっていたのだ。
メイテルは懐妊が分かるや否や、深く反省した。


幸い妊娠初期に無謀な行いをしたにも関わらず、今の所経過は順調で多少無理した事から念のため数日の安静を言い渡されたが何の問題も無かった。
このまま順調に行けば、丁度クリスマス頃には安定期の4か月に入る。

何も無ければアイスラントと二人でこの子の事を喜び、毎日楽しい幸せな日々を過ごしているに違いなかったのに・・・・。

もう引き返せないと分かっていても、ローレライの心の片隅にはいつもアイスラントのあの柔らかな笑顔が見えていた。

(ゼロ・・・・。貴方に会いたい・・・・)

そっとお腹に手を当てローレライは心の中で語り続けていた。

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~ Comment ~

 

子が産めない以前にこんな無責任なバカ女は王妃失格でしょ

#1107 様 

初めまして。今日は。

確かにローレライは理想と言われる王妃の器では全くないと思います。
ですが、この世界ではローレライの持つ力が大きな意味をなしています。ローレライの一番の役割は、新王と新政権の行く末をパウリンの力の許に導くことにあります。
その点、ご理解頂ければ幸いです。
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