「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

2013年Xmas特別企画/幸福の在処7~パウリンの娘番外編~

 ←2013年Xmas特別企画/幸福の在処6~パウリンの娘番外編~ →2013年Xmas特別企画/幸福の在処8~パウリンの娘番外編~
おそらく王妃は城に戻りたくない訳では無い。戻りたいと思っている筈だ。けれど、王が他の者に目を向ける事が耐えられないのだ。それ故戻れないだけなのだ。
王には既に庶子とは言え世継ぎも居る。新しく子も誕生するとなれば、自分に子が出来た所でそう大差はない。自分が傍に居なくても国は成り立つ。だから居る意味が無い。
そう思い込もうとしているようだった。

「お妃様。私、一度お城に戻ってみようと思います」

メイテルは、王妃の気持ちを察し、何か手を打とうと思っていた。
だが、真っ向から否定されてしまった・・・・。

「駄目よ!! そんな事絶対にダメ!!」


もし、宰相やアイスラントに言いくるめられ、今ここの居場所が明らかになってしまえば、他に行き場は無くなってしまうのだ。
ローレライは頑なに拒否し続けた。

「しかし、このままには出来ません。城にこのまま戻らないにしても、王妃様のお腹の御子はこの国の国王の子。正妃様の御子です。もし生まれた御子が男子であった場合、第一王位継承者となるのです。決してこのままには出来ません」

けれど・・・・。
そうだ、確かにその通りなのだ。
女の御子であれば自分が引き取る事も可能かもしれないが、男の御子であった場合、この事が分かってしまえば間違いなく城に戻らぬ限り、この子とは一緒に居られなくなってしまう・・・・。

このまま身をずっと隠し遂せるとは思ってはいないが、今はどうしても知られたくなかった。
もし、知られて今アイスラントに会ってしまえば、何かが崩れる気がした。
自分はずっとアイスラントの言葉を拒否し続ける事が出来るのか? 懇願されれば心ならずも受け入れてしまうかもしれない。けれど、その様な状況になれば平常心を保てる自信も無い。心は壊れてしまう・・・・。今はこの子が心の支えになってはいるが今の状況が続けば城へ戻った所で、もう王妃としてやって行く自信も何もないのだ。あの夫人の様に毅然とした態度で居られる程自分は強くない。
けれど、この子さえ居てくれるのならば・・・・。

「お願いだから、もう少しだけ待って・・・・」

「王妃様・・・・」

ローレライは戸惑いながらも今お腹に宿る子の為に、自分がどうあるべきなのかを必死に考えようとしていた。


サンドラの姉の家での生活が2週間を過ぎた頃、事態に変化が訪れた。

「王妃様、邸の周りに騎士らしき者の姿があります!」

時間が出来て、冷静に物事を捉えられる様になった時、ずっとここに居る訳には行かないと思うようになっていた。だから安定期に入ったら場所を移すつもりでメイテルに色々動いて貰って居たのだ。それがきっと悟られてしまったのだ。
まだ、安定期には入っていない今、ここを動く訳には行かないと思っていたが今ならばこっそり抜け出せるかもしれない。
探りを入れられているだけならば、自分等の顔を良く見知っている者で無ければ夫人に対応して貰ってる間にこっそり裏口から抜け出せるかもしれない!
ローレライは侍女二人に荷物を纏めるように言い、自分も邸の裏口の脇に停めて貰った馬車へそっと乗り込もうと注意深く裏口の扉を開いた。

すると思いも寄らぬ者の姿を目にしたのだ!

(アイスラントが何故ここに!? 自分が居なくなった後、きっと我が子とあの者の存在を正式に認め、側妃として迎える準備に忙しく翻弄していると思っていたのに・・・・。まさか、自ら訪れるなんて・・・・)

何れ探しに来るとは思ってはいたが、こんなに早く・・・・それも自らが訪れるとは夢にも思っても居なかったのだ。
一瞬目が合ったような気がして、慌てて裏口の扉を閉め、内鍵を掛けた。


直ぐに出て来る筈の王妃の姿が中々見えず心配したサンドラとメイテルはどうしたのかと、馬車に荷物を置くと再び戻って来た。扉を開けようとしたが中からは鍵が掛かっており開けることが出来ずに戸惑っていた。

「ローレライ様!? どうされたのですか?」

扉の戸をドンドンと叩くが、一向に返事は無かった。

中に居るローレライは心の中で(来ないで! あっちへ行って!)と懸命に叫び続けていた。

すると、扉の向こうから突然重々しい声が聞こえて来たのだ。

「やっと見つけた・・・・。まさかこの様な場所に居るとはなぁ。お前の兄は大したものだ」

その声に、扉の外に居たメイテルとサンドラは慄き、同時に後ろを振り返った。

押して頂けると励みになります^^

にほんブログ村


※一部改稿しました。(H26.1.2)

総もくじ 3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ 3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【2013年Xmas特別企画/幸福の在処6~パウリンの娘番外編~】へ
  • 【2013年Xmas特別企画/幸福の在処8~パウリンの娘番外編~】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【2013年Xmas特別企画/幸福の在処6~パウリンの娘番外編~】へ
  • 【2013年Xmas特別企画/幸福の在処8~パウリンの娘番外編~】へ