突然、超SS劇場

突然、超SS劇場 ~その3~ 気になる女/『パウリンの娘』後日談より

 ←突然、超SS劇場 ~その2~ ムカつくアイツ/『パウリンの娘』後日談より →『記憶の彼方とその果てに』番外編開始します。
久し振りに早く屋敷へ帰る事が出来たサザーランド国の若き宰相シザーレ・ドナヒューはこの日、同じく城勤めをしている中夜勤と言う妹と久し振りに出くわした。

「何だ? 何処かで奴と待ち合わせか?」

雇っている給女頭のハビネス夫人が下宿している若い騎士等の夕食の支度に追われる中でキッチンの一角を借り、その横でいそいそとサンドイッチを作り、箱詰めしている妹の姿。

「ええ。ルシオン様が今日から夜間警護に見習いとして参加されるの。少しでも頑張って頂きたいから、簡単な物だけれどわたし差し入れを持って行って差し上げようと思って」

「ふーん」

ルシオンと言うのは妹の婚約者で、妹が侍女として上がっている王妃の能天気な兄の事だ。
私自身は認めたくも無かった婚約だったのだが、まぐれにもあいつが騎士見習いの審査に合格したものだから認めざるを得ない状況となってしまった。
今も出来る事ならば奴に妹を渡したくないと思っている。
私から見れば、見るからに不釣り合いな二人なのだが、これが両想いと言うから驚きだ。

「何!? 食い入るようにこちらを見入ったりして」

「いや、お前みたいなしっかり者の娘が、どうしてあんな手のかかりそうなまどろっこしい男に惚れたのか今一つ不思議でな」

「・・・・何だか酷い言い様ね・・・・」

少し不機嫌そうな妹の姿にハッとした。

「いや、何と言うか・・・・。その・・・・お前の様にしっかりした娘と言うのは自分とは真逆な性格の者に惚れるものなのかと少し思っただけで・・・・」

「何? 違うわよ。ルシオン様は純粋でとても優しい方で裏表の全くない人なんだから! やると決めたら本当に真剣で・・・・。真逆とかそう言う事は関係ないわ。ルシオン様がルシオン様だからよ」

恋いは盲目と言うが、どう考えてもあの男のあの性格をそうさも印象良く受け取ることが出来るという事は・・・・。

「・・・・・やはり、人は自分に無いものを相手に求めるものなのだな・・・・・」

「えっ!?」

「いや、良い。忘れてくれ」

言った言葉が不味かったのか? 何やら妹の視線が怖い。

「ふ~ん。何? お兄様、もしかして気になる人でもいるの!?」

「わ、私は別のあのような生意気な者の事等何もッ!!」

ハッとして思わず我に返った。

「居るんだ」

「・・・・・別にお前には関係ないだろ」

チラリと自分を見透かす様に覗き込む視線に、しまった!と、思った。

「そうね。別にお兄様の事なんて気にはしないけど、私に性格が似ているのならきっと中々自分の気持ちに気付けず抱え込んでいるのかもしれないわね。相手の出方にもよると思うけどもしそれで手を拱いているのなら最悪ね。自暴自棄に陥ったら最後どんな行動を取るか想像出来ないわね。そうなったら、何を言っても梃でも動かないでしょうし」

「・・・・梃子でも動かない?」

「片意地張って最後まで頑なな姿勢を崩せないタイプだったら更に最悪かもしれないわね」

「・・・・怖い事言うなよ・・・・」

「何? そう言うタイプなの? なら早急に手を打っておかないと、後で後悔しても遅いわよ」

ボソリと最後に呟かれた一言が心を串刺しにした。
早々に仕上がった差し入れ弁当を抱え、機嫌良く出かけて行く妹の後を慌てて追いかけた。
呑気に自宅で休んで等居られるか!
とりあえず、今日は妹と入れ違いで仕事は上がる筈だ。ならば待ち伏せして何処か・・・・。

せめて誤解だけは訂正しようと心に決め、妹の同僚である王妃付き第一侍女のメイテルを初めて誘うべく、自ら行動を起こした。

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