「記憶の彼方とその果てに」
記憶の彼方とその果てに番外編

待ちわびて4~記憶の彼方とその果てに番外編~

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まさかこの年になって、このように年の離れた弟妹が出来ると言う状況になろうとは夢にも思っていなかった。
挙式当日、諸々の事件が終結し、父も長きに渡り寵愛して来た側妃を手離す事となり余程寂しかったのか?
寂しさを紛らわす為にまた新しい側妃でも迎えるのかと思えばそのような様子も見せずに思いがけず母と仲良くやっている様子に、息子としては安堵したものだった。
幾つになってもやはり両親の仲の良い姿を目にすると言うのは、今までが今までだっただけに感慨深いものがあった。
この年になってようやく落ち着く所に落ち着き、父も母の良さを再認識してくれたのかと微笑ましく思っていたのだが、まさかこのような状況になる事は想定外だった。

懐妊自体は勿論喜ばしい事ではあるが、やはり高齢で間の空く出産はかなり難産になる傾向が多く最悪命を落とす場合もあると聞けばやはりそれは手放しで簡単に喜べるべきものでは無かった。
侍医長の話では母の年齢を過ぎて出産を経験した王妃側妃の話も過去にあると言う。だがそう言う場合は何れも間に多くの子を儲けているのだと言う。
それを侍医長は王にも告げ、やんわりと王妃にも伝えてほしいと頼んだらしいのだが、あまりの王妃の喜び様に王は自ら一応話そうとはしたものの、その意図を全く伝えられなかったのだと言う。
そこで困った王が自分に白羽の矢を立て、この度侍医長が政務室へと訪れる事になったと言う事だった。
あくまでこれは政務の一環として、王から私的ではあるが王太子として・・・・息子に対する正式な依頼と言う事だった。
そうなれば何としても母にはきちんと出産におけるリスクも分かって貰い、出来れば身の危険を冒してほしくは無いと言う思いを話す必要があった。
それなのに、既に産む気満々で、性別まで決めつけている母に対し如何いうリアクションをすれば良いのか?

「一体何を根拠に女の子などと・・・・。男の子だったらどうするのですか?」

「いえ、今度こそ絶対に女の子よ! 何故だかわかるのよ。アーリアにも色々心煩わせてしまったけれど、今まで本当に御免なさいね」

アーリアの手を取り、その上に自分の手を添えると母は何か耳元でこっそり囁いた。

「・・・・いえ。そのようなご心配は・・・・」

何やらアーリアはほんのり頬を染めている。

「何ですか? アーリアに何を仰ったのですか?」

母の言葉に二人の間の秘密めいた事情を察知し問いただした。

「別にただ最初は女の子が理想だと仰って下さっただけで・・・・」

「世間で言う産み分けについて色々と教えてあげていたのよ。だって早く女の子が欲しかったから。あっ、でもこうなったら二人揃って同い年の女の子って言うのも悪くないわね。ふふふっ、頑張ってね」

「お義母様っ!」

「余計なお世話です」

とは言いながら、ますます真っ赤になって行くアーリアの姿に、これは後で色々と聞き出さなくてはと思ってしまった。


しかし、普通一国の王妃であれば世継ぎの王子が結婚したとなれば待ちわびるは次の世代の世継ぎの王子なのでは無いのだろうか?
勿論これは授かりものだし、別に最初は王子でも王女でも良いとは思っている。
っと言うか、まだ新婚3か月目だ。勿論出来たかもしれないと思えばそれはそれでかなり嬉しいものだったが、勘違いだと分かればまだ全然アーリアと・・・・、いや、正直暫くはアーリアと二人キリで過ごしたいと思っていたりもする。
落ち着いたら二人で旅行にも行きたいと思っていたし・・・・。
急に決めた婚約と婚姻だった為、政務に調整がつかずまだ二人で何処にも出かけていないのが現状だった。

「あら、なぁに? そのふやけた顔は。これだから新婚さんはやぁねぇ。もうこっちは心配いりませんからとっとと二人で仲良くしてらっしゃい。あーっもう熱いったらぁ」

母は手でわざとらしく風を仰いだりとこちらにはっぱをかけている。

「あ・・・・、いや、これは・・・・」

とても、母に身体の事をもう少し考えて出産に関しては冷静に判断してほしいと話をくくれない雰囲気になって来た。
その為に話に来た筈であったのに・・・・。

だがよくよく母の様子を探ってみれば既に母の想いは固まっており、こうなってしまえばもう誰も母を止める事等出来ない気がしてならない。
母は一旦こうと決めれば、言い出したら梃子でも動かない。そう言う人だ。
そのお蔭で自分はずっと幼い頃より守られて来たのだ。
思わず頭を掻き毟り、目線をフッと下げてみれば傍に寄り添い頬を染め、こちらを見上げる可愛らしいアーリアの姿。
別に今日の政務はまだ終わった訳では無いが・・・・。
飛び出して来た時点で、今日の政務に戻る事等誰も期待していないだろうし、かと言ってこの状況を無視して『政務に戻ります』と言うのも無粋に思えた。

母の長い話を聞きながらアーリア腰を抱き、傍へと引き寄せる。
思惑に嵌るのは些か気が向かないが、結局母の言いなりなるのも悪くないかと傍らで苦笑いを浮かべながらアーリアを抱く腕の力を強くした。

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