パウリンの娘

パウリンの娘《第10章6》

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仕度が整い、鏡の前で自分の姿に凝視する。

「これが、本当に私!?」

「はい。お嬢様は素材がとてもお宜しいからこちらも力が入りました」

侍女は自分の腕に満足したのか大喜びだった。
髪は都会的に結いあげられ、化粧もきっちり施されていた。
屋敷でして貰った時とは全く違い、ドレスもそうだが化粧もいつもより濃く描かれ童顔なローレライが少し大人びて見えた。
普段無い胸もコルセットで絞めて持ち上げられているのでしっかり窪みも見えて自分でも気恥ずかしかった。
高揚して頬を染めていると部屋を誰かがノックした。

「仕度出来たか!? そろそろ行くぞ」

声を掛けて来たのはゼロだった。

「アイスラント様ですわ。さぁお嬢様」

そう言われてローレライは部屋の扉を開いた。

「ほぅ・・・・これは見事に化けたな。別人のようだが・・・・」

ゼロは何か言いかけて言葉を濁した。
褒めて貰えると少し期待していたローレライはショックを受けた。

「・・・・酷い・・・・」

おや!?っとローレライの顔を覗き込む。

「まぁ、綺麗だが、私は普段のお前の方が落ち着く」

そう言いゼロが微笑んだ。
・・・・これは、どう捉えれば良いのか!?
ローレライは困惑した。

「わぁ~、綺麗になったな。見違えた! お前別人だぞ。こんな綺麗な妹を持って俺は幸せ者だ」

そう意気揚々と笑顔で告げたのはルシオンだった。

「お兄様!」

兄のお蔭で少し気が楽になったローレライは気分良く皆と一緒に晩餐の席へ向かった。

ゼロはローレライの姿を見てとても不味いと思った。
いつもより濃く描かれた化粧は幾分大人びて見え、少し前の開いたドレスで恥ずかしげに頬を染める姿は少しばかり艶っぽくもある。
自分ですらこの様に感じるのだから女好きのライサンドがあの姿を見て興味を抱かぬとはとても思えなかった。

「ライサンドから目を離すな。あいつ、狙われるかもしれん」

廊下で耳打ちされたシドとフリードルはコクリと頷いた。


晩餐席には既に公と子息ライサンドが席に着いていた。
ゼロ達に気付くと席を立った。

「やぁ、アイスラント! 久し振りだな。王宮を逃げ出して何処に雲隠れしているのかと思っていたが、馬鹿二人も一緒とはこれは愉快だ」

「これ、ライサンド止さないか。冗談が過ぎるぞ」

「ああ、失敬。まぁ、元気そうで安心した」

そう言ってライサンドは握手を求めて来た。

「・・・・お前も元気そうで何よりだ」

そう言いゼロも憮然と握手を交わした。

ライサンドの所行を聞いていた上にゼロに対する粗暴な態度はローレライに更なる嫌悪感を与えるのに十分だった。

「おや!? そちらのお嬢さんは?」

早速ローレライに目が行ったらしい。
前に垂れたチャコールグレーの長い髪を指で透かして掻きあげながらこちらに近付いて来る。
ゼロと同じ切れ長の目に少しくすんだブルーの瞳。
見つめられる異様な視線に肩を竦めると手が伸びてきて触れられそうになりローレライは怯えるようにゼロの後ろにササッっと隠れた。

「私の妹ですが何か!?」

シドが睨みをきかせて威嚇した。

「おーこわ! そんなに睨むな。可愛いお嬢さんだな~と思っただけだのに」

口ではおどけた様な態度を見せているが目は獲物を射るように鋭く、ローレライは正視出来なかった。

「おお。これは見違えたぞ。一昨年娘が嫁いでからすっかり屋敷から華やかさが消えて寂しく思っていたが、暫くは目の保養が出来そうだ。そのドレスは亡くなった妻が娘に見立てたものだが、いや良く似合っておる」

ローレライを見つめ、目を細めて嬉しそうに公が微笑む。

「恐れ入ります」

公爵に褒められるのは怖くは無いので、少し頬を染めるとしおらし気にローレライはそう言った。

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~ Comment ~

NoTitle 

ゼロくんちゃんと守ってね~~~(笑)
落ち着かないのも分かるけど~~~^^

はのん様 

ゼロも凄く気を付けてはいるんだけどね^^;
本当に守りきることが出来るのか!?
でもライサンドがねぇ・・・・いえいえ、今後の展開はヒ・ミ・ツ(笑)
ご期待下さいね♪

NoTitle 

化粧で人は変わりますからね。
印象も変わりますから、結構化粧で変装にもなりますからね。
その辺が妙ですよね。

LandM様 

そうですね。
化粧でかなり変わりますよね。
ローレライは普段薄化粧の方なので本格メイクで本人もびっくりって感じです。
土台は良いのでキッチリメイクすれば見違えるほどもっと美人さんになります^^

いつも有り難うございます^^
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