「記憶の彼方とその果てに」
記憶の彼方とその果てに番外編

待ちわびて16~記憶の彼方とその果てに番外編~

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アーリアの懐妊が王を介して王妃に告げられたのは翌朝の事だった。
直ぐに王妃はアーリアの部屋へ見舞いに訪れたいと言って来たが、それを敢てセイラルは拒否した。
と言うのも、母が来ればアーリアがゆっくり休めない。今が一番大切な時期なのだ。
面会は自分が居る時にとお願いし、政務を終えたら連絡するのでそれから訪れてほしいと打診した。
それなのに・・・・。

「良かったわ。これで色々とお揃いで洋服も揃えられるわね」

政務から戻れば既に母がアーリアの寝台横の椅子に座り何やら親身になって話しているではないか!!
聞けば午後から既に3時間以上も居座っていると言う。

「母上!! 如何いうおつもりですか!? あれ程後からと申したではありませんか!!」

「ぁっ、ラル。お帰りなさい。御公務ご苦労様でした」

アーリアからの労いの言葉を聞けばいつもならば疲れなど一瞬にして吹き飛ぶのにこの日は違っていた。

「あら、セイラル早かったのね。それでね、アーリア」

一応軽く挨拶は交す事は出来たが母に遮られ、疲れて戻った自分に労いの言葉を掛けて抱擁しようとする我ら二人の時を邪魔された。
母は自分を無視し、敢てアーリアとの話に没頭しようとする身勝手な態度に出た。
怒りを覚え、思わず拳を強く握り歯噛みした。
アーリアの子が既に女の子であると勝手に決めつけている様子の母は、子の誕生を期待して我らの子にもお揃いのベビー服を用意させようと自ら入手したベビー服のデザイン画を持って熱弁している。
アーリアの懐妊をこれ程喜んで貰える事は確かに嬉しい事だが、時間から言っておそらくアーリアは侍医から言われた午後の休養すら取っていない。我らの子の健やかな誕生を望んでくれるのならば、ここはアーリアの体調を一番に考えて欲しかった。

「母上、アーリアは今安静にしていなければならないのですよ。その様な話は今されなくても良いでしょう? それに根を詰めるのも体調に触りますのでこれ以上は、申し訳ありませんがご遠慮ください」

「そんな大げさな。寝台で横になっているのだから大丈夫よこれ位。それでね、アーリア」

下手に出て事を穏便にし、話を勧めようとしている私の思いはどうやら母には微塵も通じないらしい・・・・。

「・・・・母上ッ」

「何よもう! 今重要な話をしているのだから、邪魔しないでよ!!」

「・・・・・それは・・・・、こちらのセリフです!!」

アーリアとお腹の子の為にも、傍で声を荒げるのは良くないと思っている。
だが、もう限界だった。
母は自分勝手すぎる!
思い立ったら何事も直ぐに行動に移さなければいられない性質なのは知ってはいるが、私生活まで母に介入されるのは御免だと思った。
何より帰宅の挨拶であるアーリアとの熱い抱擁を邪魔された事が許せない!
まだ帰宅の口づけも交わしていないのに!!

「それでね。こちらのデザインが」

「母上!!」

自分の発言をまるで無視するような母の行動に、腕を掴み思わずデザイン画を取り上げた。

「もう、何をするのよセイラル!!」

「面会は私が帰って来てからと申していた筈です! それを無視したのは母上なのですから即刻お帰り下さいッ これ以上の面会は認めません!!」

「嫌よ!!」

「これからの時間のアーリアは私だけのものだ! これ以上は母上にでも譲れません!!」

今まで散々お妃代行だの何だのとアーリア自身も忙しく、夫婦の時間は以前より少なくなっていた。
最近のアーリアは、王妃代行としての職務の関係と嫁としての母への気遣いもあり、自分より母と過ごしていた時間の方がおそらく多かったと思う。
不満はあったが、状況的に見て仕方のない事だとそれなりに自分としても寛容な態度をとりかなり我慢して来たと思う。
疲れたアーリアを気遣い、そのまま添い寝だけで過ごす日々も最近は続いていた。
にも拘らず、約束の時間も守れない母にこれ以上アーリアを取られる訳にはいかなかった。
それを許せばこの先母がもっと自分とアーリアの時間にまで無理矢理介入して来る事は目に見えていた。

「あっ、あの・・・・お二人とも、もう少し冷静に・・・・」

アーリアは我等を治めようとしてくれていたが、母上が引かないのであればここは絶対に譲れなかった。

「こうなれば止むを得ません。今後安定期に入り体調について侍医より私の納得のいく報告が成されるまで母上のアーリアへの面会は禁止致します。さっ、母上、出て行って下さい!!」

「嫌よ!」

「・・・・分りました。母上がそう言うおつもりならば、こちらももう容赦は致しません!!」

「やだ、何よ! セイラル、止めなさい!! これッ!!」

即座に再び手にしていた残りのデザイン画まで全て取り上げると、ついて来た侍女に手渡し退出を促した。

「マジミール、安全の為に部屋の外まで丁・重・に・お送りしてくれ」

「はい。さぁ、王妃様」

マジミールは母を抱え上げると、そのまま部屋の外へと強制退去させた。

「やだ、これッ離しなさい! マジミール!!」

戻って来たマジミールに王太子並びに王太子妃付使用人等を全て呼び集めさせ、その場でセイラルは王妃の面会はアーリアが安定期に入るまで禁止する事を徹底させた。
但し、休日の自分が居る時間に限り、短時間の面会は考慮すると最後に付け加えたのはセイラルにとってはかなりの寛大的待遇処置だったに違いない。

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