「記憶の彼方とその果てに」
記憶の彼方とその果てに番外編

待ちわびて19~記憶の彼方とその果てに番外編~

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寝室を追い出され既に3時間が経過。
お産とはこんなにも時間がかかるものなのか?
母の時ですら、産気づいたと聞き駆け付けたがこんなに時間はかからなかった。
知らせを受け駆け付けたのが正午過ぎ、もう晩餐の時間もとうに過ぎ深夜に近い。

「本当に大丈夫なのでしょうか・・・・」

ポツリと呟けば、お産が始まったと聞きつけ夕刻城へ駆け付けたアーリアの母であるマーチェリー伯爵夫人が答えてくれた。

「初産ですから。まだまだですよ。普通でも平均12時間~16時間かかるといいますから」

「そんなに・・・・ですか・・・・」

知らない・・・・未知なる世界に翻弄された。

(頼むから頑張ってくれ・・・・二人ともどうか無事に・・・・)

そう願い続けた。


翌日の早朝、まだ夜も明けていない中で何やらバタバタと廊下側の寝室へと続く扉から人がせわしなく出入りする物音が聞こえて来て、急ぎ扉の前に縋り付き扉を叩いた。

「アーリアはッ・・・・子は大丈夫なのですか!?」

だが返事が返って来る事は無く、不安に押しつぶされそうになってしまう。
一言でも良いから何か安心できる言葉が欲しくて、しきりなく扉を叩きまくっていれば中からやっとファンネが現れた。

「中へ入れてくれ!! 何かあったのだろ!?」

「大丈夫ですから。お産は順調に進んでおります。もう直ぐですからもう暫くお待ちください」

再びバタリと無情にも閉められた扉。

「ファンネッ!!」

『うぅーッ!! 』

中からは絶え間なく聞こえて来る、押し迫ったようなアーリアの呻き声。

「頼む! ファンネ、中に入れてくれ!!」

居てもたってもいられず扉を叩き続けたが、悉く無視された。
その様子を見たマーチェリー伯爵がそっと肩を叩いた。

「まぁ座りませんか。そのように騒がれては娘も心配致します。所詮傍に居た所で男は何も出来ないのですから静かに待つと致しませんか?」

アーリアのお産が始まったと聞いてから心配で食事も喉を通らず水以外のものは口にしていなかった。
少しは食べて落ち着いては如何かと夫人からも言われたが、首を横に振った。
アーリアも食事を取れずに頑張ってくれているのに自分が食べる訳には行かない。
何より食べたいとも思わない。

「こんなに心配されて、愛されて、娘は幸せ者ですわ」

夫人が言葉を口にした瞬間、けたたましい産声が室内に響き渡った。

「!!!」

一瞬硬直して動けなかった。

「あら、生まれた様ですわね」

義母の言葉に我に返ると扉を振り返り、一目散に駆け寄った。

「アーリアッ!!」

部屋の中に居たマーチェリー伯爵夫妻に弟君、お付の侍女等も慌てて扉の前へ駆け寄る。
暫くすると扉が開かれ侍医が現れた。

「おめでとうございます。男の御子です。母子共に何の問題も無く、至って元気であらせられます。ナチュリア国万歳!!」

歓喜する周囲の声を後ろに聞きながら、話を最後まで聞き終える事も無く、セイラルは侍医の脇をすり抜けると愛しの妻と我が子の待つ寝室の中へと飛び込んで行った。

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