ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《2.失 意》

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突然のアレクの言葉に衝撃を覚えて塞ぎ込んでしまった数日後、とある舞踏会で私は思わずその理由を知る事となった。

「グラッセ侯爵の求婚を断るなんて、どの様な令嬢なのかしらね?」

「そのような大きな声で困りますわ。ただ求婚の使者らしき者が屋敷を出て行く姿を私は見ただけなのですから」

「でもその数日後、従者に支えられなければ歩けぬほど酔われたご様子の侯爵をご覧になられた者も居るとか。それにここ最近、そう言えば何処か生気を欠いたような侯爵の姿とくれば・・・・。ああ、お可哀想な閣下」

噂話の大好きな夫人等の話を耳にし、愕然とした。

(アレクが・・・・、求婚 ? ・・・・)

よくよく考えてみれば、彼に想いを寄せる令嬢が居る事は全然不思議な事では無い。いや、居ないと思う方が可笑しいのだ。
貴族の子息の多くは23歳~27歳で婚姻する事が多いと聞くが、彼は既に家長となっている身。家長ともなれば夫人同伴を求められる場も多く有ると聞く。その為、早くに婚姻する者も多いのだ。
だから、最初に再会した頃から彼の周りにはいつも絶えず令嬢等が多く集まっていたのだ。彼の目に留まろうと・・・・。
今まであれだけの美しい令嬢等に毎回囲まれながら一向に誰にもなびく様子が無かったのは、彼には既に想い人が居たからだ。
社交界にデビューして以来、いつも自分の事を気にかけて声を掛けてくれていたから、すっかり良い気になっていた。
私は唯の幼い頃に共に過ごした思い出が幾つかあるだけの・・・・、それだけの存在だったのに・・・・。
思わず瞳が潤んで来るのを感じ、クッと奥歯を噛みしめた。
聞いている事が辛くなりそっと席を外そうとした時、またもや夫人等の噂話が耳を突いた。

「でも、お相手はどちらの御令嬢だったのかしら?」

「おそらく私はマストラーゼ伯爵閣下の御令嬢ベルマール様だと思うのよ。聞いた話によればご友人のサンドール公爵閣下の御子息パウウェル様が『次はきちんと下調べをして行く事だね』とこっそり告げて励まされているのを耳にした者がいるらしいのよ。マルベール嬢はほら、先日ドワイヤル家の御子息と」

「ああ。御婚約を発表されましたものね」

等と言う話が聞こえて来た。

ベルマール嬢と言えば、確かにアレクの取り巻きの者達もいつも噂をしていた美しい令嬢の一人だ。
自らを主張する事の無い質素な感じの奥ゆかしい令嬢で、多くの子息の憧れの存在だったと聞く。女の自分が見てもとても可愛らしいと思える令嬢だった。

(そっか、アレクもそう言う令嬢が好みのタイプだったんだ・・・・)

ベルマール嬢と比べられては、私等確かにお門違いも良い所だ。馬にまたがる女なんて・・・・。
社交界に上がった事を・・・・、再会をあんなにも喜んでくれたのも、ただの昔馴染たるゆえんだったのだと酷く思い知らされた気分になり、胸が少し苦しくなってきた。

それとなくアレクに何かあったのかを探り慰めてあげようと思っていたけれど、とてもその様な余裕は既に無くなっていた。
その場で涙しないのが精一杯で、なにやら酷く疲れてしまった・・・・。
結局その日は遠目からアレクの姿を追う事も辛くなってきて、そのまま早々に屋敷へ向かう馬車へと乗り込み帰宅した。


疲れ果て、重い身体を引き摺りながら早く身体を休めたいと思っていれば帰宅するなり更なる試練が私を待ち受けていた。

「マリエッタ、喜びなさい。お前の結婚が決まったよ」

「!!」

まさかの父の言葉に、私は我が耳を疑った。

「聞いているのかい?」

「えっ、ええ、お父様・・・・。あまりに突然だったからびっくりしてしまって・・・・」

突然湧いた結婚話に私は戸惑いを覚えずにはいられなかった。

「相手はロナルド・セオン・ドワイヤル。伯爵家の次男坊だ。今度双子である長子のレナルドの結婚が決まったそうでね。先方は、できれば一緒に式をと望んでおられる。我が男爵家に婿養子として入る事にも異存はないと言ってくれているし、この話はこのまま進めるから。良いね」

「待って、御父様ッ 突然そのような事を言われても・・・・、私困るわ」

(まさか! 何てこと・・・・)

最悪だ。
先程話に出て来たアレクの想い人の令嬢を奪って行く者と同じ顔の・・・・いえ、双子の弟と結婚だなんて!!

「だが、本当に良い話なのだ。お父上である伯爵は我が家への融資もしてくれると言う。はっきり言って我が家は今携わっている事業に失敗したら終わりなのだ。その為にもこの話は進めて貰わねば困るのだ。お前も貴族の娘だからそこは分かってくれるね」

「お父様・・・・、でもッ」

「お前に考える余地は無いよ。この話は既に先方との間で決まった事なのだから」

「そんなッ!」

父から告げられた言葉に、全てが壊れ行くのを感じた。

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~ Comment ~

NoTitle 

。。。
。。。。。
。。。。。自分もそろそろ結婚を。と考える時期なので、一塩ですね。
まあ、私の場合は女性から声をかけられるときがないのですが。
その辺は私の独特な空気もあるのかもしれませんが。
しかし・・・んん。
まあ、結婚は自分の心構えが大切だと思うつい最近です、

LandM 様 

そう言う状況と重なると、確かに一塩ものですね。
でも我がサイトはハッピーエンドを推進しておりますので、そこは一応安心してお読み頂いて良いと思います。

結婚自体は私も早い方では無かったですから何とも言えませんが、当時筆を置いていましたが、いつかまた書き始めたいと思っている事は旦那に伝えていました。
結果、今一応書斎兼書庫は確保しています。
やはりこういう事をしていると、人に囚われないスペースを作る事は大切です。(勿論邪魔をされる事もありますが^^;)
理解のある人と出会えることを祈っています。
確かにそれなりの心構えも大切ですよ。その気持ちが無いと絶対に結婚までには辿り着かないので。

いつも有り難うございます。
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