ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《7.胸 中2》(アレク視点)

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デビュティの為に恒例の真っ白なドレスに身を包み城に現れた彼女を目にした瞬間、その美しさに私は思わず息を飲んだ。
だが、直ぐには近づけない。お披露目が終わるまでは・・・・。
今日社交界に名を連ねる若者たちの名が呼ばれ、中央でお披露目のダンスを踊る彼女の姿は、妖精の様に可憐でとても美しかった。彼女を目の前にすれば最早どの様な者とて霞んでしまう程に。

全ての公式行事が終了し、恥ずかしそうに祝いの美酒を受け取り、ほんのり頬を高揚させる姿はとても初々しく、そして危なっかしくてとても見ていられない。
初々しい者達の集う一角に今日のダンスのパートナーとなった男と少し雑談している姿を見ているだけで嫉妬に狂いそうになった。
自分の周りに集う娘達の姿がこれ程邪魔だと思ったのは初めてだった。
一瞬だが彼女と目があった気がした。
最早自分の感情を抑える事は不可能だった。

「ごめん。少し失礼するよ」

周囲の娘らを蹴散らし、私は引き寄せられるように彼女の許へと向かうと思わず声を掛けていた。

「マリエッタ・・・・だよね。君に再び会えるこの日を、ずっと楽しみにしていたんだ」

「・・・・私の事を覚えていてくれていたの?」

私の声掛けに、彼女はとても驚いた様子だった。
2年前に彼女への思いは父である男爵を介し伝えていたし、バラの花も送った事からもっと親しみのある言葉を期待していたのだが、どうやらこの様子ではあのバラの送り主が私である事にも気付いては貰えなかったのだと少し残念に思った。

「当然だよ。君は当時の私にとって唯一の心の拠り所だった」

「そんな・・・・」

けれど私の告げた言葉に、恥ずかしそうに頬を染めるながらも満面の笑みを称え返してくれる彼女の姿がとても眩しくて、次の瞬間送り主が自分である事を気付いて貰えなかった事など、とても些細な出来事の様にさえ思えて来た。

(何て可愛らしいのだ。私のマリエッタは)

子供の頃純粋に向けられていたあの笑顔が、今も私に向けられていると思うだけで正に天にも昇る思いだった。


ようやく彼女が社交界へとデビューし、これでやっと彼女との結婚を視野に入れて正式な話が進められると思い、父である男爵へ再三に渡り面会を求めたが、どう言う訳か中々捕まらなかった。
避けられている気さえしてならなかった。
不安に駆られる中それでも何度も連絡を取り、ようやく捕まったのは更に三月後。
だが父である男爵からは既に他の者との話が進み、春には式を挙げる運びだと面会したその場で断られてしまった。
私には2年も待てと言っていたのに、突然にその話は酷いではないかと訴えれば。

『当人同士がとても乗り気でね。以前あった侯爵からの話もマリエッタには伝えてはいたのだが何も言わなかった所を見ると、どうやら縁が無かったようだ。申し訳ないが本当にマリエッタの事を思っているのならば何も言わずに娘の思い汲んでやってはくれないだろうか』

そう告げられた。

信じられなかった・・・・。

昨夜もマリーとは色々とは互いの趣味などについて楽しく語った。
今度の休みに誘っていいかと尋ねれば、とても喜んでくれていたのは唯の社交辞令だったのか!?

(・・・・そうか・・・・。マリエッタは優しいからな・・・・)

彼女の為に、次に会うまでには『おめでとう』と笑顔で言えるようになろうと心に誓った。
けれど、それは簡単なものでは無く・・・・、彼女の姿を見れば・・・・。

遠ざける事しか出来ない自分に苛立ちを覚えた。

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NoTitle 

人は人でどこに惚れるか分かったものではないですが。
私が言えた話でもないですが。
私が初めて付き合った人は会って、三日で恋人関係になるぐらいの一目ぼれでしたね。。。私がゾッコンでしたので。

そういうのはあるものなんですよね。

LandM様 

そうですね。恋には色々ありますね。
探し求めて見つける恋もあれば、育んで行くもの、そして恋をしようとして恋をするものではなく、気が付いた時に恋をしているような今回のケースもあると思います。
勿論一目ぼれのようなインスピレーション的なものも有ですよね。
うちはどれにも当てはまらないかな!?何か偶然が多すぎて不思議な感覚でした(笑)
出会いも人様々、だから恋愛ものって書いてても面白いです♪

いつも有り難うございます。
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