ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《8.追 求》(アレク視点)

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遠ざかって行く彼女を、追う事が許されない立場的位置にある自分の存在に更なる苛立ちを覚えていた。

「クソッ!!」

拳を握りしめ、傍にあった幹に八つ当たりをしている自分の姿に、側で見ていた亡くなった母の末の妹のアリシラが眉を顰めて呟いた。

「ねぇ・・・・、何かおかしくない?」

「何処が?」

「本当に、彼女がアレクシスの求婚を断ったと言う・・・・娘?」

「・・・・そう。来月には相愛のドワイヤル伯爵家の子息ロナルドとの婚約が正式に発表されると噂されている令嬢だよ」

「相愛の相手ねぇ・・・・。貴方が言うから今日遠目から二人の様子を伺わせてもらっていたのだけれど、どうも私の印象は貴方の話とは随分と食い違っているように感じてしまうのだけれど・・・・」

それが本当ならば、どんなにか喜ばしい事か! だが・・・・。

「一度や二度目にした位では男女間の本質なんて見極められませんよ。叔母上がどう思おうと、目の前の状況が全てですよ。私は彼女の隣には居られない・・・・。それが現実だ」

「ならば彼女はどうして私と貴方を見てあのように動揺していたの?」

「・・・・動揺・・・・していた?」

あまりにも意外な言葉にアレクシスは少し怪訝に眉を顰めた。

「彼女、どう見ても様子が変だったわ。涙に濡れて、服も少し乱れて・・・・。事情は推察でしかないけれど、あれからもずっと傍に居たのがあの婚約予定だと言うドワイヤル伯爵の御子息なら、もしかして・・・・、上手くいっていないのではないかしら。胸元が少し破れたドレスにあの瞳を潤ませた表情。状況からして私には逃げて来たとしか思えないのだけれど・・・・。可哀想に・・・・」

「逃げて来た? 何故・・・・」

「貴方馬鹿!? そんな事も分らないの?」

「いや、察するに奴との間に何かあった事位は私にも理解出来る。だが、相手は婚約を目前にした相愛の者。勝手な解釈や思い込みは彼女にとっても失礼だ。余程の事でも無い限り彼女は自分で決めた事を覆したりしない娘だよ。何時もずっと仲良さそうに寄り添っている二人だ。・・・・有り得ないよ。私はマリエッタをアイツが幸せにしてくれると思えばこそ、身を切られる思いで引く事に決めたんだ! ・・・・けれどもし、奴がマリエッタを不幸にするのならば私は・・・・」

「許せない?」

「許せる道理が無いだろう!? マニエール男爵が、これはマリエッタが望んだ事だと言うから・・・・、了承してくれと言うから私は泣く泣く諦めようと・・・・。今でも正直諦めきれずに苦しんでいると言うのに・・・・」

「何? それ」

「えっ!? 何って?・・・・」

「断られたって言うのは、彼女から直接にでは無くて、・・・・男爵の方からなの?」

「そうだが・・・・、それに何か大きな問題でもあるのか?」

告げた途端に叔母は頭を抱え、深いため息を一つ零した。

「・・・・信じられない・・・・アレクシス・・・・。貴方何て馬鹿なの!?」

「・・・・叔母上まで私を馬鹿呼ばわりか。どちらから断られたなんてそう大きな問題でも何でも無いだろう!? 男爵が私を謀ったとでも言うのか? それこそ有り得ないだろう。貴族の婚姻には家長若しくはそれに類する成人親族の許しが必要だ。その者等が娘の相手として相応しくないと思えば告げずに断る事もあるかもしれないが、私は地位的に見ても実績においても奴に劣っているとは思わない。故にきちんと正式な形式を踏み、不手際が無い様に日も選んで求婚したのだ。それなのに断られた。もうこれ以上考える余地などないだろう?」

「ああ、情けない。侯爵としては迷う事無く斬新的改革にも足を踏み入れ至る所で成功に導き順風満帆な兆しの貴方を誇らしく思っていたけれど、貴族の結婚事情についてはまるで形式じみた普通の考えしか持っていなかったのね」

「何ですか。それ・・・・」

彼女の事をずっと大切に思って来た。
だからこそきちんと順をおって事を進めようと、再会した瞬間思わず抱きしめたくなった彼女への気持ちも胸の内に押し込めて、平然を装い紳士的な態度をとって来た。
そんな自分に彼女も素直に応じてくれた。
滑り出しは決して悪くはなかったと思う。
だからこそ正式な手順を踏み粗相のない様に計らい求婚した。それの何処が不味かったと言うのか?

まさか叔母から自分が叱咤される事になろうとは思いもしなかったが・・・・。

少し自分を小馬鹿にした感が漂う、あからさまに否定的な態度に少し苛立ちを覚えたが、
叔母は理由なしに人を中傷する様な人では無い。
その叔母の何やら含む所のある物言いに、かすかに希望を見出したくなるのはいけない事だろうか。

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NoTitle 

一度や二度で本質が分かるか?
・・・私は結構わかってしまうから嫌なんですよね。
色々な人を見ているとよくわかります。
負の感情、良い感情も見て生きていくのは本当に楽しい。
その中で相思相愛になるのは悪くないし、他人にどういわれる筋合いはないような。。。。

LandM 様 

一度や二度で本質が分かるか?
これは結構私も見抜けている自信はあったのですが、実際結婚して見抜けていなかったことに気付いたり(笑)
でも人間誰しも良い所もあれば悪い所もある。それが許容範囲であるかどうかが未来へと繋がって行く訳です。
確かに他人に言われる筋合いはないのですが、それを色々言われる方が居る事も事実。人間色々な方が居ますからね^^;けれど、その人間模様がまた面白かったりするので色々書きたくなってしまうと言う(笑)
引き続き楽しんで頂ければ幸いです。
いつも有り難うございます。
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