ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《12.主 張》

 ←ずっと心に決めていた《11.胸 間》 →ずっと心に決めていた《13.介 入》
父はアレクの言葉を無視する事に決めたらしい。
気になり何度も後ろを振り返る私を気にも留めずに無理矢理引き摺っている状況だ。
ロナルドの所へと連れて行く為に・・・・。

「いやよっ、離してッ、御父様!! 私アレクの話を聞くわ!!」

「お前は黙っていなさい!」

身を捩り振り解こうとするけれど、腕はかなり強い力で握られていた。

アレクは父に強い視線を投げかけ、今にも向って行かんばかりの態勢だった所を駆けつけた友人に制止されているようだった。

「まあまあ侯爵、幼馴染が心配なのは分かるが、親子げんかに他人が関わるものでは無いよ。男爵にも何か拠所無い事情があるのかもしれないし・・・・」

続く言葉は急に声が小さくなり上手く聞き取れなかったが、耳打ちされた言葉を聞くと急にアレクの表情が変わった。

「よんどころ・・・・ない?」

一言ポツリと、呟くとアレクは一瞬父の方をじっと見据えて何処か口惜しそうにしながらも、『そうだな・・・・』と友人に向けて苦笑いを漏らした。
確かあの方は・・・・、アレクと何時も一緒に居る王姉を母に持つサンドール公爵家の御子息だ。
アレクと同じ今社交界でも人気を二分する若い令嬢等の憧れの的の。
彼の制止によってアレクはこちらを見つめるだけで、結局何の行動も示す事はしなかったけれど、あのサンドール公爵様の御子息の告げた言葉から、アレクは一体何を思い、身を引いてしまったのだろうか?

私は父に腕を引かれながら、遠くなって行くアレクの姿を見えなくなるまでずっと振り返り見つめ続けていた。

(アレクは一体私に何を告げようとしていたのだろうか?)

ロナルドの許へと連れて行かれると言う現実よりも新たに知る事となったアレクの行動に私は想いを馳せていた。
父とアレクの間には、きっと私の知らない何かがある。
父に対しての不信感は更に一掃強くなり、アレクに対する何処か余所余所しい態度が私に何かを隠しているのではないかと、父に対する疑念をより強いものへと変えていた。
気になり始めるとその事が頭の中を駆け巡り、拭いきれなくなって行く。

アレクはあの時私に何と言った?

『・・・・君は私の話をお父上から何と聞いているのか?』

そう言った。

『今で無くても・・・・、2年前でも何時でも良い。私が君に・・・・』

続く言葉は父により遮られたが、その話からして父がアレクと今までの間に最低でも2度は何らかの接触があったのは確なのではないだろうか。

ロナルドの許に連れ戻されると言う現実よりも、今はアレクが告げた言葉の一つ一つが鮮明に頭の中を駆け巡り、気になって仕方が無かった。

「ねぇ、お父様。御父様はアレクとの間に何かあったの?」

「知らん」

「・・・・2年前にも?」

「クドイ! 何も無いッ 私は何も知らん!!」

何も無ければ怒鳴り散らす必要は何処にも無い。二人の間にはきっと何かがあったのだ。

「では、今までアレクに会った事は?」

「マリエッタ! その様な事よりもお前が今気に留めなければならない事は何だ? どうやってロナルドに許しを請うのかお前は考えているのか!?」

話しを逸らされた揚句、口にすればロナルド、ロナルド。
もう、いい加減にして欲しいと思った。

「私、ロナルドに許しを請う必要なんて無いわ。何も悪い事なんてしていないもの!」

「何と言う我儘な事を・・・・。言葉も大概にッ」

「本当だもの。私ドレスの事なんて知らない! それにこのお話しを私は正式に受け入れた覚えなんて無いもの。お父様が勝手に進めているだけじゃないッ 望もしない結婚のドレスの事なんてどうでも良いわよ。そんな事で喧嘩なんてする筈ないじゃない。いつもドワイヤル伯爵の顔色ばかり伺って馬鹿みたい。私ロナルドと結婚なんて絶対にしない! する位なら修道女になった方がよっぽどマシよ!!」

“パシ――ンッ!!”

・・・・目の前で火花が散った。
父から受けた初めての洗礼は私にとって、とても衝撃的なものだった。
あまりの驚きで涙は出なかった。だが、手足からは力が抜けて行きそうになってしまった。
それが何とか立ち、今歩けているのは父が腕を強く握り支えていてくれているからで、支えが無ければその場で座り込んでいたかもしれない。
打たれた頬の痛みは想像を遥かに超えていた。けれど無理矢理結婚させられる位ならば頬を打たれた痛みなんて何とも無いと思った。

それでも歩いている内に頬から段々痛みが強くなってきて、私は瞳を少しだけ潤ませながら、それでも強い意志を持ち、父を睨みつけるとそのまま奥歯を噛みしめながら頑なに口を閉ざした。

押して頂けると励みになります^^

にほんブログ村


総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【ずっと心に決めていた《11.胸 間》】へ
  • 【ずっと心に決めていた《13.介 入》】へ

~ Comment ~

NoTitle 

「いやよっ、離してッ、御父様!! 私アレクの話を聞くわ!!」
・・・に思わず飲み物を吹いてしまった。
いやあ、すごく良い意味で感情があふれていて凄く良かったです。
アレクがうらやましいですねえ。。。

LandM様 

わわわっ。PCに零れませんでしたか?大丈夫でしたか^^;?
アレクが羨ましいですか!?
ある意味マリーの気持ちが既に固まっているという事を分かって頂くための重要なセリフの一つだったので、そう言って頂けてとても嬉しいです。
アレクもこの言葉で内心凄く心をかき乱されていると信じています^^

いつもコメント有り難うございます。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【ずっと心に決めていた《11.胸 間》】へ
  • 【ずっと心に決めていた《13.介 入》】へ