ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《18.親 心2》

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如何言う意味なのだろうか?
『二人の仲を裂く』も何も私とアレクは単なる幼馴染の延長で親しく接して貰っていただけの関係なのに・・・・。
母の告げている言葉に対する、何処かおどおどしい父の反応が今一つ理解出来なかった。

『子供の頃からずっと想いを寄せていたのだそうです! はっきりとあの子がそう申しました。ですからもうこれ以上嘘をつくのはお止め下さい!!』

『なればこそだ。如何考えても可笑しいとは思わぬか!? 若くして侯爵家を継ぎ、既にあの若さで立派な業績を上げ王宮でも一目置かれる存在の者が何故我が家の様な何も持たぬ家の娘などに目を向ける必要があるのだ!? 所詮物珍しいだけに決まっている。その証拠に奴の周囲には何時も我が家など足元にも及ばぬ程の良家の令嬢等があふれているではないか。あ奴はまだまだ高みに登れる者だ。何の後ろ盾も持たぬ我が家など認めた所で何れ、覇業の為に邪魔になれば捨て置かれるに決まっている』

『・・・・何を言い出すかと思えば・・・・。呆れてものが言えません!! 身分的な差は確かに否めません。ですが貴方にとって男爵家の当主だと言う事が・・・・、マリエッタがその娘だと言う事はそんなに卑下するものなのですか?』

『いや、それはだなぁ・・・・』

『いいえ。そう仰っているのと同じではありませんか!! 後ろ盾の無い者は幸せになる権利すら無いと?』

『いや、だからそう言う訳ではッ』

『・・・・いっその事マニエール男爵家など無くなってしまえばいい! その方が心置きなくマリエッタを嫁がせる事が叶います』

『何を馬鹿げた事を申しているのだ! 我が男爵家を私の代で終わらせる訳には行かないのだ!! 何が何でもマリエッタには婿を取って貰ッ』

父は言いかけた言葉を途中で飲み込んだ。

『それが本音ですか・・・・』

『・・・・ぁっ・・・・、いや、それは・・・・』

『言い訳はもう沢山です! 娘の幸せを邪魔し蔑にする者は、例えあの子の父親と言えども私は絶対に認めません! あのような虚実までついて婿養子に迎えたいが為にドワイヤル家との縁を繋ごう等と・・・・。呆れ返るにも程があります!!』

『いや、それはアレだ・・・・。恩を受けたが故にだ。婿に迎えると言う事と、この件は全く関係無い。そう、命の恩人を蔑にすると言う事は人の道に外れる事だと思ったからだ』

『求婚を断る事の何が蔑になるのですか!? 既にドワイヤル家には何度も礼に赴いております。これ以上何かをする必要等ございません!』

『・・・・冷たいのだな』

『何処がです! ・・・・あっ・・・・、まさかとは思いますが・・・・、よもやまたも立ち行かぬ鉱石の発掘に必要以上の資金を費やし・・・・、援助して頂いている等と言う様な事は・・・・』

『ぁ、いや・・・・、それは・・・・ナイ・・・・』

『・・・・本・当・に・ですね?』

『援助は・・・・無い・・・・が・・・・』

何やら突然父の声音が途中から小さくなり話が上手く聞き取れなくなった。
だが、暫くした後、母が震えるような声で呟いた。

『・・・・信じ・・・・られ・・・・ない・・・・』

『いゃ、だがこれはだなぁ・・・・』

『・・・・貴方は自分の娘を何だと思っているのですか!! マリエッタがあまりにも不憫でなりません・・・・。娘を売る様な真似を・・・・良くも出来たものですわねッ!』

『その様な大げさな・・・・』

『・・・・全く・・・・。貴方はご自分のなさった事の重大さに全く気付いていないのですか?』

『・・・・うる・・・・さい・・・・』

『えっ!?』

『・・・・私にはこの家を守らなければならない義務がある。お前とは違うのだ! そのお前が全てを分かった様な口を利くな!!』

起死回生。
突如巻き起こった父の罵声と共にガシャンッと言う何かが割れるような音がして、私は何が起こったのか分らぬまま、急いで階段を駆け降りて行った。
するとそこには砕け散った茶器の破片と共に茶染みが無残にも床の上に飛び散っていた。
父が腹いせまがいに床に叩き割ったのか!?

「・・・・お父様・・・・」

「まっ、マリエッタ・・・・。いゃ、これはだなぁ・・・・」

おろおろと狼狽える父を他所に、母はいきなり私の腕を掴み抱え込んだ。

「マリエッタ、行くわよ!!」

「えっ!? あっ、あの・・・・お母様?」

グイグイと私を引っ張り、エントランスを通り抜けると母は扉を荒々しく開け放ち、玄関先に留め置いたままだった馬車へ急いで乗り込んだ。

「おい、何をしている!!」

しばらく呆然と立ち尽くし見守っていた父だったが、我に返った次の瞬間急いで後を追って来た。

「マリエッタ。しっかり捕まっていなさい!」

「えっ!?」

母自らが馭者の真似事をして手綱を・・・・?
あの凛とした貴婦人の母にこの様な事が出来るなんて、とても信じられなかった・・・・。

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NoTitle 

((((;゚Д゚))))!! おはようございます!
お母様強い! て前回から思いました。
いっそ清々しいほどのお母様、次回が気になって仕方がありません(*´∀`)
御者もこなしてしまわれるとわ・・・。どちらへ向かわれるのでしょうか。アレクさんのところかな・・・とか、次回を楽しみにしていますヽ(*´∀`)ノ

NoTitle 

ふうむ。父親の了見もわからないわけではないのですがね。
まあ、その辺は私が男だからというのもあるのでしょうが。
ちょっと教育方針の違いですかね。この辺は。
私も家に拘る方ですけどね。やるならどっちでもいいですが。
滅亡するか繁栄するかどちらでもいいですが。
私に子どもがいたら、どっちかの行動をしてほしいものですね。

ユズキ様 

今日は。
母は強しですよ^^
書いていても母は気持ちいいです。言っちゃえ!言っちゃえ感覚です(笑)
母は自分で動いてくれるので、筆の進むまま気付いたら馬走らせてました(笑)
母の向かった先は何処でしょう^^?
まあ、何れにしても今一番二人は引き離されている状況なので、後は少しずつ近づくしか無いのですが・・・・。
引き続きお楽しみいただければ幸いです。

コメント有り難うございました。

LandM 様 

今日は。
家を守る立場として考えれば選択肢の一つとなるよう一応父の考えは纏めたつもりなので男性目線としてそう受け取って貰えれば嬉しい限りです。
私個人としては家の事も考えて欲しい思いもありますが、最終的には子供の選択に委ねたいと思っています。
私個人親に自分の夢を受け入れて貰えず辛い思いをしたので子供には親の意見を押し付けたくはない思いがあります。旦那は絶対に家を守って貰わないと困ると言ってますが・・・・。現実問題折り合いの難しい所ですね。
今回は今の所出来る限り穏便な設定を考えているつもりです。
引き続きお楽しみいただければ幸いです。

コメント有り難うございました。
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