ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《21.驚 愕》

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母に・・・・、私達に救いの手を差し伸べてくれたのがまさかこの方だなんて・・・・。

(う・・・・そッ・・・・この方はアレクの・・・・)

おそらくアレクと深い関わりのある方なのだと、あの時の・・・・噴水の前での二人の密着した姿を思い出し思わず涙が溢れそうになった。
受け入れがたい現実を目にし、己が決断の浅はかさと運命の悪戯を私は酷く呪った。

「マリエッタ如何したの? 突然挨拶も無しに逃げ出そうとするなんて失礼では無いの!」

無意識に目の前の夫人の姿を目にした瞬間、私の足は夫人の背後にある扉へ向かって歩き出していた。

母からの叱りの言葉は最もで、言い返す言葉すら見つからない・・・・。
けれど、目の前に居る自分を救ってくれるかもしれないと思っていた侯爵夫人は、今私が最も会いたくないと思っている最たる人物の一人で、おそらくはアレクの・・・・。

「ごめんなさいお母様・・・・。でも・・・・私ッ・・・・」

言葉を口にすれば必死に押さえていた涙が溢れ出し、頬を伝っていた。

「ああ、御免なさい。やはり貴女は何か誤解していたのね。私のせいだわ。だからこの件に関しては、協力するべきなのだと思い夫人にお願いしたつもりだったのだけれど・・・・」

何処か傷ついた者を労わる様な眼差しで、夫人が優しく言葉を掛けてくれた。

「あの、侯爵夫人? やはりマリエッタと・・・・お知り合いだったのですか!?」

母には昨夜アレクと再会した際に令夫人と出くわしたと言う事実を説明していなかった。
あの遭遇を、夫人は母に如何説明するつもりなのか?
ドキドキと胸の鼓動は高鳴り続けていた。

「知り合いも何も私は貴女の事をとても大切に思っているわ。だって甥のアレクシスの大切なお友達なのでしょ?」

「「・・・・おっ、甥!?」」

母と言葉が重なり、互いの顔を見合わせ、そして再びベアレーゼ侯爵夫人の姿を凝視した。

「随分と年が近いから、びっくりなさっていて? ふふふっ、私の姉は私がまだ幼少の頃にグラッセ侯爵家へ嫁いだのです。翌年にアレクシスを産みましたから、甥のアレクシスと私は5歳しか違いませんの」

「あっ、あの・・・・。では、アレクの・・・・アレクシスの叔母上様だったのですか!?」

「ええ、そうよ。貴女とお会いした時アレクシスから色々と貴女の事についての相談を受けていた所でしたの。それがそこへ突然当人である貴女が訪れたものだから二人して本当にびっくりしましたのよ」

微笑みを浮かべそう告げる優しい眼差しの夫人の姿に私は肩から力が抜け、崩れ落ちる様にその場にへなへなと座り込んだ。

(まさか・・・・、アレクの叔母様だったなんて・・・・)

「まぁ、マリエッタ?」

「よっ、良かった・・・・。私・・・・」

驚きの余り一瞬止まっていた涙が、安堵すると再びポロポロと溢れ出して来た。

「アレクシスとの間に何があったのか、私はあの子から全てを聞いているつもりです。あの子も周囲に惑わされ、暫くは混乱していた様ですが今は何処か吹っ切れているように思います。昨夜、後を追った貴女ときちんとお話し出来なかった事をとても口惜しく思っている様でしたが・・・・」

「あっ・・・・」

昨夜引き止められた時のアレクシスの言葉が脳裏を霞めた。

「そうだったのですか・・・・。経緯を知らなかったとはいえ、我が家へも足を運んで下さっていたのに本当に申し訳ない事を致しました・・・」

「では男爵からお返事を頂いたお嬢様のお気持ちについては本意では無かったと解釈しても宜しいのですわね?」

「勿論ですわ。そうとは知らずに主人の言う事を今まで真に受けてしまい、結果これ程に娘を苦しめる結果となってしまいお恥ずかしい限りです。そればかりか侯爵夫人にまでご迷惑をかけてしまう結果となり、本当に何とお詫びして良いやら・・・・」

「いいえ。その事に関してはきちんとマリエッタ嬢に直接話をしなかったアレクシスにも落ち度がございますわ。あのように大切な事をご家族に委ね、それを馬鹿正直に真に受けてしまうなんて・・・・。無知としか言いようがございませんもの。ですが夫人はマリエッタ嬢をここへお連れ下さいました。これでアレクシスにも道が開けるかもしれないと思うと、私の方こそお礼を申し上げたい気分ですわ」

「侯爵夫人・・・・」

二人して何やらほっこりと話が進んでいる様だが、私にはその内容が実の所、何処か半信半疑としてしか捉える事が出来なかった。

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~ Comment ~

NoTitle 

しかし、この母親は。。。
いや、とても感心します。
私は男だからどうこう言いませんが。
大人の圧力から子ども守るのも大人の務めであろう。
・・・と地でいく人ですね。
私もこういう甲斐性がある人になりたいですねえ。

LandM様 

いつもコメント有り難うございます。
私も何かの時は子を守れる母でありたいとは思っています。
ただ、何処まで親が介入して良い事か悪い事かの見極めは必要だと思っています。
今回の場合は事が事だけに母も頑張ってくれています♪
この母はある意味私の理想でもあったりします。

リンク有り難うございます。私も貼らせて頂きました。今後とも宜しくお願いいたします。

NoTitle 

予想外な展開だ……伯母上とは思わなかったであります……。

これで話がとんとん拍子に……行くわけないよな敵が敵だもんな。

これからもぼそぼそ読みに来ますね。

ポール・ブリッツ様 

予想外でしたか? ありきたりな展開にはしたくなかったので、実はここかなり悩みました。

これで話がとんとん拍子に・・・・なる事は難しいかな^^;
当初20~30話位で短く纏めようと思っていたのですが、それをするとやはり話が薄くなりそうなのでやめました。

最初は繋ぎ的にお話のつもりで簡単に纏め上げるつもりでしたが書き始めると、どうして色々と書きたくなってしまって・・・・。
やはり私には短い話は無理みたいです(笑)
でも、多分50話はいかない・・・・かな?
私もハイペースでは書けそうにないので、ぼそぼそお読み頂ければと思います^^

いつもコメント有り難うございます^^
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