ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《25.告 白1》

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この反応は、どう捉えれば良いのだろうか?
突然アレクの表情が幾分和らいだ気がするのは、気のせいだろうか?

「えっ!? あの・・・・アレク?」

「だから・・・・、話がややこしくなるんだ・・・・」

項垂れ、また一つ深いため息をつき、アレクは頭を徐に掻き毟った。
何がどうなっているのか? アレクの行動が全く読み取れない・・・・。

「何!? 違うの? だったら何故私を無視したりしたの? 全然訳が分からないわ」

「やはり、叔母上の言う事は本当だったのだな・・・・」

「えっ!?」

「ここ数日叔母上の邸に居たのだろう? 先日話を聞いた時は、かなり驚かされた・・・・」

「そっ、そうなの・・・・邸を飛び出した私と母を本当に温かくお迎え下さって、とても感謝しているわ」

「そうか・・・・。それで邸を飛び出した理由と言うのを聞いても?」

「えっと・・・・それは・・・・、父と・・・・けっ、喧嘩をしてしまって」

「・・・・・喧嘩かぁ・・・・・。それはまた随分と派手にやったものだね・・・・」
 
砕けた言葉とは裏腹に、食い入るように私を見つめる真剣な眼差しに、背中からは冷ややかな汗が流れ落ちていた。

「そっ、そうなの・・・・。あっ、あの、ちがうの・・・・。えっと、ほら人って傷ついて落ち込んでいる時って色々考えたくなる時があるでしょ。だから、少し冷静になれる時間が欲しくて・・・・」

「そうか。それで冷静になれた? 冷静になれたから今日ここに訪れる気になったんだよね。叔母上からはマリーが私と、とても話をしたがっている様だと聞いたんだが・・・・」

「そっ、そうなの。先日は御免なさい。お父様がアレクにとても失礼な事を・・・・」

「あぁ。あれには正直参ったよ。傷ついた・・・・。まるで私が悪者だ。あの後随分と周囲から好奇な眼差しを向けられたからね。私はただ話がしたかっただけなのに」

「本当に御免なさい。私、何も出来なくて・・・・。でもね、アレクがあの時私の事を色々心配してくれているって分かって本当はとても嬉しかったの。でも何も言えなくて・・・・、もしまたアレクに会えたら・・・・アレクが迷惑じゃなかったら、色々これからの事、相談したいなって思っていたの・・・・」

本当はもっとアレクに聞きたい事もあった。けれど中々その言葉は出て来ない・・・・。あれ程真剣に考えた言葉なのに。
でも、勇気を持たなければ前へは進めない!
そう覚悟を決め、大きく深呼吸をして言葉を吐き出した。

「あっ、あのねッ・・・・、実は私、め、迷惑かもしれないけれど、ずっとアレクの事ッ」

「悪いと思っているのなら、マリーが慰めてよ」

「えっ!? あっ、何? わっ、キャッ!」

決死の覚悟で紡ぎ出そうとした言葉は途中で遮られ、変わって肩を抱き寄せられた。

「迷惑なんかじゃないよ。マリーが良いんだ。マリーしか要らない。マリーが私の側に居てくれるのなら、私は本当に何も要らないと思っているんだ!」

肩を抱く腕の力は更に強くなっていた。けれど、かすかに震えているのが分かる。

「あっ、あの・・・・、アレク・・・・シス?」

「好きだったんだ・・・・」

「えっ!?」

「ずっと、マリーだけが好きだったんだ・・・・」

「あのっ・・・・えっ!? 私?」

告げられた言葉に我が耳を疑った。

「子供の頃からずっと気になっていて、母の死で会えなくなってから辛い時にいつも君の励ましてくれた言葉が思い出されて、君に恋している自分に気付いた。けれど当時の私にはやるべき事が多すぎて、中々君にも会いにいけなかった・・・・。19になってやっと全てが順調に回り始めた時、男爵に会いに行ったんだ。何れ君を妻に迎えたいと・・・・、気持ちを全て打ち明けた」

「!!・・・・何を・・・・、いっているの?」

「・・・・やっぱり、聞いていなかったのか?」

「知らないわ! そんな話一度だってお父様はッ」

「けれど社交界にデビューするまで話を待って欲しいと言われた。だから、それまでずっと待っていた・・・・。デビュティで目にした君の姿は、私にとっては何よりも輝いていて、とても眩しかったよ」

「そんな・・・・。では、もしかして、あの薔薇の送り主って・・・・」

「やっぱり気付いてくれていなかったんだ・・・・」

社交界デビューの日の早朝届けられた見事な薔薇の花束に、家の者は皆誰からの贈り物だろうかと瞳を輝かせて噂をしていた。
けれど何故か父だけはその薔薇を見ても無表情だった。
最初はもしかして父がサプライズに贈らせたものなのかとも思っていたけれど、後になり婚約話が持ち上がりロナルドだったのかもしれないと思っていた。けれど、最近の彼の態度であの薔薇の送り主が彼でない事はハッキリと確信していた。
でも、まさかあの薔薇の送り主がアレクだったなんて・・・・。

明かされた思いもよらぬ事実に、私の身体は小刻みに震え、瞳からはほんのりと涙が滲んでいた。

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NoTitle 

告白に唐突感が微妙にあるのですが。
まあ、この辺はあれですが。
過程が過程なので仕方ないところもありますね。
自分の生き方をしてくれ!!って言った方がアレクらしいかもしれませんが、その辺はアレクの抑えきれない若さと感情があるのでしょうね。輝いていますね。(*^-^*)

LandM様 

そうですね。過程が過程なのでどうしても突然的な事は否めません。それに21歳ですし。中年に差し掛かる辺りならば落ち着きもあったのでしょうが^^;
ちょっと暴走気味ですね。
激情のまま突っ走れる若さが私も欲しいです(笑)

いつもコメント有り難うございます。
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