ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《32.回 視2》(アレク視点)

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マリエッタとの誤解が解けてやっと思いが通じ、屋敷の別邸に招いた。
世話は私が屋敷内で最も信頼している乳母夫妻に頼む事にした。暫くの間一緒に別邸に住んで貰い世話をして貰う。
夫君は本邸の仕事から離れられない為、昼間はマリエッタを乳母に任せ、私はいつもの様に王宮へと毎日出仕している。

日中は国務省の仕事を終え、夜は時間があればいつもの様に警務騎士団の仕事を手伝っている。
だがある日、部屋を訪れると如何した訳か突然入室を拒否された。

「何だ!? どうして入れて貰えないのだ?」

「良く考えてみろ! お前マニエール男爵の許可もなくマリエッタ嬢を連れ出しただろう? お蔭で訴訟の一歩手前だぞ!!」

「えっ!?」

どうやら妻子の行方を探していた男爵が、暫くは叔母宅に滞在していると思い静かにしていたらしいのだが、ついにマリエッタの本当の居場所を突き止めてしまったらしい・・・・。

「何故私にまで今まで隠していた!」

「すまない。迷惑をかけて・・・・」

「まあ、お前の事だ。私に余計な心配をかけたくなかったのだろうが、こう言う事は言っておいてくれなければ困る。友人としても、ロナルドの調査に携わっている者としてもな。夫人が居なければ上手く対処出来なかったかもしれない。感謝しろ」

「何? ・・・・夫人も一緒に来られたのか?」

「いや、男爵の行動を知って慌てて追いかけて来たと言う感じだった。お蔭で助かった」

どうやら弁明してくれたらしい。


『マリエッタの件は、私が認めました! ですから訴える必要はございません!!』

『なっ、なんだと!?』

『それにマリエッタはもうれっきとした成人女性です。あの子が何処で何をしようと不倫や罪を問われる事をしている訳でもないのに、親にそれを止める権利はございません!』

『だが、マリエッタには婚約者がいるたではないか! その様な身勝手な行動が許される道理が無いではないかッ!』

『まだ、正式な婚約者ではございませんわ。陛下からも正式に認められては居ないのですから』

『だが、じきにそうなる!』

『その様な勝手な事は私が認めません! マリエッタはこの婚約話を心底嫌がっております。娘がそれ程までに嫌っているものを何故貴方が後押しなさるのか、私には全く理解出来ません! こちらにはそれを後押しして頂ける方もおりますので、直ぐには無理かもしれませんがきっと婚約申請撤回の書類を書いて見せます!』

『まあ、まあ、お二人とも少し落ち着かれては如何ですか? まだ正式に認められてもいない書類の行方について口論する等、馬鹿げているとお思いになりませんか?』

『余計なお世話だ!』

『確かに。ですが如何やらその件は、直ぐに動く事も無いようです。ここは少し冷静になられては?』

『それは・・・・、如何いう事だ!?』

『実は陛下から、今回の書類の件について一時預かりと見なすと言う報告を受けてございます。ですから現在男爵の出された申請書は保留扱いとなっております』

『あ奴か! あのグラッセの小僧が裏で小細工して差し止めをしているのだな!!』

『まさか。国務省に務める者がそのような事をすればどう言う事になるかは男爵とてお分かりになる筈です。彼はそれ程馬鹿な男ではございません。まぁ、今回のきっかけはともかく、原因は彼ではございません』

『どう言う事だ!』

『詳しい内容は現時点でお伝え出来ませんが、今回の件で差し押さえたのは国の定める規定にそぐわない点が見つかったが故です。一時的に現在こちらで預からせて頂いております。調査終了後何の問題も無ければ解決次第正式に受理される予定です』

『何を・・・・言っておる? 訳が分らん。詳しく答えろ!!』

『それは出来ません。事は国の重要機密事項です。お答えできません!』


「結局押し問答した揚句、最後は捨て台詞だった。だが、こちらも男爵から情報が漏れるのは不味いからな。もしここでの事を他言すれば罪に問われると脅しておいた」

「すまんな。迷惑をかけて・・・・」

「いや、お前が彼女の為に今までどれだけ苦労して頑張って来たのかを私は知っているからな。どんなに複雑な事案になろうと私は探り出して必ず突き止めてやるぞ。それに絶対にこの件は黒だと思っているからな。私が絶対に全てを暴き出し、お前を幸せにしてみせる!」

「パウウェル・・・・」

「それよりも、何故もっと早くに知らせてくれなかったんだ。彼女の事は話しておいて貰いたかったな。今更水臭いじゃないか。知っていたらお前にこんな事はさせなかった。だから今は情報資料を纏める事を手伝うより彼女の許に帰ってやれ。この作業は他の者にも任せられるが、彼女の相手は他の者には任せられないだろう? きっと初めての環境で戸惑っていると思うぞ。それに今日はこの天気だ。きっと心細い思いをしているのではないか?」

「確かに・・・・」

外は昼間までの晴天とはうって変わって嵐のような大雨だ。
後の事は乳母に頼んで来たから大丈夫だとは思うが、確かに心許ないかもしれない。

「心配するな。情報は今の所順調に集まっている。きっと摘発できるから」

「・・・・そうだな・・・・。一応彼女には差し障り無い理由を話して理解しては貰っているんだ。信頼のおける乳母も彼女の傍に置いている。だが・・・・。すまん、後を頼む・・・・」

ロナルドの件を友人パウウェルに任せると私は急ぎ大雨の中、屋敷へ向けて馬車を走らせた。

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