ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《37.脱 衣1》

 ←ずっと心に決めていた《36.翻 弄》(アレク視点) →ずっと心に決めていた《38.脱 衣2》
如何しよう……。
アレクと二人きりだなんて……。

彼は笑いながら『大丈夫だよ。別にマリーの嫌がる事を無理強いする気は無いし、そこは私を信頼してくれて良い。それに今日の私はヨハンナの代わりに徹するつもりだから、遠慮なく何でも言いつけてくれ。眠る時の子守歌が必要ならば歌ってあげるから安心してくれていいよ』等と本気なのか冗談なのか分らない事を笑顔で言ってはくれたが、とてもこれは頼めない……。

アレクから『湯が冷めない内に先に浸かると良い』と勧められ、脱衣場に来たのは良いけれど、脱ごうとしてある事に気付いた。
ここに来て着ているドレスは、どれもアレクのお母様が着ていたものをとりあえずお借りしているのだけれど、クローゼットを開けると当時の流行だったと言う後ろで縛るタイプのものが殊の外多かった。
憧れはあったけれど、こう言うタイプは着脱に人の手を借りなければならず、ただでさえお世話になっているのにこれ以上余計な手間をかけたくなくて最初は何も言わずに自分で着脱できるタイプのものを好んで選んでいた。
だが、今朝たまには違うタイプのものを着てみないかとヨハンナさんに告げられて、悩んだ揚句に実は子供の頃に母が着ていてずっと憧れていたドレスの型と同じだと話をすると、ならば是非にとヨハンナさんが勧めてくれたのだ。
こういう機会はおそらくこれから滅多にないだろうし、お言葉に甘えて今日はそのタイプのドレスを着てみたのだった。
身体のラインに合わせて好きなように服を調整できるので窮屈感が無くとても着心地が良かったものだから、すっかりいつもと違うドレスのタイプを着ていた事を忘れてしまい、うっかりしてしまっていた。
脱ぐには後ろの紐を緩めて貰わなくてはならず、けれどそのような事をとてもアレクには頼めないし、とにかく後ろに手を伸ばし出来る限り頑張ってはみたのだけれど、どう頑張ってみても腰回りから背中までが精一杯で、途中からは手が届かずとても無理だった。
何とかこの状態で腕だけでも抜けてくれれば、ドレスの角度を変えて前にして紐を外す事も可能なのに、この状況で立ち止まって既に15分は経過しているだろうか?
このままずっとここにいても仕方が無い。
明日にはヨハンナさんも来るだろうと言っていたし、一日位我慢して湯に入らずとも別に死ぬわけでは無いし、ここはアレクにきちんと話をしようと心に決め、脱衣場を出る決心を固め扉の取っ手に手を掛けた時だった。

『マリー? 湯加減は大丈夫かい?』

突如アレクに声を掛けられて、身体がビクンッと跳ねた。

「えっ、ええ……。あの……実は……」

勇気を振り絞って出ると決めたのに、まさかアレクから来られると思っていなかったものだから、どうしても何処か身構えている自分がそこにいる。

『何? 御免、良く聞こえない』

「あのね、アレク。実は……私、湯に……、入るの……」

『ごめん。もっと大きな声で! 聞こえない。少し開けるよ』

「駄目っ! アレクまだッ キャッ!!」
「わッ!!」

私の制す声と、脱衣場の扉を開けたアレクの声が同時に重なった。

『ごっ、ごごご御免! まだ着替え中だったとは……。まさか、まだ入っていないとは思っても見なかったから……』

アレクは慌てて脱衣場の扉を閉めると外からそう告げた。

「……」

見られた?
いや、でもまだ全然ウエストの辺りが少し解けているだけだし見られても全然大丈夫な位置だ。
そう自分に言い聞かせ、心を落ちつけようとしていると『まっ、マリー?』と再び声を掛けられた。
彼の声も少し落ち着きを無くしてしまっていて、何処かおどおどしているように感じられる。

ここまで来て、もう何も告げない訳にはいかないのだと、本当の意味で腹をくくった。
こう言う事を殿方に告げるのはハッキリ言って凄く恥ずかしい……。
でも流石にこのままの状況でずっと脱衣場で立ち尽くしている訳にも行かず、結局大きく深呼吸を一つして、意を決してアレクに声を掛けてみた。

「じっ、実は……、ドレスの背中の紐が一人では解けなくて……」

「……えっ?」

思いもよらない答えだったのか?
彼はとても素っ頓狂な表情をしていた。

押して頂けると励みになります^^

にほんブログ村



総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【ずっと心に決めていた《36.翻 弄》(アレク視点)】へ
  • 【ずっと心に決めていた《38.脱 衣2》】へ

~ Comment ~

NoTitle 

ふうむ。初々しい二人ですね。
書いている楽しさが伝わってくる文章ですね。
私じゃいまいちこういうのは書くことは・・・まあ、できますけど、
楽しくは書けないですからね。うらやましいです。

LandM様 

まだここは初々しいですね^^
書いていて確かに楽しかったです(笑)
ふっふっふっ、楽しくは書けないですか?
これもラブファンタジー書いてる故でしょうか(爆)

引き続きお楽しみいただければ幸いです。

いつもコメント有り難うございます。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【ずっと心に決めていた《36.翻 弄》(アレク視点)】へ
  • 【ずっと心に決めていた《38.脱 衣2》】へ