ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《38.脱 衣2》

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声を掛けて、その結果アレクがどう言う答えを導き出すのか?
納得してくれるのか?
本当にドキドキだった。
もし、自分が手を貸すと言われてしまったら、如何いう態度をとって良いのかさえ最早何も考えられず、とにかく全てはアレクの判断に委ねようと心に決めていた。
例え、何があったとしても既に自分の心は決まっている!
そう自分に言い聞かせて胸の鼓動を早くさせ真っ赤になりながら、中から扉をそっと開き頭を覗かせると、決死の覚悟で言葉を告げた。
だと言うのにアレクは一瞬私の言葉に何処か呆気に取られていた様な態度だった。
口をぽかぁんと開けたまま暫く立ちつくし、暫く私を凝視していた。
やがてハッと息を飲み相槌をうちながら『ああ!』と納得したような声を上げると、今度はいきなりクスクスと笑い始めた。

「何だ……。直ぐに言ってくれれば良かったのに……」

「いっ、言えないわよぉ」

「そうか」

「そうです!」

依然何処か余裕有り気にクスクスと笑っているような態度が何処か小憎らしい。

「そんなに笑わなくても良いじゃない!」

「ゴメン。だってマリーの反応がとっても可愛すぎて。そんなに考え込む事ないのに」

「考え込むわよ! だって、殿方にこう言う事は普通頼めないでしょ? 深い仲になった後ならいざ知らず、アレクとはまだッ!」

告げてしまった言葉が失言だったと言う事に気付き、息を飲み、慌てて口を両手で塞いだ。
だが、それは少し遅かったかもしれない。

「へぇ~。そんな事気にしていたんだ」

「ちっ、ちちち違うわよ! 言葉の綾よ」

「言葉のねぇ~」

楽しそうに余裕しゃきしゃきで告げられた言葉が悔しくてたまらないッ。
ぷぅーと頬を膨らませているとアレクは苦笑いを漏らしながら謝ってくれたけれど、何処か納得できなかった。

「ゴメン、ゴメン冗談。マリーの反応があまりに可愛いものだから、ついね。ではレディ、少しだけ失礼致します」

胸元に片手を添えて一礼すると、急に手を翻したように今度は紳士的な態度を取り扉の側から直ぐ近くまでやって来て、私の背にそっと手を伸ばした。
私はアレクの邪魔にならないようにと後ろに垂らしたままだった髪を軽く束ねて前へ流し、手を添えた。
背中に触れる手の感触に最初は少しだけピクリと肩が震えた。
紳士的な態度でアレクが紐を解いてくれていると分かっているのに、指先が触れる度に時折背に感じられる感触に、私の胸の鼓動はずっと鳴り続けていた。
最後の紐がパラリと解け何処かホッとして肩の力が抜けた瞬間、背中に何か指では無い生温かいものが触れた気がして肩をビクリッと震わせながらアレクから慌てて離れた。
少し距離を取り、上目づかいでじっと見つめていると……。

「何?」

何事でもあったのか? とでも言いた気な不思議そうな表情をし、何食わぬ顔をしてこちらを見つめるている。

(もしかして、私の気のせい?)

「いえ、あっ、あの……、有難う。とっ、殿方にこの様な事をお願いしてしまって……ごめんなさい。もう大丈夫だから」

ドレスの胸元をズレないように少し押さえながら後退りしつつ、そう告げた。

「そう? それは残念。私としては思いがけず可愛いマリーの柔らかな背に触れられて、とても役得だったけどね」

「馬鹿ッ!」

真っ赤になりながら、脱衣棚に置かれてあったタオルをアレクに向かって思いっ切り投げつけた。
笑いながら『降参、降参』と片手を上げると、アレクは悪びれる素振りも無く扉の外へと退散した。

絶対にさっきのアレは、確信犯だ!
でも、何? アレクってこんな人だった?
さっき触れられた背中のあの生暖かい感触は……。

やがて想像した事があまりにも恥ずかしく思えて来て、急ぎ衣服を脱ぎ去ると、そのまま慌てて湯船に浸かった。

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~ Comment ~

NoTitle 

可愛いと意地悪したくなる心境もわかりますがね。
・・・って私も大概か。

LandM様 

男心と言うものを想像してみました(笑)
やはりこういう状況下では、ついやっちゃいますよね♪

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