ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《52.混 迷1》

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昨夜の雷雨が嘘のように、カーテンの隙間から朝の陽ざしが差し込んでいる。
外からは小鳥の囀る声が聞こえて来て、爽やかでとっても心地よい朝だ。
あれ程恐怖で怯えていた雨もどうやら通り過ぎてくれたようで何処かホッとした。
けれど……、横にあった筈の温もりを感じる事が出来ない。

「アレク……」

何処に行ってしまったのだろうか? まだ出仕には早い時刻だと思う。
何時もなら、そろそろヨハンナさんが起こしに来る時刻だ。
けれど今朝は居ない筈だから……。

「あっ……」

もしかしてアレクが既に起きて何か準備をしてくれているのだろうか?
ならば、私もゆっくりなんてしていられない!
急ぎ起きなければと身体を動かそうとしたその時だった。
記憶に残る甘やかな出来事が一瞬にして飛び去る声がした。

「おはようございます。お嬢様お目覚めでいらっしゃいますか?」

(何故、ヨハンナさんが? ……)

一瞬頭の中が真っ白になった……。

……まさか昨夜の出来事は、……全て自分の願望が見せた夢の中での事だったのだろうか?……。
あれだけ情熱的に自分を抱きしめてくれた記憶が??
少なからず頭が混乱して来て中々冷静に考えられない……。
けれど、そう言えば我が屋敷へと誘ってくれた割には、実際ここに滞在してからのアレクは、想像以上に何処か自分と距離を置こうとしていた気もする。
その彼が、簡単にあのような行為に及ぶものなのだろうか?
では、何処までが夢で、何処からが現実なのかしら?
一度冷静さを失った頭では、混乱して上手く答えが導き出されない……。

「マリエッタ様?」

とにかく今は現実に起こっている事を自覚し、冷静に受け止めなくてはならないのだと、自分に言い聞かせ、何処か脱力しながらも何とか言葉を口にした。

「あっ、はい……。起きています……」

「手水をお持ちいたしましたので、こちらに置いておきます。お使いくださいませ。間もなく朝食のご用意が整いますが、お着替えは……、お手伝いした方が宜しいですか?」

いつもは何も言わずに仕度を手伝ってくれるのに、今日は如何して聞くのだろうか?と少し感じたが、あまり深くは考えずに返事をしていて、何時もと違う異変に気付いた。

「そっ、そうね。おねがッ……、あ……っ」

身体を起こそうとした瞬間、下肢に凄い違和感を覚えた。
既に身体はべたつく事は無かったけれど、かすかに内腿に何かがつたって零れて来るのが感じられ、思わず膝を擦り合わせた。

「いっ、いえ。一人で大丈夫ですから!」

「そうですか? では、お仕度が整いましたら食堂までお越しください」

「あっ、ありがとうございます……」

(夢じゃない!!)

やはり現実だったのだと認識した瞬間、喜びで涙が溢れて来た。

昨夜の事をアレクがヨハンナさんにどう伝えているのかも分らないけれど、何時もと違うあの言い回しはきっと自分を気遣ってくれているのだと言う事だけは理解出来る。
ヨハンナさんはここに来てからずっと私達の事を応援してくれていた。
こんなに早くに結ばれるとは思っていなかったかもしれないけれど、それでも理解を示してくれているのだと思うとその事がとても嬉しかった。

ならば心配をかけない為にも平素を装い早くに身支度を整えなければと思い、寝台から降りようとした瞬間、1枚の走り書きされたメモと小箱が視界に入って来た。

「これって……」

《愛しいマリエッタへ

昨夜はとても素敵だったよ。
君への変わる事の無い久遠の愛を誓う。
今日からこれを嵌めてくれ。君はもう私の妻だ。

アレクシス・ルボル・グラッセ》

走り書きのメモの横に添えられていた小箱を開けると、中にはグラッセ侯爵家の紋章の刻まれたアクアローズの指輪が入っていた。

「アレク……」

この国では婚姻の場合、国宝石であるアクアローズをあしらった指輪が送られる。
貴族の家では代々跡継ぎとなる長子が成人を期に家紋入りの指輪を母から譲り受け、それを自分の定めた伴侶へと送るのが習わしとされている。
これからまだ先が見えない自分たちの関係であったのに、彼が……、アレクシスが自分にそれを託してくれた事の意味を理解して、小箱を抱えるマリーの瞳からは大粒の涙が溢れていた。

「私も貴方に変わる事の無い永遠の愛を誓うわ。何があっても私はこの指輪を手放さない!」

中から指輪を手に取ると、愛おしそうにその指輪を暫く眺め、そっと左の薬指にそれを嵌めた。

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~ Comment ~

NoTitle 

こんにちは。
ヨハンナさんの心遣い、素敵ですね。
そして夢か現実か混乱したマリーでしたが…。
アレクの心のこもった手紙と指輪…。
読んでいて、こちらまで幸せで涙が出てきそうになりました。

NoTitle 

更新お疲れ様です。
ヨハンナさん、マリーの気遣いありがとう。
思えば、彼女がアレクとマリーを助けてくれたんですよね。ヨハンナさんも昨日何があったかわかってるはずでので内心では祝福してくれてるのがセリフから感じられて暖かい気持ちです。

初夜明けの破瓜の名残りの痛みと内腿からの愛の証。
夢かと迷っていた時の現実だと気付いた感情の流れ。
そしてアレクからの手紙と指輪。できれば言葉で言ってほしかったけど、彼の気持ちもちゃんと伝わって、マリーの幸せな感情がいっぱい感じられてとっても微笑ましいです。
マリー、その指輪は一生大切にしていってほしいですね。二人にとって最高の初体験でよかった。

マリーの決意のセリフを発しながらの指輪をはめるシーン、想像してマリーのとっても幸せそうな表情が見えてニヤニヤがとまりませんでした。
何あれこれでマリーも何があってもアレクを信じると精神的な成長も見られて、これからマリーもアレクも互いを信じて認められるまでの二人の努力がとっても楽しみです。

Sha-La様 

今日は。
マリーを別邸に住まわせると決めた時、誰と住ませるか、一人で住ませるか?色々実は悩んだんだ末に書き換えて最終的にヨハンナさんにしたんですかが正解でした。
今回の朝チュンも実はツーパターン考えて、この後の流れも考えてやはり今回の設定で行くことに決めたのでこのような形にしたのですが、
>読んでいて、こちらまで幸せで涙が出てきそうになりました。

この言葉はかなり嬉しかった!書き手冥利に尽きます。

そして鍵コメの件も、お心づかい有り難うございます。何時でもとても嬉しい事です。
分散しているのでその影響も勿論ありますが、それだけでは無いんですよね。年齢制限場面はいつもややこういう傾向なんですよ(OUTは連日凄い事になってますが^^;)
とりあえずこれで一旦年齢制限終わったので、少しは如何かな?と思っています。

いつもコメント有り難うございます。

yama様 

今日は。
今回きっと皆さん二人のラブラブな朝の会話を楽しみにしているんだろうなぁと思っていたので、書いていて少し心苦しかったのですが、これからの展開を考えるとこう言う形も有かなと言う結論に至りました。(ラブラブを見せつけようと思えばやはり朝チュンが一番手っ取り早いんですがね^^;)
でも、そんな中でも二人の気持ちのが繋がっているという事はきちんと残るように書きたかったので、自分なりに色々と考えて特に感情の流れに趣を置き一生懸命書かせて頂いたつもりだったので、このコメントは本当に嬉しかったです。

マリーも確かなものを形として受け取ると自分にも自信が持てるでしょうし精神的にも楽になるでしょうしね。
やはり成長して行くキャラを描くのが好きなので、二人にはこれからも頑張って貰って、引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

人は証拠を求めるものですね。
何かの証拠を。愛されている証拠。
それを求めている姿も良いですね。

LandM様 

今日は。

今回設定上二人で朝チュンが入れられなかったので後の設定とも絡めて考え出したものでした。
何とか皆さんにも印象良く理解して頂けたようで良かったです^^ 

いつもコメント有り難うございます。
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