ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《53.混 迷2》

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しばし幸福に酔いしれた後、とにかく仕度を急がなくてはと手水で顔を洗い羞恥しながら溢れて来たものを拭き取ると、クローゼットの中から一人でも着る事の出来そうな洋服を数点選び、鏡の前で当ててみた。
すると映し出される自分の姿に再び頬を染める事になってしまった。

「あ……、やだ、こんなに増えて……」

全身に無数に散らばるうっ血痕を目にし、手にしていた洋服を思わずその場で落しそうになってしまった。

これでは今用意している洋服はとても着る事が出来ない。
慌てて衣類を持って再びクローゼットの中を開け放つと首まで布のある洋服を探した。
けれど既にタートルネックタイプのドレスは季節的に仕舞われている様で、1枚も見つける事が出来ず如何したものかと考えあぐねてしまった。
だが、とにかく少しでも目立たない様に装わなければと思い直し、とりあえず首が出来るだけ開いていないドレスを選び再び鏡の前へと立ってみた。
ドレスを身体に当てているだけで、やはりうっ血のバラ色の痕が見え隠れし、昨夜の出来事が否が応にも思い出されてしまい思わず鏡から目を逸らせてしまった。
けれど17年間生きて来て、雷雨で一人あんなに恐怖した夜も初めてだったが、こんなに満ち足りた幸福感を味わったのも初めての出来事だった。
後悔はしていない。

「……やっぱり駄目だわ。如何しようかしら……」

とりあえずドレスはパステルグリーンで襟元にレースをふんだんにあしらったドレスに決めたがそれでも全然駄目だった。
何か小物で隠せないかと試みたが、ネックレスやネックリボン等では全く問題外で……。
深いため息をついて脱力した時、フッとあるものが目に飛び込んで来た。
あれはここに初めて訪れた時に着ていたパーティドレス。
クローゼットの隅に押しやられていたが、その下の棚にその時肩に使用していたクリーム色のストールが畳まれて置かれていた。
コレだ!と思った。
肩にストールを深く纏い、位置を固定したくて鏡を見ながら少しでもばら色の痕が見えない様に前をブローチで留めてストールを固定した。

「うん。これで、何とか大丈夫そうだわ」

鏡に映る自分の姿を再び映し見て、痕がストールからはみ出していない事を再度確認するとホッと息を吐き出した。

「もう、本当にアレクったら、幾らなんでもつけ過ぎなんだから……」

羞恥に頬を染めながら、昨夜のアレクとの会話を思い出す。


『何かしら? これ。毒虫にでも刺されたのかしら? でもその割には痛くも痒くも何も無いのよね。変な虫よね』

不思議に思い問い掛けたらアレクがピタリッと固まった。

『あ……、いや……。これは……わっ、私だ……』

『えっ?』

言っている意味が分からない……?

『マリーが私のものだと言う所有印をだね……』

少し照れたような眼差しで告白された。

『所有っ!』

告げられた言葉に、思わずつられてこちらもほんのりと頬が染まって行くのが感じられた。

『いや、しかし……、話には聞いてはいたが実際つけてみると何ともより煽られてしまうものだな。数日で消えるものらしいから、それまでにまたつけておかないといけないね』

『もう、やだ。アレクッたら!』


恥ずかしすぎて、あの後アレクの胸板を叩きまくって、ならば私もとつけてやろうと試みたら結局全然痕にならなくて膨れていたら、可愛いだの何だのと告げられて再び押し倒されたのはおそらくまだ数時間前の出来事だ。
それから色々あって―――、気が付けばいつの間にか朝になっていたのだ。

自分の記憶の中にある痕よりもかなり増えている所有印の数に、羞恥に染まった頬を手のひらで押さえて熱を冷ましながら、仕度を済ませると急ぎ食堂へと向かった。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
アレクが初夜早々、独占欲を発動させていることに、笑わせていただきました。
アレクもやっぱり愛しい人を抱いて嬉しいですよね。独占欲を満たそうと印を残したいと思いますよね。

アレク、実際今まで理性を保ってきただけであって、肌を重ねた以上どんどんタガが外れていくと思うんですよね(笑)
今回の印のことだって実際やってみて楽しそう、もっと付けたいと思ってるはずですし。
今度はマリーにどんなことをしたいと彼は思っているのでしょうかね?ふふふ、ちょっと楽しみ。

マリーも困っていながらもやっぱり満更でもなさそう。自分も印をつけようとかする彼女も少しずつアレクに積極的になっていくのかな?と思うと、微笑ましくなります。

とにかく、今は恥ずかしがりながらも幸せに満ちた朝をマリーにはゆっくりと味わってもらいたいものです。

yama様 

今日は。
流石!おそらくご想像通りにもうアレクは、爆走してくれるのではないかと・・・・(笑)
2話先からアレク視点の話が続くんですが、彼の率直な気持ちと言うか状況を聞いて頂ければマリーへの執着度がより分かって頂けるのではないかと。

一応本編ではもう1回R場面を予定しています。既に頭にアレクの場面は降臨しているので、それにマリーがどう対応するかですね。でも絶対拒否はしないと思うので(笑)
ただ出来れば前回以上のものを(場面的には短くなるでしょうが)自分がどの程度の完成度で仕上げられるのかそちらの方がちょっと心配^^;

とりあえずこの先は、少しずつたたみに入ります。
でも、ちょっとゴタゴタがあるので直ぐには終わりませんが、ラストまで頑張りますのでお付き合い頂ければと思います。

いつもコメント有り難うございます。

 

……アレクくん調子乗りすぎ(^_^;)

もちろんひがみです(笑)

ポール・ブリッツ様 

今日は^^

アレク、見事、箍が外れて突っ走ってます(笑)

実は最初は中編位のつもりだったのであと事件あばくだけで終わるつもりだったんですが、もう中編の域超えてるので^^;やっぱり削ったエピソードを復活させようかと思ってるんですが、そしたら「調子に乗りすぎるからこういう事になるんだ!」ってアレクに言える事になるかも?よ(笑)

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

・・・・所有欲ね。
まあ、若さだと認識しておきますが。
若さそのものか。
それはそれで参考になります。
自分に。

LandM様 

今日は。

まぁ、若い内はね。
特に最初はこう言うものは付けたい人も多いだろう的な(笑)
えっ、参考になりますか?
恐れ入ります。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

こんばんは。
自分をマリーに投影して読むと、R指定シーンよりも、むしろ恥ずかしいです(笑)
いや、嬉し恥ずかしという感じでしょうか。

所有の印…
数日で消えてしまうからそれまでにまた付ける…

きゃー(≧∇≦*)

なんか、もう、「アレクったら…(/ω\*)」という言葉しか
出てこないです。

続きもまた楽しみにしています。

Sha-La様 

今日は。
自分をマリーに投影して読むと、それは恥ずかしいですよね(笑)

私作品書く時書き始めは設定で頭いっぱいで考えながら必死にキャラ動かして書いてますが、慣れて来るとそれが自然に形成されて来てキャラが勝手に動いてくれるんですよね。
勿論途中で考えてしまう部分や修正加えたりもしますが、この場面は自然とアレクが頭の中で喋ってくれて、アレクの性格的設定上に問題が無かったので、そのままセリフを投下しました。
アレク箍が外れてどんどん唯の抑えが利かなくなってます(笑)

アレクがそっちの本領を発揮するのはかなり後になっちゃうと思いますが、これからアレク視点の後は色々物事がまた動いて行くので引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。

いつもコメント有り難うございます。
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