ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《57.選 択1》

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アレクシスが城へ泊まり込みの生活を送るようになって8日程が過ぎた頃、朝方執事が突然別邸に訪れた。
リレントさんを急用だと言い呼び出すと、二人で別室に籠り数分後、出て来たと思えば今度はリレントさんが用があると言い出した。

「良いですね。出来るだけ早く……、2時間程で戻るつもりではおりますが、くれぐれも私が戻るまでは、何人たりとも決してこの別邸に入れてはなりませんよ。戻るまで警備には重点的にこちらに目を向けるようにと執事には頼んでおきましたが、予断は禁物ですからね」

重々に念を押し出かけたリレントさんが戻って来たのは、正午を過ぎた頃だった。
どうやらリレントさんは城に赴いていた様で、その懐には2通の手紙が携えられていた。

「実は今朝方御実家であるマニエール男爵家から一通の手紙が本邸に届けられました。既に御了解頂いておりましたので、失礼ながら御父君からの手紙は先に旦那様の許に届けさせて頂きましたので、どうぞお読みください」

「お父様と、アレクシスから?手紙の件はそれで構わないけれど……。それでお父様は何と?」

「詳しくは、とにかくお手紙をお読み頂ければと思いますが、要約致しますと来週開かれる国王様の誕生祭へ出席を促すお知らせでございます」

「そう。有難うございます」

手渡された2通の手紙を受け取ると、最初にアレクシスからの手紙を徐に開封しかけてハッとした。
父から受け取った手紙に対する返答ならば、とりあえずはやはり最初に父からの手紙に目を通すべきであると言う事に……。
手紙を持ち変えると、最初に父からの手紙を開封した。
父らしい想像するまでも無い、かつて良く告げられていた通りの命令口調の言葉が書き綴られており、つい、思わず深いため息を一つ零した。

「マリエッタ様?」

「良いの。気にしないで……」

そこに書かれてあったのは、誕生祭にはマニエール家の跡継ぎとして我が邸から正式に出席するようにとの文面であった。
ロナルドの件については一言も触れては居なかったが、おそらく戻ればまた介入される事は目に見えている。
ロナルドとの話は、今の自分にとっては思い出すのも煩わしい出来事でしか無く、直ぐに父からの手紙を閉じると、今度は続けてアレクシスからの手紙を開封した。
そこには『愛しのマリエッタへ』と書き記された愛溢れる言葉の後に、長く留守にしてすまないと言う言葉とそれに加えて父からの手紙に沿った内容の文面が要約されて綴られており、その後に全ては私に任せると書き添えられてあった。

アレクとはここへ来た時に我がマニエール家の跡継ぎ問題についても少しだけ話し合った。自分と一緒になると言う事を譲れない以上、マニエール家の跡継ぎ問題は自分たちにとってこれからも大きく圧し掛かる一番大きな問題となる。
アレクシスは私とさえ一緒に居られるのならば爵位に囚われないと言ってくれた。父の許しが直ぐでも得られるのであれば最悪自分が一旦婿養子に入り、この家を他の者に一時的に任せても良いとまで言ってくれた。理解を得られれば双方を管理する方向で話を進めたい……とは言ってはいたが、そこまでアレクに譲歩させる訳にはいかない。何より王家との深い関わりのあるグラッセ家の若き当主に、その様な事をさせられる訳が無い。それこそ傲慢な事だと思う。それに王室もその様な事を容易に認めるとはとても思えなかった。
だからアレクの申し出はとても嬉しい言葉だったけれど、そこは丁重に断る事にした。
その後二人で他の選択肢を探りだし、周囲も受け入れてくれるであろう妥当なものとして導き出したものは、我が男爵家を親族に任せるか、将来私達に子が複数授かれば父が元気な内は父に頑張って貰い孫の代でその者に継がせると言う二つの選択肢だった。
どちらにせよ今すぐ決めるられる問題でも無いだろうと言うのが、その時話し合った時の二人の結論だった。
だが、そう言いながらも最終的に男爵家の問題をどの様な方向性に今後導いて行くのかは私の意見を尊重してくれると言う事をアレクは言ってくれていた。だから、この問題に関しては二人が共にある事を満たせるのであれば、私の意見を尊重してくれると言ってくれているのだ。

「この事についてアレクシスは、他に何か……言っていた?」

「いえ。これは自分が口を挟む問題では無いからと……」

「そう……。そうよね……」

この場合、アレクの意に沿う選択肢は何なのか?
正式に婚約が認められてい無い以上、今回に限り自宅から出席した方が良いのだろうか?ここから出席するとなれば、色々な噂話を煽る結果にはなりはしないだろうか?
そうなれば、アレクにももっと迷惑をかけてしまうかもしれない……。
今ですら公私共に、これだけ心を煩わせているのに、これ以上の負担をアレクに掛けたくはない。
けれど、ここからは絶対に離れたくないッ。ここでずっとアレクを待っていたい……。

「私は……、一体如何すれば……」

頭を抱え眉間に皺を作って項垂れていた。
考え込み、何度も深いため息を零していると……、後ろから深いため息が聞こえて来た。
振り返るとそこには、私に手紙を手渡したままの態勢でリレントさんが立っていて、私を見据えて苦笑いを零していた。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
マリーが愛情と責任感に挟まれて悩む展開にドキドキします。
この別邸でずっとアレクを待ち続けていたいっていう心と、アレクにこれ以上負担をかけさせたくない心、どっちもアレクのことを思うが故に悩むっていうマリーの心が伝わってきます。

リレントさん、心の中で似た者同士と思っているのでしょうか(笑)

またアレクもアレクでマリーに答えを決めさせることは一見、無責任のように見えますが、逆に安心もしました。
これから夫婦である以上、アレクが人形のようにマリーを守るだけでは駄目だと思うので、お互いが自分たちのことを考え合うことが一番大事なことだ思うんですね。前はそれを怠って引き裂かれそうになったからですね。
アレクが答えをマリーに託している以上、マリーがどちらを選んでもうまくいくように手を打っていると一読者としてアレクを信じているので(ヒーローがヒロインへの欲情以外に関しては頼もしいと思わせてくれる映写が上手です)、マリーもアレクを信じて選択してほしいものです。

yama様 

今日は。
ここでは、アレク少し冷たいかなと思われるとも思ってましたが、ご理解頂けるお言葉を頂けて嬉しいです。
私はやはり抱え込まれるだけでなく成長するキャラが好きなので、お人形さんでなく、やはりマリーにももっと成長してほしいと思っています。
マリーは元来強い思いを持っていて、けれど流されているだけなので、きっと成長できると思っています。
アレクがこの事をどう考えているかは次回読んで頂ける場面で少し分かって頂けるかと思いますが、彼もマリーにお人形さんになって欲しいとは思っていない筈なので、是非マリーには頑張って貰いたいです。
成長してくれないとこれからの試練に耐えられないぞ!(ちょっと暴露)
アレクはどちらに転んでもマリーを手放す気は勿論ありませんので、これからも、もっと頼もしいと思って貰えるように書き進められると良いなと思っています。
一先ず、マリー頑張れ!ですね(笑)

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

正妻でも愛人でもアレクの側にいるわ!!
( ;∀;)

・・・というある意味の達観も必要なのかもしれません。
あ、その作品の延長線上が私の浮気作品か。。。
( 一一)

LandM様 

今日は。

あははっ、想いの重みは同じなのかもしれませんが、ここでそれは無いな。でも、心情的にはそれだけの想いはあると思います。

確かに。それやっちゃうと何か姉妹作になりそうな(笑)
でも、ダメですよ。こちらはハッピーエンド推進なので♪

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

こんにちは。
マリー、板挟み状態ですね…。
アレクに迷惑をかけたくない、
でもここ屋敷でアレクを待っていたい…。
ほかの方のコメントにもありましたが、アレクが
「自分が口を挟む問題では無い」と…。
マリーの気持ちを優先したいのと
マリーの自主性を育てていきたいのと
両方の気持ちがあるんでしょうね。

Sha-La様 

今日は。
ここはマリーの正念場ですね。
抱え込まれるだけでは人間成長は無いと思うんです。
その人に寄りそいたいと言う気持ちと抱え込まれると言うのは別だと思うので、マリーにもここは踏ん張って貰おうと思います。
正しくマリーの気持ちを優先にしながら自主性も育ててしまおうとその目論みも含まれています。
でも、ここには温かく見守ってくれている者もいる訳だし、どう展開して行くかは次回をお楽しみに。
最初から何もかも一人では人間中々考えられませんしね(笑)

いつもコメント有り難うございます。
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