ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《58.選 択2》

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一瞬目が合ったと思ったら、急に視線を逸らされた。

(如何して?)

更にそのまま背を後ろに向けるとリレントさんは、今度は溜息を一つ零した。
何を言われるのだろうかとドキドキしながら身構えていると、突然意外な言葉が発せられ、思わず目を見張った。

「とても苦しげな表情をなさっておいででした……」

「えっ、何?」

「いえ。少しヨハンナ殿に、話が……」

「…………」

自分に向けられた言葉だと感じていたのに、少しバツが悪かった……。

「誰の事を言っているの?」

ヨハンナさんも全然話が掴めない様だった。

「『冷たいと思われるだろうか……』とか『でも、これはマニエール家の問題だから、自分で決めなければ後々きっと後悔すると思うのだ』等と当たり前のことを言われましても同意するほか無いと思いませんか?それに今回の誕生祭の夜会に致しましても元々成人貴族の参加は義務付けられておりますので不参加等考えられ無い状況なのですから大きな夜会を前に何も格好の噂話の種を提供しなくても良いと思いませんか?誕生祭の夜会なんてこの国一番の噂の宝庫なのですから。それを……、何か事を起こせばどの様な事になるか分かっているにも関わらず、過日等は某男爵と令嬢相手に騒動を起こされ、それだけでも正気の沙汰とは思えなかったのに、続いて今度は更に抱え込むなど最初は信じられませんでした。ですが、それ程までに旦那様が思い詰めていらしたお気持ちを理解出来てからは応援したくもなりました。ですから協力も致しましたが、今日は更に我が耳を疑いました。『渦中の二人が暫くぶりに出席するのだ。嫌が応にも我等は皆の注目の的になるんだろうが、その時皆がどのような反応を示すのか、私は今からとても楽しみで仕方が無いよ。親に良縁と定められ伴侶を決めて貰うことが当たり前だと思っている連中がおそらく誕生祭の夜会には沢山来る。そんな奴らの中に我等の姿を見て羨ましいと口を開いてくれる者が一人でもいれば私は万々歳だと思っているのだけれどね。親の言いなりになるばかりの古い風習はそろそろ脱ぎ去るべきだよ。それだけが全てじゃないと分かってもらうには今回はいい機会だと思わないかい。今の若い連中が自らの意思を強く持ち行動を一つでも良いから自ら起こせるようになってくれれば私やパウウェルが目指す未来も明るいと私は思っているんだけれどね』等と言う壮大な計画を急に告げられましても、瞬時には返す言葉が見つからなかったのですが、こう言う場合何とお答えしたら良かったと思いますか?」

リレントさんの思いがけない言葉に、私は絶句した。
最初自分の事を告げられているのだと思い、とても申し訳ない気持ちにもなっていたのだが、アレクシスがそのような事を考えていただなんて……。

「…………」

「流石は私がお育てした旦那様ですわ。私は自分を褒めてあげたい気分ですわ」

いとも簡単に答えを導き出したヨハンナさんは何処か誇らし気だった。

私は何も分かっていなかった……。アレクの事を何一つ……。
彼はあの頃のままの、ただの優しいだけのアレクシスでは無い。
私への想いを貫いてくれたのは、ただの恋情だけではなく思い描く思想を貫く為でもあったのだ。
告げられた言葉に自分たちの関係が、これから新しく作られるかもしれない改革一歩へと繋がる手助けになるのかもしれないと思うと心が震えた。

(自分もアレクの様に強い意志を持つ人間になりたい!)

今切実にそう思う……。

「ぐすん……すんっ……」

今までの自分が情けなくて思えて来て、瞳から涙が溢れて来た。

少しだけ突き放したような態度だったアレクの事を、実は冷たいと思ってしまっていた弱い自分。
変わりたい……。変わらなくてはと自分に強く言い聞かせた。

「お守りせよと仰せつかっておりますのに、今マリエッタ様に泣かれるのは私と致しましては、不味いのですがね……」

何処か困惑気に苦笑いを零すリレントさんに、私はとても感謝した。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。

リレントさんの言葉からアレクのマリーへの信頼(成長してくれると信じているからこそマリー自身のことを任せようとする)、そして相変わらずの溺愛ぶりが伝わってきます。
彼やパウウェルさんが目指す思想を貫こうとする姿勢がとても良いと思いました。やっぱり男から見ても、女の子には大事な所は自分自身で判断して支え合ってほしいですからね。
さりげなく、マリーを自慢したくてたまらないアレクの心情も感じますが(笑)

ヒーローがヒロインを大切に思う気持ちが強すぎて周りに触らせないよう閉じ込める展開がよくありますが、やっぱりそのまま終わるのはもやもやが残りますので、ヒロイン、ヒーロー共に自分の意思で歩みあうこの展開は好みです。

マリーも分かってくれた模様。確かにこのまま彼にまかせっきりになっているといざとなればまたすれ違いますからね。
人って自分が変わりたいっという意思とそれに伴う環境がよければ(あのまま父や売国奴の所にいれば変わることはできないでしょう)変わることができるはずですので、環境がそろっている今、泣きたいときは思いっきり泣いて、そして感謝すべき人にちゃんと感謝して、大切な人といつまでも一緒に生きていける努力をしていこうね。

マリーがアレクと生きる為にどういう形で答えを選ぶのか、次回が楽しみです。

yama様 

今日は。

ご理解いただき嬉しいです。

アレクには何としてもマリーへの想いを貫きたいという事と、名のある若き侯爵家の当主として、友と共に今後進めて行こうとする思想があります。
己が信念を貫くにはどちらが欠けても成り立たないのです。
恋愛は相手が居るので上手くいかない事もあるかもしれませんが、想いが伝わった今となってはやはり自分たちが掲げた理想も捨てきれない。
アレクの行動はそれを踏まえての行動です。
ただ準ずるままに生きていくことは容易い事ですが、新しい道を進むのならばマリーとの関係も今までの貴族の夫婦のような関係のままであってはならないと思っています。
アレクはマリーに唯の準ずる者になって欲しい訳では無いので、マリーにも頑張って今後どんどん成長して貰おうと思っています。

とりあえず、次回決断はしますが、本当の試練まだこれからなので二人には頑張って乗り越えて欲しいと思います。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

うむ。女性が意思をもって愛することは大切ですね。
そういった意味では、私の作品の上をいくような・・・。
愛に逃げるか、愛に向かうか。
それは大きな違いがありますからね。

NoTitle 

こんにちは。
アレクは強いなあと改めて思いました。
自らが好奇の的となるのを分かっていて、それをあえて楽しみと。
そして新しい道へ進む一歩にしたいと。

アレクのマリーへの想いは当然ながらとても深く、
と同時に思想を貫きたいという思いも色褪せないのは
マリーが自立した強い意思を持てる女性であること、
そうなることを、それだけ信じているからなんでしょうね。

マリー自身もリレントさん経由でアレクの思いをしっかりと受け止めたようですし、
これからの展開がさらに楽しみです。


LandM様 

今日は。

この場面実は結構悩みました。
最初は抱え込まれ気味に書いていて、何か違うなって思えて、何が違うのか考えた時にプロット見直してハッとしました。
何だかこそばゆい褒め言葉有り難うございます。
やはり成長してくれるキャラが好きなので、(性格にもよりますが)二人には頑張って貰いたいと思います(笑)

いつもコメント有り難うございます。


Sha-La様 

今日は。

アレクは本来強い人です。恋には臆病になってましたが、それ以外は強いです。
男の人って、好きな女性が出来て思いが通じて将来的な事を互いに考えられる間柄になるとやはりその点で今まで以上により強くなれると思うんですよね。
なのでそこに本来アレクが抱いていた思想を絡めてみました。
将来の事を考えればただ抱え込むだけでは駄目なんです。
アレクは子供の頃からそうですがマリーは自分の事を支えてくれる人だと信じていました。

ここでは詳しく書きませんでしたが、本当はリレントは自ら答えを出してました。敢てマリーの為にああ言う手段をとってくれました。
彼も今回はいい仕事をしてくれました(笑)

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

宮廷での人間関係は罠だらけだからなあ……。

気をつけてくださいマリーさん。

有り難うございます。 

「鬼藤千春の小説」のブログへ訪問いただきまして、有り難うございます。今後ともよろしくお願い致します。

ポール・ブリッツ様 

今日は。

すっ、鋭い!! 流石ポールさんです!
そうですよ。マリー、王宮へ行く時は気を付けましょうね(笑)

いつもコメント有り難うございます。

鬼藤千春の小説様 

初めまして。今日は。
以前ブロ友さんの所のコメントで知り、少し覗かせて頂きました。
また時間がある時は伺わせて頂きますね。

コメント有り難うございました。
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