ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《61.提 言》(アレク視点)

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今座っているのは王宮の小広間の一室。
目の前には豪華な食事が用意され、右隣には我が国の王太子マクシミリアン殿下、左隣には国土部門のマーカス殿と目の前には本日誕生祭の祝いに訪れた隣国ステガルドの王太子の姿があった。
先程私室を訪れたのはマクシミリアン殿下の側近だった。
何やら今回の用向きは、訪れたステガルドの王太子殿下が王宮に着くなり早急なる橋の復興に痛く感銘を受け熱弁されており、是非改修工事の指揮に携わった者達に一言礼を申し上げたいとの事なので一緒に昼食でも如何かと言う事だった。
断わりたいのは山々だったが殿下からの直接の申し入れと言う点と、今回橋の修復に関してはステガルド側からも多大なる資金援助を頂いており、その申し出を断る術は我等には無かった。
資金援助を頂いた事で今回若い職人だけでなく、豊富な知識を配する多くの専門家の登用も可能となった事も今回早急に復旧出来た大きな要因であった。
こちらこそお礼を述べなければと思ってはいたが、私的にはそれは何も今直ぐで無くても良かったのだが……。

「あの崩落寸前の橋を視察した折、本当に修復が可能か疑いたくもあったが、こちらの計画案道理に進めば必ず可能だとマクシミリアン殿下も言うのでな……。私から父を説得はしたものの実は半信半疑だったのだ。いや、疑って悪かった。見事立派に復旧を遂げ、両国間の交易の問題もこれで一気に解消される。本当に両名には感謝に堪えない」

「いえ、こちらこそ。恐れ入ります殿下……」

「恐縮です」

マーカス殿と顔を見合わせ深く頭を下げた。

「まあ、そう畏まらずに。実はその件でと言うか……、別件も踏まえてお時間が許されるのであれば、食後にでも少し折り入って話をしたいのだがな。そちらにとってもおそらくこれは悪い話では無いと思うのだが、もう暫くお時間を割いては頂けないだろうか」

どのみち我等に拒否権など有はせず、マーカス殿と二人してマクシミリアン殿下に目を向けると小さく頷かれた。

それからの我らが、更に食事など喉に通らなくなったのは言うまでもない。

結局昼食後別室でと言う事になり、会議室へと場を移す事となった。
とりあえず夜会への仕度に屋敷へ戻る時間は無さそうだと言う事で、サンデスに着替えを持って来て貰うついでにマリーへの伝言を託した。


会議室に入るとそこには友である警務騎士団統帥長パウウェルの姿があった。

「まさか、お前も呼ばれたのか?」

「ああ。このくそ忙しい時に、殿下から急に呼び出しを食らった。何事なのだ?」

「私とマーカス殿はステガルドの王太子殿下に話があると言われて呼び出されたのだが……」

「ステガルドの!? ……不味いな……」

何やらパウウェルは少し困惑気味だった。


気まずそうなパウウェルを他所に話しはとても和やかな雰囲気で始まった。

「実は残念ながら我が国には、あれ程の被害を受けた橋の崩落を食い止められる技術者は現在居ないのだ。我が国ならば基礎から全てやり直しだ。費用も労力も倍はかかる。そこでこれはこちら側の提案なのだが……」

どうやらステガルドの王太子殿下の話は、技術者の育成の協力要請だった。
橋の修復技術が確かなものであれば、何としてでもその話を纏めて来いと父王から言われて来たらしい。
だが、その件で何故パウウェルの同席を求めるのかと思っていれば……。

「父からはこの話が纏まるのであれば協力は惜しまないと言われている。我が国は四方を大きな山々に囲まれている為、どうしても多雨によりる水害が他国よりも多い。その為防護柵の強化も必須うなのだ。あれだけの技術力があれば橋も含めてあらゆる対策が可能だろう。もし双方を強固なものにする為の技術協力を得られるのであれば、こちらも協力を惜しまない。先日貴国の国宝石であるアクアローズ流出問題で調査に入らせて貰いたいとの嘆願を受理した。その後調査を進めている様だが、その件は順調なのか?」

思わず瞬時にパウウェルとマクシミリアン殿下に目を向けた。
何の事か分らぬマーカス殿は、私と同じ視線を追うも何処か呆気に取られていた。

「我が国の保安部の報告では、鉱石王に接触できずに困っている様だとの話だったが?」

パウウェルとマクシミリアン殿下の視線が絡んだ。
詳しい事は聞いてはいなかったが、パウウェルからはロナルドの件はかなり調べが進んでいるが、状況証拠のみでそれを裏付ける人物には中々接触できないと聞いた。
自国の者では無いので強制的に話しを聞く事もままならず、その件においては難航していると聞いていた。

「鉱石王と言われているブラウド・バーンには母や我が妃の宝石類の加工も頼んでいる関係で私も面識がある。奴は王侯貴族や大きな取引には最初は自らが動くが後は信頼のおける配下の者に任せていると言う。貴国が調べを進めている人物が奴の配下の者ならば私から口利きしてやってもいい。我が国は貴国とは今後も長く友好関係を築いて行きたいと思っている。今後も双方の国で事件性を含んだ問題は起きるだろう。それについても今後両国間で捜査協力を築けないかと思っているのだが?」

「「殿下!」」

身を乗り出し、パウウェルと二人して思わずマクシミリアン殿下を凝視した。
もし鉱石王からの情報が得られれば、全てを解決できる糸口が見い出せるかもしれない!
それには殿下も眉をピクリッと震わせていた。
今回だけでは無く今後もおそらく国宝石であるアクアローズの流出問題は出て来るだろう。ならば利点は大いにある。
それに個人的にはあのロナルドと関わりのある鉱石王から齎される情報は喉から手が出る程欲しいものだった。

結局、最終的な話は警務騎士団統帥長と3人でと言う事に落ち着き、我等は技術的指導者の人選を任されその場を退出させられた。
会議室の中で、今どの様な話がなされているのかは推察でしかないが、ロナルドの件を含めて我等の関係をより良い形に齎すものであると信じたい。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
ステガルドとの技術提供の変わりに事件解決への協力ですか。
国家間との取引は駆け引きがつきものですが、最終的に相手を切り捨てるでない限り、駆け引きは相手にも5分の利益を与えることが最上だと思いますからこの王太子は事件に悩んでるアレク達にここぞという時に取引を持ちかける分、なかなかできるようですね。
アレクとしては早く解決させてマリーと思う存分イチャイチャしたいでしょうしねえ(笑)
私としてはこういう善意よりの利害関係の映写は好みです。相手を蹴落とす駆け引きよりも、互いを持ちあげる駆け引きの方が最終的にどちらにも利がでて後ろめたさがない分、精神面にも損がない信頼を築けますしね。

この取引に相手の悪意などがなければ事件解決は一気に進むはず。
アレクと共に進む以上、マリーもこの事件に無関係ではいられないはずですのでどういう形でマリーがこれに向き合っていくのかも楽しみです。

yama様 

今日は。

ここで悩んだのは国外での事件という事。
簡単に自国以外の人間を捕らえる事は出来ないので、交渉が無くては話が薄いものになってしまうと思いました。
その上でこういう話になったのですが、ご理解頂けて好意的に受け取って頂けて良かったです^^
交渉の後、上手くいけばロナルドを捕らえる事も容易になりますし、二人の幸せも勿論近づきます♪
ただ、交渉が成立したとしてもならば今すぐに捕らえる事は可能かと言えば、それは無理なので、夜会で何も起こらない事を祈るしかないのですが、何も無いとは思えない……。それこそ不自然と思うんですよね。
と、いう事で何が起こるかは、また数話先をお楽しみになさって頂ければと思います^^

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

ふうむ。自然災害は世の常。
しかし、それに抗い住み続けるのも人の常。
それの葛藤を描けるのも素晴らしいですね。
なかなか今の日本にも直結する話でうなづくばかりです。
( ;∀;)

LandM様 

今日は。
自然災害はどの時代にも世界にもつきものだと思うので、色々な意味を考えながら実は書かせて頂きました。
そう言って頂けると有り難いです。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

こんにちは。
ようやくマリーと会えると思いきや…。
なかなかことは簡単に進みませんね。
初めての夜を過ごしたきり、その朝すらも会えなかったアレクとマリー。
すべき仕事が増えてきてマリー欠乏症になりそうなアレクですが、
前向きに取り組むところが印象的です。

Sha-La様 

今日は。

中々簡単には進みませんね。(何せ一応じれじれ作品ですので(笑))
そうそう。アレク、かなりマリー欠乏症状態です。そこ大事です。
なのに、これからまあ、いろいろある訳ですよ(まだ今は言えませんが^^;)
はい。ここはくさっていてもどうしようも無いので、彼は彼なりに頑張ってます(笑)

いつもコメント有り難うございます。
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