ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《62.決 意》

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早ければ正午過ぎには帰宅できると昨日の手紙には書かれてあったのに、既に午後のお茶の時刻も過ぎたと言うのにアレクシスの姿はここにはなかった。
何かまた、問題でも起きたのだろうか?

「一体何をしているのでしょうかねぇ、旦那様は……」

私よりも何やら帰って来ないとヤキモキしているのはヨハンナさんの方だった。
アレクと一緒に御子息もとなれば、やはり心配事は私よりも大きいのだろう。

「お話では目途がついたと言う事でしたが、こう言う事は状況により何事も変わって参りますので……」

それに比べてリレントさんは勝手知ったる何とやら。
状況を良く分かっている様で、主が帰って来ようが来まいが変わらない対応が瞬時に取れそうだ。
そんな所へ馬車の音が聞こえて来て、リレントさんが席を立った。

「戻られたようです」

慌てて席を立ち皆で出迎えに表へと出たが、待ちわびた馬車の中から降りて来たのは初めて見る若い男性の姿だった。

「サンデス! アレクシス様は? 何故旦那様はいらっしゃらないの? 何処なの!?」

ヨハンナさんが食い入るように視線を向けたその者が、大きく首を横に振る姿を見るなり頭を抱えて項垂れた。


どうやら話によれば、隣国の王太子に捉まり戻れなくなったのだと言う。
一緒に出掛ける事を楽しみにしていたとは言え、相手が隣国の王太子とあっては流石に何も言えない。
けれど各国の招待客の本来の目的は本日の誕生祭を締めくくる夜のメインイベントとなる舞踏会た。それまでには隣国の王太子殿下も解放して下さるだろうと言う事だった。

ならば私の想いは決まっている。もう揺らぐ事は無い!

「マリエッタ様にはくれぐれもすまないと伝えてくれと仰ってお出ででした」

「当然でしょ!」

「それと、できれば差し上げた指輪を嵌め欲しいとも申しておりました」

「……公の場ですのに、良いのでしょうか?」

「勿論ですよ! 宜しかったですわね、マリエッタ様」

実は今手に嵌めているこの指輪は流石に外さなければならないと思っていたのだ。
これはただの誓いの指輪ではない。
位の高い貴族の中には正妻以外の妻を抱える者も珍しくない。
中でもグラッセ家のように王室と関わりの深い貴族ならばなおの事、本来妻を複数持つ事が当然の様に遇されている。
その様な場合は跡継ぎを産む事を許された妻にのみこの指輪は送られるものだ。
けれどアレクは予てより自分をただ一人の妻にすると言ってくれていた。
その様な指輪を、まだ正式に認められた訳でも無いのに公の場で嵌めても良いと言って貰えた事が、私には大いなる喜びだった。

「アレクには必ず嵌めて伺いますと伝えてちょうだい。私は決してこの指輪を手放さないと……」

アレクから告げられた言葉を疑っていた訳ではないけれど、その言葉は今の自分にとって大きな自信へと繋がるものだった。

サンデスさんは夜会の衣装を取りに戻っただけだからと、そのまま報告を終えると衣装を手に再び王宮へと戻って行った。


アレクシスとは間違いなく、誕生祭の舞踏会で会えるのだから私は気にしない!
これならばマニエールの屋敷から両親と共に出かけても一緒だったかもしれないと、以前の私ならば消極的になり思ったかもしれないが、今はそうは思わない。
誰が分かってくれなくても良い。アレクが私と共にある事を私自身が望んでいるのだから、私は一人でもこの邸から堂々と出て行こうと心を新たに決意した。

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~ Comment ~

NoTitle 

これもアレクの策ですか? ワクワク

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
ふふ、マリーが以前と比べて凄い前向きになっていることがわかります。
アレクとのすれ違いの時はうだうだしてた彼女がまるで嘘のようです。やっぱり誤解が解け、身も心も結ばれたってことが、そして指輪を貰ったことが彼女に大きな自信を与えてくれたようですね。微笑ましいことです。

こうして見ると愛する人と体を繋げ合うということは欲望や本来の目的だけじゃなく、愛情を確かめ合いさらに強めるためでもあるということが伝わってきますね。こういう変化を楽しむことも女性向け官能ものの要素の一つですので楽しませてもらっています。

誰にもわかって貰えなくても、これからわからせて貰うこともできるはず。マリーが舞踏会でどう自分の障害に振る舞うのか。楽しませていただきます。

ポール・ブリッツ様 

今日は。

策と言う訳でも無いんですが、ある意味マリーの成長を促そうとはしているかな。
ふふふっ。何か色々起こりそうなの読んでますねぇ。
時は刻々と迫ってますよぉ(笑)

いつもコメント有り難うございます。

yama様 

今日は。

そうですね。マリー頑張ってますよ。
やはり、口先だけの言葉だけでなく、全身で確かなものを感じ取れたら信頼度は更にUPすると思っています。
こうやって、時には障害や試練を乗り越えて、信頼がより強い絆へと変わっていいってくれると思います。

これからちょっと色々ありますが(暴露)、よりその障害を乗り越えて二人の絆を強めて欲しいと願っています。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

軍師官兵衛も奥さんにゾッコンであり、当時では珍しく正妻しか持たなかったですからね。そういう人もいます。

LandM様 

今日は。

そうですね。軍師官兵衛のその話を聞い時、私は官兵衛見直しました(笑)
あの時代の男にしては一途で素敵です♪
やはり一途って好きなんですよね。書いていても楽しいので(笑)

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

こんにちは。
ちょっと読むペースが遅くなってしまいすみません。

指輪の件、ジーンとしました。
そんな大きな意味のある指輪…。
アレクの気持ちをマリーはもちろん信じていたでしょうが、
それが確信に変わった瞬間ですね。
そして、マリー自身も強くなりましたね。

Sha-La様 

今日は。
いえいえ、ご自分のペースで読まれて下さい。大丈夫ですよ。

指輪の件は、何か深い意味を込めたかったので色々考えての設定だったのですが、そう言って頂けて嬉しいです。
直接手渡せなかったと言うリスクもあったので、この設定は重要でした。マリーを前向きにさせるためにも。
なので、強くなったと感じて頂けて良かったです^^。

いつもコメント有り難うございます。
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