ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《63.意 欲》

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夕刻になり誕生祭の舞踏会へ向かうべくグラッセ家の別邸をリレントさんと後にした。
王宮には馬車で30分程と、そう遠くない距離だ。

今私が身を包んでいるのは、屋敷へ戻らない私の為に母がこっそり送ってくれたものでは無く、アレクからプレゼントされたドレス。
一週間ほど前にアレクの使いだと言う仕立て屋が突然別邸を訪れて、採寸をして帰って行った。生地は以前よりアレクから頼まれていたものを使用するらしい。
仮縫いにその後もう一度訪れて、ドレスは昨夜届けられた。
デザインは肩から胸元とウエストから下がにかけて生地の上からレースの透かしが入っており、少しウエストの締まったプリンセスラインのシャンパンゴールドだ。パニエも着用しているので、かなりドレスは翅の様にふわふわだ。
最初目にした時は、見るからに高級そうなドレスの生地に度肝を抜かされたが、何でもアレクの領地で栽培されている蚕から糸をつむいで染め上げた生地らしく、更に織りまで領地内で仕上げられていると言うから驚きだった。
それに加えて先程出かける前にヨハンナさんから用意されたアクセサリーは全てアクアローズだった。

「この御品も我がグラッセ家に代々受け継がれている御品です。是非マリエッタ様に使って欲しいと旦那様がおっしゃり、私がお預かりさせて頂いておりました。このネックレスとイアリングに合う様にと仕立て屋へは何度も足を運ばれて、幾つかの候補の生地をご用意していたとか。その候補の中から実際にマリエッタ様に合わせてみて、後は仕立て屋に任せた様でございますが、この御色は旦那様が一番お勧めの御色だったようで、私は如何かと思っていたのですが流石は旦那様、まるでマリエッタ様の為に誂えた様に本当に良くお似合いですわ」

確かにこの衣装にはとても映えると思う。だが、ハッキリ言って衣装もアクセサリーも分不相応にしか思えず身が縮む思いだった。
それでもヨハンナさんに褒めちぎられて説得されて、何とか言われた通りに身に着けては来たものの、何か失くしはしないかと、それだけがとても心配だった。


到着してから開催時間まではまだ一時間以上もあり、早々の到着をアレクへ知らせに向かうリレントさんには、一旦控の間の前まで送っては貰ったものの、中々入ることが出来ずに扉の前で佇んでいた。
中に居る人たちは今の私を見て……、何と思うのだろうか?
周囲の目が気になり扉を開ける手が止まる。
結局、迷った挙句にテラスへ向かって逆方向に歩きだしてしまった。
我ながら情けないと思う……。
少し自己嫌悪な陥りそうになっていた時だった。
更に奥にある別室へと向かう、ベアレーゼ侯爵夫人と思いがけずに遭遇した。

「あら、マリエッタではなくて? お久し振りね」

「あっ、アリシラ様!すっかりご無沙汰してしまいまして……。その説は大変お世話になり有難うございました」

「いいのよ。そんな事は気にしなくても。それよりも今あの子の所に居るんですって? 良かったわね」

「はい、お蔭様でアレクシスとはきちんと話し合う事が出来ました」

「そう、幸せそうで良かったわ。その指輪もね」

私の手を取り抱きしめてくれた。

「有難うございます」

「先日ね、アレクシスから報告の手紙を貰ったのよ。その手紙がね、もう本当に貴女の事ばかりで正に溺愛って感じだったわ。あの子の父もそうだったけれど、正に蛙の子は何とやらね」

「そっ、そんな事は……」

思わず頬が染まって行くのが自分でも感じられた。
それを見て嬉しそうに微笑んでくれるアリシラ様の姿は、色々と悩んでいた私に魔法の言葉を投げかけてくれた。

「アレクシスはね、本当に貴女の事をずっと待っていたのよ。あの子と居る事で誹謗や中傷だけでなく色々あるかもしれないけれど、如何かこれからもあの子を信じてやって欲しいの。何があってもあの子だけは貴女を裏切る事はしないと思うから。あの子はそう言う子なのよ。だから守ってね。何があっても自分で掴んだ幸せは自分で守って、切り開いていくものなのだから。決して誹謗や中傷に負けないでね」

アリシラ様の言葉にハッとし、私はその場で深々と頭を下げた。

「有難うございます……」

アリシラ様には本当に感謝している。
この方が居なければ、ある意味私達は今如何なっていたのか分らない。
あのまま……、誤解したまま互いに歩み寄る事も叶わなかったのかもしれないのだ。
この方がアレクシスの叔母で良かったと、今心の底からそう思い感謝した。

「まだ、夜会までには時間があるけれど、これから如何するつもりなの?色々と中傷されるのが嫌ならば、良かったら私のお部屋でお茶でも一緒に如何?」

「はい。有難うございます。でも、それは又の機会に……」

「そう?」

アリシラ様と一緒に居れば、世間の噂に曝される事から少しだけ逃れられたかもしれなかった。けれどそれではいけないのだと気付かされた。
守られているだけでは駄目なのだ!
ここに来て、不安な気持ちがあって逃げ出してしまいそうになったけれど、それをやってしまえば今までの自分と何ら変わりはしない。
ならば如何すれば良いのか?
アリシラ様の言葉は不安で押しつぶされそうだった私に再び勇気を与えてくれた。
自分はアレクシスから正式に認められたのだから、誰から何と言われても何も後ろめたい訳では無い!
ロナルドとの婚約だってまだ正式に整った訳では無かったのだから、胸を張って堂々としていれば良いのだと自らに言い聞かせて大きく深呼吸をすると、再び控えの間の扉をじっと見据えて取っ手に手を添えた。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
アレクがマリーの為に作らせたドレス、この時の為にずっと準備していたようですね。
アレクがこの舞踏会にてマリーの素晴らしさをより美しく見させるために、最大限努力してたことが感じられて、やっぱりいい男だなと改めて思います。アレクはやっぱりマリー本人以外への態度以外は優秀ですね。
とはいえ、これだけ綺麗なドレスは、他の男女も惹きつかせてしまうかもしれません、もしかしたらアレク、ちょっと嫉妬してしまうかも。

男としてはこのドレスを着させた状態から脱がせて、着衣のまま行為するのも微笑ましく興奮するシチュエーションですけどね(笑)
アレクは暴走したらそういう行為するのかな?

もとはと言えばこのアリシラさんが二人の誤解を解くきっかけとなったのですよね。恋愛でもほうれんそうが大事だと前にもいいましたが、聞く気にさせたのは彼女ですから。

マリーも改めて自信をつけたようでいじらしく感じられます。
物語前半のうじうじしてたマリーからは別人のようです。
というより父に押さえつけられてただけでこれが彼女の本来の姿の一つなんでしょうね。
扉の奥が例え障害だったとしてもその時はアレクがなんとかしてくれると信じてるので堂々と立ち向かっていく姿が楽しみです。

yama様 

今日は。
アレクはずっとマリーと結婚するつもりでいたので、色々と準備をしていました。
それが、男爵の偽り事で色々と大変な事になってしまいましたが^^;
ドレスの生地もこの日の為にと言う訳では無かったのですが、マリーのドレスを仕立てる為に幾つかの生地を予てより用意していました。なので今回使われなかった生地もきっと何れ用途によって使われることになると思います。

アレクはマリー以外に関しては非の打ち所のないような優秀の部類に入る人なので、二人の関係の信頼度が増していく中で、今後きっとそれが活かされる時も来ると思います。

アリシラさんは本当に二人にとって有り難い存在です。
でも、彼女は本気で怒らせると実は凄く怖い人なんですよ(苦笑)

男心としては脱がせたいですよね~(笑)
でも、色々とあるんですよね~^^;
マリーは父に押さえつけられていたのと、恋に臆病になっていましたが、それがある意味成就して父の枷から外れたことによって本来の自分を取り戻し、そして更に成長しようとしています。

まだまだ踏ん張り所満載なので、彼女には頑張って貰いたいと思います。

いつもコメント有り難うございます。

 

前を向いて進め、宰相の妻になるのなら!(←気が早い男(笑))

ポール・ブリッツ様 

今日は。

はははっ、気が早いですね♪
でも、将来的にはそうなれる予定なので^^(マリーはまだその事知りませんけど(笑))

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

機敏な女性心を描くのが上手い・・・。
と率直に思います。
こういう細かい心の描写はとても勉強になります。

LandM様 

今日は。

あっ、有り難うございます(#^.^#)
自分では頭の中に流れ込んで来たものを組み立てながら分かって頂けるように書こうとしているだけなのですが、そう言って頂けると嬉しいです。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

こんにちは。
ドレスやアクセサリーの描写がとても細かく丁寧で感動すら覚えました。
アレクの領地内で作られたドレス…。
本当ならアレク自身がそのドレスの代わりにマリーを包み込みたいところなんでしょうね。

一瞬弱気になったところをちょうどいいタイミングでアリシラさんのご登場。
溺愛ぶりの手紙とは、アレクも相当ですね。
アリシラさんの言葉で再び勇気を持って一歩踏み出したマリー。
次回が楽しみです。今から拝読しますが(笑)

Sha-La様 

今日は。
大切な場面のドレスは一応資料を色々集めているので、その中からいつも頭の中にキャラをイメージを膨らませて考えたり、時には更に調べたりして最終的に決めています。いつもとても悩む所なのでそう言って頂けると嬉しいです。
そうですね。本当ならばアレク自身が包みたいですよね(笑)

こういう精神状態の時って、気を強く持とうとしても時には折れちゃったりするものだと思うんです。
なので、そう言う描写も大切にしながら彼女の気持ちを考えてより成長してくれるように導きながらこれからもお話を考えて行きたいと思っています。

いつもコメント有り難うございます。
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