ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《68.追 及3》

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息を切り、その場に駆けつけ現れたのは、アレクの筆頭従者であるリレントさんだった。

「遅くなり、申し訳ございませんでした」

そう言えば、リレントさんに何か調べさせていると言っていた。
ここにやって来たと言う事はある程度私に起こった経緯も、もう調べ上げられてしまったのだろうか?
ならば何処まで彼に知られてしまったのか?
アレクに何か耳打ちしているリレントさんを神妙な眼差しで見つめながら、私は裁判の判決を待つ被疑者の気分とはこのようなものなのだろうか?と何となく考えてしまい、踵を正してその結果を待っていた。

「えっ? 何だって!?」

そう告げ途端、私の姿をアレクが凝視した。

「マリー、今東殿のテラスの先にある中庭で、何処かの使用人と思しき者等が探し物をしているらしいのだが……、指輪を無くしたと言うのは、もしかしてその辺りなのか?」

何処なくまた表情が険しくなった気がするのは気のせいだろうか?

「多分……」

「多分?」

もう隠し通せないと覚悟を決めた。

「実は……、控えの間の前で、数人の令嬢等に捕まってしまって、指輪を奪われてしまったの……」

「奪われた?」

「ええ」

「それならそうと早々に言ってくれれば良かったのに……」

「言えないわよ。それでも私が失くした事には変わりは無いのだし、言い訳なんてしたくなかったもの……」

「はぁーっ。……奪われたのと唯の失くしたのでは全然状況が違うだろ!? 言い訳も何も、ならばマリーは唯の被害者じゃないか」

経緯はともかくとして、それでも失くしてしまった責任は私に課せられるものだと思っている。

「それでも私は自分が許せないわ。それにどう取り繕っても事実は曲げられない……。奪われた上に投げ捨てられたのに、私は何も出来なかったのだから」

「ちょっと、待った!! ……奪われた上に投げられたのか!?」

何やら思い当たる事でも有るのだろうか?
リレントさんと二人して少し驚いたように互いの顔を見合わせている。
何の言葉も発せずとも何処か緊張感漂う眼差しに煽られているように感じられてならない。
息が詰まりそうになる……。
その直後、再び食い入るように見つめられ、もう黙っているのが限界だった。

「……控えの間の前で指輪の存在に気付かれて……。相手は複数だったから押さえ付けられてしまったら為す術も無くて、抵抗したけれど結局指輪を引き抜かれてしまったの……。最初は私に恥をかかせたかっただけのようだったのだけれど、中の紋章と刻印を見るなり、こちらの声も耳に届かぬ程に怒り出してしまって、あっという間に……」

「と言う事は、投げられた物がはっきりと我が家の指輪だったとは確認出来ていないのだな?」

「えっ? ええ、それは……。けれどあれは間違いなく指輪だったと思うの。キラッって光っていたもの」

「光るのは指輪だけとは限りませんけどね」

そこで鋭くリレントさんが口を挟んで来た。

「だな。コインやカフスや他の装飾品でも投げれば光る」

「えっ?」

まさかの言葉に息を飲んだ。

「いや。でも、まあ……、これは現段階では憶測に過ぎないから今は何とも言えないのだけれどね。過去に似たような話を聞いた事があったものだから……。で、その指輪を奪った令嬢等と言うのが何処の誰かはわかるのか?」

「……テロネーゼ……。テロネーゼ・ドワイヤル伯爵令嬢……」

「!! ……まさかと思っていたが……、これはもしかすると、もしかなのか?」

「何?」

「いや、続けて」

「それと……、あれはミシガン家のメアリー様と、ロマーン家のご令嬢と、あとお一人はえっと……」

「例えばメディシュ男爵家のマリーカ嬢ですとか? いつもテロネーゼ様とご一緒に侯爵の後ろに蔓延っていた連中でが……」

「見覚えのある方だったから多分……。でもはっきりとお名前までは存じ上げないので何とも……」

「参ったな。こうも揃っていたとは……」

大きな溜息と共に、アレクが額に手を当てた。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
さっすが、リレントさんっ。もうマリーの身に起こったことを調べあげてましたか。
それにしてもやっぱりマリー。アレクを心配かけさせたくないのか、それとも自責にかられてるのか、隠し通せなかったことによる不安が出てますね。
やっぱり女の子は例え、相手が頼ってほしいと思ってても、自分に責任がある場合、心配掛けさせたく、隠しごとをしてしまうものでしょうか?
アレクのように直情的に聞くことも大切ですが、そこ辺りの不安をスマートに取り除くことも男としてすべきことの一つなのかと思いました。
そういえば映写上でははっきりと指輪を投げてたとは書いてませんでしたね。あのクソ女が自分の物のように持ってる可能性もあるようです。

どうやらクソ女とその取り巻きの女の名に動揺していることはアレクが追っている事件にも関係してるかもしれませんね。

どちらにせよ、事件に関してはアレクに期待しているのでマリー、そこは信じてあげて。

後、ツイッターの開始のご報告お疲れ様です。
そっちに関しては、使用してないので見るだけですがどんな話をするのかについて楽しみにしています。

yama様 

今日は。
リレントは本当にやり手なので、アレクの信頼もピカイチです。
これも性格なのでしょうが、私は頼って欲しいと言われると素直に嬉しいですが、それでもマリーのように場合によっては自責の念に駆られて心配かけたくないと思ってしまう事は正直あります。更に責任感が強かったりすると尚の事、マリーのようにそれは強固なものになるように思えます。
それを如何にして解きほぐし包み込めるのか。
それが今回の一つの課題ですね。
今回さらにそれが事件絡みっぽいので更に複雑化してしまい、何か今回何度も結局書き直しちゃいましたが、今その先を更に修正中です。
そうなのですよ。実は一言も指輪を投げたとは書いていないんです。そう思わせるようにしましたが^^;
この辺りで気づいて頂けると、今後更に楽しく読んで頂けると思うので良かったです^^

テロネーゼは完全に悪役なので、それを踏まえて今後の展開を温かく見守って頂ければ幸いです。

ツイッター、このサイト内に貼れないかと今模索中ですが、貼り方が分からず^^;
もう少しして分からなければこちらでも正式に告知予定です。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

面倒くさい世界観だなあ。。。
いや、良い意味で。
私では家のしがらみで生きていけそうもないと確信がもてるぐらい綿密に組んであるので、本当に良作だと思います。

私はそれでも気ままに生きたいですけどね。

LandM様 

今日は。

実際書いていて凄く面倒くさいですよ(笑)
私もこんなしがらみ嫌です。平和がいいです。
何事も無くサクサクと今度こそ楽に書きたいといつも思っているのに、何か物足りなくなってきてしまってついつい色々やってしまうと言う^^;だから長くなる。。
でも、そのように言って頂けると苦労が報われます。
まだ色々頭悩ませる場面ありますが、頑張ります♪

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

おっ、ツイッター参戦ですか。

話の展開も気になりますが、どうかわたしにもフォローさせてください(^^)

ポール・ブリッツ様 

今日は。

はい、知り合いがツイッター始めて、私も報告と創作中の呟き中心にツイッターやってみる事にしました。
是非是非♪
私もフォローさせて下さいね^^

いつもコメント有り難うございます。
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