ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《69.追 及4》

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暫く黙り込んだまま何か考え込んでいるような姿に、私は声がかけられなかった。
けれど何か思い立ったのか、リレントさんがアレクに対して曰くあり気に囁いた。

「やはり何か、臭いますね……」

いかにも訝しげな表情だ。
一体、指輪を奪われ投げ捨てられた事実意外に、何について頭を悩まされる事があるのだろうか?

「確かにテロネーゼが関わっている事事態、何処か胡散臭いな……」

「えっ?」

我が耳を疑った……。
胡散臭い??

「旦那様、実はその件なのですが……」

「何だ?」

「今、指輪の捜索に当たっていると思われる使用人達の雇い主なのですが……」

そう告げるなり、リレントさんがアレクシスの耳打ち際で何やらこそこそと話を再び始めた。

「……とは考えられないでしょうか? でなければ説明がつかないと思うのですが、旦那様は如何お考えになられますか?」

「確かに、それは一理あるだろうな。だが、そうなればかなり厄介だぞ。我等だけ立ち行かなくなる事も出て来るだろう。やはり、ここは思い切ってパウウェルにも協力を仰ぐ他ないか。これ以上、あまり迷惑はかけたくないがな……」

「お気持ちはお察しいたしますが、ですがその前にこの仮説がもし正しかったならばとお考え下さい。事は更に相手をつけあがらせる結果となりましょう。さすれば如何いう事になる事か……。ここは隙を見せ、侮られない為にも早急に前もって対処した方が宜しいかと。それと、あのお品は既にお手元に?」

「ああ、今ここにある」

「それは宜しゅうございました。でしたら本日は幸い仮設の機関も設けられておりますのでそちらと警務部と双方届けを提出されては如何かと。登録の方は正式にと言う訳には行かないかもしれませんが、本日でも仮登録は可能でしょうから週明けには正式に認められるかと」

「そうだな」

(届け?)

部分的にしか話の内容が聞き取れないし、聞き取れ部分だけではとても全容が掴めないから詳しく理解は出来ないが、テロネーゼ嬢等に何やら思う所がありそうだと言う事は理解出来た。それと届けに如何いう関連性があるのかは全く持って分らないが……。
やがて話し終えると、今度は噴水脇にある時計を眺めながらアレクが徐に頭を掻き毟った。

「開始まで後45分か……、時間が無いな。パウウェルは、今日は会場の警備に当たると言っていたが見かけたか?」

「はい。先程大広間の裏部屋へ入って行く後姿を目に致しました」

「王室の控の間か。会うのは難しいかもしれないが、とにかく補佐官のユリウス殿でも誰でも良い。パウウェルの直属の者の何れかと連絡を取って話を通してくれ。私は急ぎ仮設の詰所で諸々の手続きを済ませてから、そちらへ合流する」

「了解です。旦那様」

「悪いが御母君はマリエッタ嬢と一緒にもう暫くここでお待ち頂けますか? じきに私のもう一人の側の者が参りますので」

「えっ。ええ」

「それからマリエッタ。サンデスが来たらここで待つように伝えてくれ」

「はい」

「では急ぐぞ。リレント!」

そう告げるとアレクシスはリレントさんと共に脱兎の如く、この場から立ち去ってしまった。


「……一体、何をしようとしているのかしら?」

「何やら慌ただしい感じだったわね……。私にも良くは分らないけれど、でも貴女の悪いようにはなさらないと思うの」

二人がどの様な話をしていたか詳しい所は全く掴めない。
ただ、何やら紛失してしまった指輪とテロネーゼ嬢との関わり方で、何か思う所があり行動を起こそうとしている事だけは何となくだが理解出来た。
けれど、そうは言われても気が急いて仕方ない。
私の与り知らぬ所で、誰かが人手を使って指輪を探させているのならば自分も探しに行った方が良いのではないだろうか?
他の人手に渡ってしまってからでは遅いのだ。
アレクシスは途中から指輪の事は全く気にも留めていなさそうだったけれど……。

「お母様、やっぱり私も指輪を探しに行ってはいけない?」

「それは駄目よ。気が急くのは分かるけれど、グラッセ侯爵には何か策がおありの様だし、ここで勝手な行動は慎みましょう。それに侯爵は貴女の事を本当に良く分かっていらっしゃっているのね。おそらくマリエッタに勝手に動いて欲しくないから、私にもここに残る様に仰ったのだろうから」

「お母様……」

結局、指輪の行方が気になりながらも、私は母とその場でアレクシスの帰りを待つより他に無かった。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新お疲れ様です。

むむむ、ティーンズラブ小説ではよくあることですが、こういう事件や陰謀がらみの話になると当事者なのにヒロインはただ待っているだけの展開、ありますよね。
これでマリーが何らかの特殊な訓練を受けた者だったら積極的に関われるのですが、そうでもないお嬢様なので、仕方ないですよね。

そしてマリー絡みであっても、マリー自身との触れ合い以外に関しては素晴らしいほどに冷静さと洞察力に優れたアレク。
だからこそ、マリーに対して余裕のなさのギャップに可愛いと思ってしまうのですがね(笑)

このマリーに対する嫌がらせがほぼ、アレクが追ってる売国奴への事件に関係しているのはほぼ明らか。
今のマリーにできることはアレクを信じて堂々と祭りに振る舞うこと、指輪のことや事件のことはアレクに任せ、できることをやってもらいたいものです。アレクには頼りになる部下もいますしね♪

NoTitle 

・・・・実際に指輪をなくすと探すのは大変だなあ。。。
私は装飾品の類はあまり好きでないのですが。
・・・すぐに失くすので。( 一一)
そして、相手に怒られる。

yama様 

今日は。

ヒロイン待っているだけの展開多いですよね。
今回のマリーはどうなるのか?
まぁ、でも特別な事はしてませんけどね^^;でも、それが大変だったり・・・・。(何れわかります(笑))

アレクはマリー絡みであっても全然冷静でいられます。本人自身が介入していなければ(笑)
こういうアレクのギャップ、私も好きです♪

どの様に事件性と絡んでくるのかはこれからですが、とにかくマリーが余計な事をしないのが先決なのは間違いありません。

いつもコメント有り難うございます。

LandM様 

今日は。

本当に指輪とか、小物をなくすと探すのは大変です。
私も装飾品の類は今は冠婚葬祭位です。
若い頃はファッションの一部として軽く身に着ける事もありましたが。
指輪とか失くしたら普通なら凄く怒られそうですよね^^;
私は今の職場指輪NGなので、今は結婚指輪もしてないので失くす心配もありませんが(笑)

いつもコメント有り難うございます。
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