ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《71.策 案2》

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物事には、譲れるものと譲れないものがあると思う。
今の私にとってアレクから告げられた言葉に対する答えは勿論後者だ。

「いや……よ……」

「えっ?」

「それだけは絶対に嫌!!」

「マリー!」

「だって、あれはアレクが私にくれた心の証のようなものだったのでしょ?」

「それはそうだが、あの指輪に関係なく私の心は不変だ。だから例え見つからなくても何の問題も無い」

「そんな事を言っているのではないの!」

理屈では無いのだ。
アレクの言わんとしている事は理解出来るし、彼の心を疑っている訳でも無い。
けれどこのままではあの時の……、指輪を貰った時の満ち溢れた気持ちさえも何処か薄れてしまいそうで怖かったのだ。
あの時想いは誰にも打ち壊してほしくなかった。例えアレクにだって……。
言葉を紡ぎながらじわりじわりと瞳に涙が溢れて来る。
奥歯を噛みしめ、必死に泣いては駄目だと自分に言い聞かせているのに、一向に溢れる涙は止まったくれそうにない。

「大丈夫だから、マリー。全ては私に任せてくれないか? 決して悪いようにはしないから……」

「……うぅっ……、ひっく……」

「ああ、これは参ったな……」

アレクを困らせたい訳では無いのに、私は感情を抑える事が出来なかった。

「グラッセ侯爵、ここは私にお任せ下さい。もう時間もありませんし、この計画が成功せねば、きっとマリエッタにとっても不本意なものとなりましょう。それに今この様な所を誰かに知られれば、それこそ計画に支障を来すのではありませんか?」

「あっ、はい……」

「マリエッタには、私が言い聞かせますから」

「申し訳ございません、お母君……」

母に深々と頭を下げた後、アレクは私の方に近付いて来て手を伸ばすと、身体を引き寄せた。

「マリー、では私はこれで行くけれど……、これから何があったとしても私が君を裏切る事だけはないから、私を信じてくれ。良いね」

「ぐずっ、何を言っているの? 分らないわ……」

「とにかく何を見聞きしても、私を信じてくれ。今はそれしか言えない……」

涙に濡れる瞳でアレクを見上げれば、何処か苦し気で……、けれど何時に無く真剣な眼差しで、これからアレクが何をしようとしているのかは分らなかったけれど、彼の心だけは信じられると思った。

「……ぅくっ……」

言葉にする事が出来ないかわりに、歯を食い縛りながら懸命に小さく頷いた。
彼をじっと見つめて手を伸ばし、言葉に出来ぬ想いを如何にか伝えたくてその頬に手を添えた。

「ああ、マリーッ」

愛しげに私の名を呼ぶアレクの少し切なげな眼差し。
声と同時にアレクもまた私にの頬に手を添えると、どちらから共なく熱い視線が絡み合い、吸い寄せられるように唇をそっと重ねた。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
ううん、マリーの答えは予想通りでしたね。
本当に頑固な所はありますね。

とはいえ、マリーにとってはあのくれた『証として』の指輪が大事だってことなんですね。
あの時、指輪を受けた時の瞬間的な気持ちが大事なのであって、アレクの言うような永続的な気持ちとは違う意味ということ。
こうして見ると、マリーって主人公のはずなのに、やること、もしくはやろうとしてることが嫌な予感しか感じさせないのはある意味才能なのでしょうか?
精神的な成長は見られているのですが、そういう方面での成長もこれから見せてほしいものですね。

アレクがこれから何をやろうとしているのか、なんとなく察することができたので(しかも多くのTLものでヒロインを誤解させる行動でしょう)、マリーはまた不安になるでしょうが、事前に言う辺り、まだ安心できます。
この後、マリーがアレクの様子を見ても、そのアレクの信じる気持ちを揺るがさないでほしいものです。

yama様 

今日は。

マリー予想道理の行動を取ってくれました(苦笑)
意図せずしてこういうトラブルしょい込んでしまうキャラなんですよね、マリーって^^;(そのつもりで書いてます)
でも、指輪の件で最大の難関は突破したはず。もう一つ微妙な展開もありますが、とりあえず彼女なりには頑張ってくれる筈です。設定上(苦笑)

アレクがこれからやろうとしている事を何処まで明かすか実は色々考えたんですが、何も告げずにと言うのは流石にマリーの性格上不味いと言う事で、ここは一応最低限の告知をすることにしました。(プラスこれからお母さまのフォローが入ります2話程。カットしようか悩みましたが、とりあえず入れる事にしました)
それで何処まで回避できるかは先のお楽しみと言う事で(笑)

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

モノに頓着するのもアレだと思いますがね。
さらりと
「また新しいのを買ってくださいますか?」とお尋ねするのも淑女の嗜みかもしれません。
あ、それはマリーアントワネットか。

LandM様 

今日は。

モノに対する頓着は人それぞれでしょうが、こういう状況下では多分男性の方がアッサリしている気がします。
「また新しいのを買ってくださいますか?」とはマリーは言わないだろうな。。。
でもね、いやいやこれはネタバレになるので、内緒にしておきますが、アレクがどう思っているのか先をたのしみに♪

いつもコメント有り難うごさ゜います。 
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