ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《76.造 言4》

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活気に満ち溢れ、声をうわずらせ震わせる伯爵夫人の表情は、誰が見ても嬉しそうにしか思えない。
母は何を告げたのか?
そして口を開くなり告げられた言葉は嬉々とした口調で揚々と語られる。

「まあ! それは凄い情報ですわ!!」

「侯爵夫人、お声がおおきいですわ。それにこれはあくまでまだ内々の希望的なものでしかありませんのよ。ですから、くれぐれも公に漏れる事の無い様にして下さいませね?」

「ええ、勿論ですわ! ねえ、それで侯爵様がお好きなものは何なのかしら? 好きお色は? 香水は如何言ったものがお好みなのかしら?」

「さあ……、生憎そう言ったお話はした事ございませんので……」

「けれど、あの無愛想な侯爵様が、そう言うお気持ちで居て下さっていると分かれば、どれだけ世の令嬢等が喜ぶ事か」 

「ですから、その事は胸の内に仕舞って頂いて……。侯爵様は元々嬉々として周囲から騒ぎ立てられる事を好まれない方ですので、くれぐれもこれ以上辺りを騒がせるような行動は慎んで下さいませね」

「ええ、ええ、勿論ですわ。こんな美味しいおはなし……、いえ、このような内々のお話は決して他言するものではございませんわ。しっかりと我が胸の内に仕舞っておきますので安心して頂いて宜しいですわよ」

「はあ……」

母は心配そうな眼差しで再び伯爵夫人を上目づかいで眺めている。

「いやですわ。本当に他言致しませんわ。そんな勿体無い事他言駆る訳ありませんわ」

勿体……無い?


「伯爵夫人……」

「あら、失言」

何だか先程とはまるで別人のように嬉々とした態度の伯爵夫人。
この変わり様は一体何なのか?

「あっ、そうですわ! 私娘を……、いえ、少し急用を思い出しましたの。これで失礼致しますわね。御免なさい」

そう告げるとあれよあれよと言う間に、会場の隅に居た家人に何やらこそこそと話をしている様な仕草。
一体母は何を伯爵夫人に吹き込んだのか?

「お母様? あの伯爵夫人の変わり様……。一体何を仰ったの?」

「ああ、いえね、大した事では無いのよ。グラッセ侯爵がこの会場でどうやら未来の花嫁を探すおつもりらしいって情報を流したのよ」

「……アレクが、花嫁探し?」

「勿論分かっているとは思うけれど、これも計画よ。見て、あの慌てよう。きっとご令嬢を呼びに屋敷に向かわせるのよ。社交界デビューはまだでも、今日は無礼講との陛下のお言葉もあったし、それに元々成人以上の家族しかを連れて来てはならないと言う絶対的な決まり事は無いのよ。社交界の暗黙の了解と言う域であまり連れて来る者は居ないけれど、時折子息や令嬢等の未来の伴侶候補を探りだす為に、こっそり連れて来て観察している輩はいるものなのよ」

言われて先入観を持って見て見れば、大人びた化粧を施してはいるけれど、見るからに私よりも未発達な、随分若く見える令嬢等の姿がちらほらと見受けられる。

「ほら見て。今伯爵夫人と話しているあの侍女、とても嬉しそうじゃない。それにこう言う話は女主より結構屋敷勤めの者の方が口を滑らせて広がる事の方が多いのよ。あの子絶対侍女仲間に口を滑らせるわよ。結構有名なのよ、あの娘も口が軽いって、ふふふっ」

ふふふって……。
アレクが私に忠告して、念を押していたのはこの事なのだろうか?

「さあ、とりあえず最初のスパイスの準備は整ったわ。次へ行くわよマリエッタ」

「えっ? あっ、お母様待って!」

結局母はその後数人のお目当ての夫人を見つけてはパターンを変えて幾つかの情報を流した後、多くの夫人や令嬢等の一番集まっているフルーツビュッフェの近くへ場所を移すとピタリと立ち止まった。

「良いマリエッタ。ここからが本当の勝負よ」

「本当の……勝負?」

私に相槌を打ち合図を送ると、急に表情が締まり凛とした態度に変わる母。
今度は一体何をするつもりなのか?
ここに来て、私の胸の鼓動は更に大きく跳ね上がり極度の緊張を強いられる事となった。

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~ Comment ~

NoTitle 

更新、お疲れ様です。
アレクのあのセリフから予想はしていたのですが、こうなると次どうなるのかだいたい予想通りになってしまう可能性がありますね。

一度でも両想いを確認して結ばれてもいるのに例え計画でもマリーは不安でたまらないでしょうね。
アレクは事前にいってくれたから一読者としてキツイことはいいませんが、不安を抱かせた以上、取り除いた後は、ちゃあんと、マリーを甘やかして安心させてほしいですね。

お母様は、だいたい上手に渡り合って女性陣の戦場の舞台を作り上げた模様。そしてここからが本番、マリーがこれからアレクと、そしてその他の人物と再び接触していくにつれ、ここでマリーの度胸がさらに試される時。がんばれ、マリー。

yama様 

今日は。

この場面は型通りの展開で悩んだんですが、このベースが無いと後が続かないのでこの流れにしました。
この先に私の味が出ればいいかなと思ってますが如何でしょう^^;

マリーはとりあえず与えられた状況の中で、精一杯頑張ろうとしてくれると思います。
お母様と言う心強い味方もいますし、アレクも複雑な心境の中で頑張ってくれると思うので。マリー頑張れにつきますね。
二人の幸せの為ですものね。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

・・・。
・・・・。
・・・・・・。
面倒くさい世界だ。
アレク君がんばれ。
世界は若い人が動かすものなのだから。

LandM様 

今日は。

とりあえず、仕掛けないと話が繋がらないので^^;
この先、アレクが踏ん張りになる所になります。
世界は若い人が変えて行く。それで進化しますね。

いつもコメント有り難うございます。
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