ずっと心に決めていた

ずっと心に決めていた《81.破 綻》

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ロナルドの表情が心なしか凍り付いて見えるのは気のせいなのだろうか?
中々続く言葉が返って来なくて、私は不安で頭が混乱してしまいそうになってしまった。
こういう時の沈黙と言うのは本当に心臓に悪い。

「……ならば、あの指輪には本当に呪術がかけられていたのか?」

「……よっ、良くは分らないけれど、そう言う噂を……母は聞いたようだから……」

あまり深く聞かないでほしい……。これ以上聞かれては、何処かでボロが出てしまいそうで本当に怖いのだ。
ロナルドからの返答を待つ間、私の内耳は大きく脈打つ自らの心臓の音だけを捉えていた。

「マジかよ……」

(信じて……、くれた?)

半信半疑ではあるけれど何処かホッして、気が抜けて肩の力を緩めた瞬間、何処からともなく若い娘の弾むような声が耳に聞こえて来た。

「まあ! あの白薔薇の君が?」

「そうなのよ。一人一曲ずつお相手して下さるんですって!」

「ならば急ぎませんと! 多くに知れ渡ってしまえば、ダンスのお相手は愚か口だって利く事が容易に出来なくなりますわ」

「私負けませんわよ。多くの殿方を魅了した私のこの美貌で、きっと侯爵を虜にしてみせますわ」

「私だって負けませんわ。キュートな乙女の魅力を白薔薇の君に見せつけて絶対に射止めて見せます!」

(アレクが……令嬢達とダンスを?……)

『白薔薇の君』と言う言葉につい反応してしまい、アレクを誘惑しようとする美しい令嬢等の言葉にうっかり釘付けになっていると、後ろから物凄く強い視線を感じ我に返った。

(いっ、いけないッ……)

ハッとして後ろを振り向くと、ロナルドが眉を顰めていた……。

思わず瞬時に身を凍らせてしまうッ!

(何を言われるのか?)

ドキドキしながらロナルドから告げられる次なる言葉に耳を傾けた。

「へぇ~。関係ないって言っていた割には、随分と気にしているようじゃないか」

「いえ、えっと、それは……」

こちらの足元を見ているような、何処か強気な態度。
如何しよう……。せっかく上手く行きかけていたのに、このままでは全てが台無しになってしまう……。

「それは?」

「あの……」

万事休す!
頭が一瞬真っ白になって、最早どう取り繕えば良いのか分らない……。
せっかくここまで頑張って来たのに、少しの気のゆるみでこの始末。我ながら情けない。
額からもジワリと汗が滲んで来るのが感じられ、気が焦るばかりだ。
けれど、とにかく何か言わなくてはと、必死になってとりあえず頭の中で思い巡らす。

「えっと……、あれよ……。テッ、テロネーゼさんがあの指輪がアレ……、グラッセ侯爵から送られた物だと信じていていて、婚約話も進んでいたというのなら……、今の話を聞けば会いに行っているかと思って気になって……」

駄目だ。上手く取り入ろうとしても、中々上手く言葉に出来ない。

「へぇ~。うちの妹の心配までしてくれるんだ。随分と優しくなったじゃないか」

「そっ、そぉう?」

笑ってごまかしながら言葉を紡いだ所で苦し紛れでは、どうやら信憑性があるようにはとても感じ取って貰えなかったようだ。
ジリジリと詰め寄られながら、私は一歩二歩と後退する。

(もう、駄目ッ!)

私は身を固くして両目を瞑り、心の中で『お母様ッ早く!』と叫び続けていた。

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NoTitle 

更新、お疲れ様です。

マ、マリー苦しい(笑)
しっかし、タイミング悪いですねえ、アレクの作戦だというのはわかりますが、今売国奴がいる前で動揺してしまってちょっとまずくなりましたね。
しかし、売国奴もマリーに対して優位に立ってるようですが、ある意味マリーは囮なのでそんな状態じゃこいつもたかが知れた者。

そろそろ助けが来るところか?誰が助けるのか次回が楽しみです。

yama様 

今日は。

苦しいですね。これがお母さまクラスになると平然としていられるのでしょうが、まだまだマリーには無理ですね(笑)
さあ、ロナルドも今は優位に見えますね。
お察しの通り、ある意味マリーは知らず知らずのうちに囮です!(暴露)

この展開、助けに来なければ最大のピンチ! 助けに来るとしたら前話にヒントが隠されているかも?(笑)
引き続き楽しみにして頂ければ幸いです。

いつもコメント有り難うございます。

NoTitle 

母を頼る前に自分でなんとかしないといけないな。
マリー。
(*´ω`)

・・・まあ、そこが子どもというもので。
母親がいるのであって。
そこは母は偉大ですね。
(∩´∀`)∩

LandM様 

今日は。

そうなんですよねぇ。
基本は周囲を頼らずに自分の力で何とかしなければならない場面。
ですが、今いっぱいいっぱいでマリーも頑張っている最中で、もう余裕も何も無い状況のようです^^;
苦しい時につい頼ってしまうのは一番身近な母となる訳で……。
社交界デビューをして大人の仲間入りをしたばかりのマリーにとってはまだまだ苦しい時のようです。

さて、次回は願い通り、母が間に合うのか如何なのか?
他の人が来るのか、はたまた誰も来ないのか?
次もお楽しみ頂ければ幸いです。

いつもコメント有り難うございます。
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